HOMECareer Runners 移住転職ってどうなの?地方移住支援事業を手掛けるYOUTURN社長に聞く、ビジネスパーソンの移住におけるポイント

移住転職ってどうなの?地方移住支援事業を手掛けるYOUTURN社長に聞く、ビジネスパーソンの移住におけるポイント

白井恵里子

2020/09/17(最終更新日:2020/09/17)


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中村 義之さん/提供:株式会社YOUTURN

テレワークやリモートワークの普及などにより、地方への移住が注目を集める昨今、移住に挑戦したいビジネスパーソンはどのようなことを意識し、大切にすれば良いのだろうか。

地方移住を支援する人材紹介会社の株式会社YOUTURNは2019年より、福岡に移住転職した人のつながりを形成し移住の不安払拭や移住後の活躍をサポートする目的で、移住者コミュニティの運営を行っている。

主にYOUTURNを活用して移住転職を果たしたビジネスパーソンがコミュニティメンバーで、今年8月現在20人以上が参加中だという。

移住転職専門エージェントがなぜコミュニティを立ち上げたのか?同社代表取締役の中村 義之さんに、「ビジネスパーソンの移住におけるポイント」をテーマに取材した。

移住者の心配事No.1は「仕事」

同社によれば、移住を検討しているビジネスパーソンの最大の悩みは「仕事」、つまり、「地方にいい仕事があるかどうか」ということだという。

ー地方移住専門の人材紹介エージェント事業を手掛けようと思ったきっかけ、経緯を教えてください。 

中村さん:地方都市である福岡で創業したきっかけは、起業のバーンレートを下げ、高いQOL(クオリティ・オブ・ライフ)を享受しながらチャレンジを続けられる環境を求めたからです。

地方は課題先進国日本のフロントランナーであり、人口減少や耕作放棄地、シャッター商店街など、東京よりも地方のほうが現在、未来の日本の課題が山積しています。

そして、伝統産業、文化の維持発展をするためにも、事業の創出や経営に携わることができる専門性の高い人材が地方に求められています。

にもかかわらず、多くの地方都市が支店産業であり、経営の上流を担える人材は本社機能で働く労働人口が多い東京に集中。IT産業、ベンチャー企業も東京に集中していて、テクノロジーを取り扱える人材や、事業を創出できる人材も東京に偏在している現状があります。

一方で、東京で働いている人材の中には、ライフステージの変化や価値観の変容で、東京以外の場所で生きることに関心を持っている人が一定数いるのです。

中村さんは、そういった人材が地方の課題解決の現場で活躍できる機会創出を目指してYOUTURN事業を創業したという。

提供:株式会社YOUTURN

移住後の活躍を支援するプラットフォーム

ー移住者コミュニティの運営を始めた理由を教えていただけますでしょうか。

中村さん:課題解決を担える人材が地方で活躍することを事業ミッションに設定しているので、移住転職のタイミングだけのサポートでは不十分であり、移住転職を果たしたあとも、新天地で活躍し、充実した移住後のキャリアと人生を実現できるような取り組みをしたいと常々考えていました。

移住転職を検討している方の一番の不安は仕事。これに関しては、地方のやりがいのある求人を紹介することで不安を解消してきたのですが、これまで数百名の移住検討者との対話を通じて得た肌感覚から、2番目に多い不安は「コミュニティ」です。

住まい、職場、人間関係など様々な変化が一度に起こるイベントとも言える「移住」において、よりよい人生を願って移住した人が、一時的にしろ大きな環境変化のストレスによってつまずくことがないように、コミュニティとして支援することがベストだという結論に至ったそうだ。

今年、YOUTURNを活用して移住転職を果たした方が20名を超えたタイミングで、ようやくコミュニティを形成する準備が整ったと考え、コミュニティ運営を開始しました。

提供:株式会社YOUTURN

コミュニティ参加者は20代〜50代まで年齢は様々。「東京の第一線で活躍していたビジネスパーソン」「福岡や地方でもキャリアアップに励んでいる」「東京では実現できなかった新しい生き方や自己実現を目指している」などといった共通点を持つ人々が、定期的に交流会や勉強会、座談会などを実施しているという。

納得するまで検討した上で決断を

では、実際にビジネスパーソンが移住を検討する際には、どのようなポイントに意識を向けたら良いのだろうか。

中村さん:地方への移住は都内での引っ越しのように気軽なものではなく、一大決心を伴うイベントです。

なぜ移住したいのか?移住に何を求めるか?移住でどんな人生、キャリアを実現したいか?移住先の地域にどう貢献できるか?など、納得するまでとことん内省したほうがいいと思います。

移住後のキャリアが、やりがいや新鮮さに満ちたものになることが理想ですが、カルチャーギャップや思わぬ困難に直面することもあるはず。

そんな状況に直面しても、それに向き合い、調和しながらも自分の価値を発揮していくためには、明確な動機があったほうが成功するはずだと思います。

軽い気持ちで移住して、「何かちょっと違う」といった漠然とした理由で東京にとんぼ返りしてしまうのはとてももったいないと、中村さんは念を押す。

キャリアコンサルタントに相談するもよし、移住をすでに実践している知人、友人と話すもよし。納得するまで検討した上で決断してもらいたいと考えています。

移住転職エピソードも検討材料に

YOUTURNを利用し実際に移住後、福岡で活躍している小方さんという女性がいる。

彼女は福岡出身で地元愛が強く、就職も福岡の企業を希望していたが、当時思うような求人がなく、一旦上京して経験を積むという決断をしたという。

小方さん/提供:株式会社YOUTURN

比較文化やメディア学を学んでいたこともあり、たくさんの人に見てもらえるようなメディアに携わって「誰かの人生に影響を与える仕事がしたい」と漠然とした目標があったという小方さん。

東京で人材系の会社に入社しWEBディレクターを経験した後、株式会社ドワンゴに転職してニコニコ動画の運営に従事。しかし数年後、「本当にやりたいことはこれじゃない」と感じ、30代に入る前にYOUTURNに登録し地元・福岡で仕事を探し始めた。

偶然の出会い等も重なり、福岡に拠点を置く株式会社しくみデザインへの転職が決定。現在は前職の経験を活かしながら、新しいことに挑戦しているそうだ。

彼女は「どんな人生、キャリアを実現したいか」「本当にやりたいことは何か」といったことを徹底的に突き詰めたからこそ、納得のいく移住転職を実現することができたという。

このような移住転職経験者の体験談を聞くことも、貴重な検討材料となりそうだ。

「健全なよそ者」であり続けるための拠り所へ

ー移住後の「人とのつながり」を新しくつくるために大切なこととは何だとお考えですか? 

中村さん:良くも悪くも、東京のビジネスシーンのように高度に合理化されたカルチャーが地方でそのまま通用するとは限りません。

自分と異なる価値観や考え方、スタイルを尊重するスタンス。合理性、経済性以外の、感情など情緒面への配慮。調和や連帯を大切にしながらも、自分の意志や意見を明確に示すスタンス...

このようなスタンスを持つことで、建設的な人間関係を新しい環境下でつくり出すことができます。

YOUTURNのコミュニティは、移住者が地方に新しい風を吹かすことができる「健全なよそ者」であり続けるための拠り所になりたいと考えています。

今後、様々なバックグラウンドや専門性のある人が集う場になるためにも、より一層多くの人にYOUTURNを活用して移住を実現