HOMECareer Runners 焚火を囲み本音を語り合う!ビジネス合宿サービス「TAKIBIcation」担当者に聞く、効果的なオフサイトミーティングとは

焚火を囲み本音を語り合う!ビジネス合宿サービス「TAKIBIcation」担当者に聞く、効果的なオフサイトミーティングとは

白井恵里子

2020/09/19(最終更新日:2020/09/19)


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提供:株式会社スコラ・コンサルト

株式会社スコラ・コンサルトは9月、キャンプ場を運営する有限会社きたもっくと共同で、宿泊型ミーティング施設「TAKIVIVA(タキビバ)」を群馬県の北軽井沢にて開業した。

「TAKIVIVA」では、ビジネス合宿サービス「TAKIBIcation(タキビケーション)」を提供し、企業や組織の人々が安心して本音で語り合える時間と空間づくりを支援していくという。

同社はこれまで30年以上にわたり、1000社以上のコンサルティング、累計15万回を超える「オフサイトミーティング」などを活用したビジネス対話支援を通じ、企業が内部から変わる力をサポートしてきた。

企業の成長のためには欠かせない「社員同士が本音で語り合える場」としてのオフサイトミーティング。その効果を最大限に発揮するためには、主催者や参加者はどのようなことを意識すれば良いのだろうか。

「TAKIBIcation」担当者であり、同社代表取締役の辰巳 和正さんを取材した。

辰巳 和正さん/提供:株式会社スコラ・コンサルト

一番の核心は「安心」と「ゆらぎ」

「TAKIVIVA」には、焚き火をはじめさまざまな火を据えたオープンエアな空間で話し合いができる環境が完備。

参加者同士の心身をほぐす場としてのかまどや囲炉裏を備えた「炊火食房(たきびしょくぼう)」、「個」と「集団」の全体のつながりを深める場としてのファイヤーピット「炎舞台(えんぶたい)」、外界の刺激をブロックし個に還る空間としての寝室「ReGo(りごう)」などがあり、「生きる」ことをリアルに感じられる場所を目指したビジネス合宿施設だ。

「TAKIBIcation」では合宿での話し合いの進め方から、事前事後工程を含めたプロセス構築面の支援を行うことで、参加者たちが安心して本音で語り合える対話の場を作り上げる。

ー「TAKIVIVA」立ち上げの経緯を教えてください。なぜ「焚火」なのですか?

辰巳さん:弊社ではこれまで、「オフサイトミーティング」という話し合いの場を持ち、日常話し合われていないけど実は大切な事を「本音で話し合う」ファシリテーションをやってきました。

ヒエラルキーのある組織の中で、参加者が本音で話し合うことは当然簡単ではありません。

僕たちは、話し合う場を最適に進めるファシリテーションだけではなく、その事前準備・事後フォローなどの前後工程のプロセスをしっかり作り込み、話し合う場所環境にこだわるなかでそれを実現してきました。

同社はこれまでファシリテーションを行うにあたり、常にその理想の場所を探す必要があったというが、なかなか最適な場所にたどり着くことができなかったそうだ。

本音で話し合うために、僕たちが大切にする一番の核心は「安心」と「ゆらぎ」です。

最近では「心理的安全性」という言葉があるように「安心」は本音で話し合う勇気を与えますが、安心だけではいい話し合いにはなりません。

本音で話すと、必ず組織の予定調和を壊す「ゆらぎ」が生まれます。この「ゆらぎ」の状態に適切にかかわっていくことも大切なのです。

今までのやり方や前提を問い直す「ゆらぎ」を「そもそも、今までのやり方でよかったのか?」「確かに、自分自身に課題があったかもしれない。」としっかりと受け入れていくための関わりが求められるのです。

辰巳さんはこの「安心」と「ゆらぎ」の2つを支える理想の環境を探していたが、候補地であるリゾートホテルには「安心」は感じられるが「ゆらぎ」は起こりにくいという問題があったという。

このように理想の環境を探し求めていた最中に、有限会社きたもっくの人々に出会ったことがきっかけで、このたびTAKIVIVAが誕生したそうだ。

彼らが25年間、日本一のキャンプ場「北軽井沢スウィートグラス」で作ってきた世界観は「焚き火を囲んだ家族の再生」。そして、そこから生まれた組織の再生を旗印に作られたTAKIVIVAは、まさに理想の環境でした。

同施設のなかでもずっと身近に存在するものとして、都心の生活ではほとんど体感することのない薪をつかった焚き火がある。

焚き火の、パチパチと薪が爆ぜる心地よい音とにおい、そして火の温かさとゆらめきは、本音で話し合う安心感とゆらぎを自然と引き出してくれるという。

会社の役割や成功体験、「こうあらねばならない」と着込んでしまう鎧をゆっくり解きほどき、「そもそも自分はどうありたかったのか?」と、会社で生きる自分だけでなく、人生を生きる自分を取り戻していくことを自然と促してくれるのだそう。

欠かせない事前準備と事後フォロー

「TAKIBIcation」には前述の通り、合宿当日のみならず、事前事後のサポートもプランに含まれている。

ーオフサイトミーティングには、やはり事前準備や事後のフォローが大切なのでしょうか?

辰巳さん:TAKIBIcationでは、まず話し合いの場が成功するために事前準備にかなり力を入れます。

「準備8割」という言葉があるくらい、事前準備の精度で合宿当日の成否が決まるといっても過言ではありません。

話し合いのメンバーはどうするか?プログラムはどうするか?何を話すか?などの検討はもちろん大切ですが、それ以上に大切なことは、参加者の意識・納得感をどこまで高めておけるか?ということでしょう。

ビジネス合宿を実施すると社員に伝えた際、よくあがる声が「この忙しいのになぜ参加しないといけないのか?」というものだというが、辰巳さんは、このような声が多くあがる状態であれば、それは危険信号だと考えるべきだと警笛を鳴らす。

意識・納得感を高めるために特に大切なのは「合宿をする目的・そしてその目的を出した背景」をしっかり伝えることです。

メールなどではなく直接伝えることなど、ひと手間を加えて参加者のマインドや方向性が一致した状態で、当日の合宿に臨まれることをお勧めします。

提供:株式会社スコラ・コンサルト

事後フォローについても、もちろん重要です。

なぜなら、話し合うことは目的ではなく、話し合うことによって、会社や仕事を具体的により良くしていくことが目的だからです。

話し合いの後の変化があって初めて、本音で話し合うことへの価値が高く認識され、次の話し合いの場へとつながっていくのです。

ビジネス合宿を実施した組織でよくみられるケースは、いつの間にか手段であるはずの話し合いの場が目的になってしまい、話し合ったことで満足してしまうというものだという。

このようになると、「あの話し合いは時間の無駄だった。やる意味ないな。」となり、話し合い自体の価値が認識されない結果になってしまうそうだ。

話し合った後、それをいかに具体化するか、行動につなげるかという実走フェーズを作る後工程が重要になるのです。

しかし、話し合ったことを具体化するのは相当大変です。

出来るところから始めてみるアジャイル的な進め方や(=プロセスデザイン)、行動を起こすための環境をしっかりと整備する(=スポンサーシップ)、といった考え方や条件も大切になるでしょう。

話し合いプロセスを効果として測定

オフサイトミーティングの効果を測るためには、まず事前準備の段階でゴール設定をすることが大切だと辰巳さんは話す。

「オフサイトミーティングを通じて何ができていたらいいのか?」ということを、その組織の状況や課題などを踏まえて参加者や企画者が自ら設定するのだ。

そしてその達成度については、参加者へのアンケート等を通じて、「参加者が自分たちの想いをしっかりと伝えられたか?」といった話し合いプロセスを効果として測定するケースが多いという。

辰巳さん:「オフサイトミーティング」とは「本音で話し合う」場であって、それは予定調和が働きやすい普通の会議(結論にどうやってもっていくか?落としどころをどうするか?という前提があることが多い)とは根本的に異なり、みんなが今まで日ごろ話せていないような本音を伝え合う真剣勝負で、話し合いの進め方や結論がどうなるかわからないという特徴があります。

そのため、状況がどのように進み、結果がどうなるかは誰にもわからないのです。

ですから、「オフサイトミーティング」の効果は、具体的な成果ではなく、「本音で話し合えたか?」というプロセス自体を評価することが多いのです。

「正しく事実を理解」しようと努めることが大切

ーオフサイトミーティングやビジネス合宿に参加する側の「個人」が意識すべきこと、気を付けるべきことは何だとお考えですか?

辰巳さん:「オフサイトミーティング」で一番難しく、一番大切な事は「正しく事実を理解」しようと努めることです。

具体的な行動で言えば、相手の話をしっかりと「聞く」こと、そして聞いただけで事実が理解できなければ「質問」することです。

日ごろのビジネスにおける現場では、「自分の意見とあっていれば理解し、自分の意見と合わなければ否定する」というコミュニケーションスタイルが多く、自分と違う意見に対してその背景にある事実まで理解しようとするコミュニケーションスタイルは稀だという。

前者のコミュニケーションスタイルが常態化する組織では、特に上司の意見と合わない意見や情報を、誰も発言しなくなり、物事に対する情報量が圧倒的に少なく偏ってしまう。

そうすると、事実を正しく見ない戦略や意思決定という危険な方向へ向かっていってしまうという。

もちろん、「聞く」や「質問」することと「正しく事実を理解」することとの間には相当な距離があります。

「正しく理解する」は簡単ではありません。人はやはり自分の価値観や判断軸があって、それと合わない場合はなかなか受け止められないものです。

このようなとき、私たちが伝えることは「評価をするな」ということではないこと。

大切なのは、その順番です。まずは事実を理解する。そして理解したことを踏まえて正しく評価すればいいのです。

そうお伝えすると自分の価値観をまげなくていいと思って安心して「正しく理解」しやすくなるようです。

「本音で話し合う」場を当たり前に

辰巳さんは、世の中の変化が激しい現在において、大切な事を「本音で話し合う」ことへのニーズはどんどん高まっていると考えている。

そんななか、実際にオフサイトミーティングを取り入れても「いつもの会議をリゾートホテルでやっているだけだった」「全然うまくいかない」等の声も多く、このような問題に正面から答えるサービスが今の社会には必要だという。

提供:株式会社スコラ・コンサルト

辰巳さん:10年後、組織が「本音で話し合う」必要性を感じたとき、当たり前に「あーそうだTAKIVIVAに行こう」「TAKIBIcationする?」といった「本音で話し合う」ための選択肢が日本のビジネスシーンのなかに生まれていくように動き続けていきたいと考えています。

「安心」と「ゆらぎ」を兼ね備えた非日常の空間をともにすることで、本音で語り合うことができ、「ビジネスにおいても本音で話そう」と思うことができる機会の創出は、新たなチャレンジをうみだすきっかけにもなりそうだ。

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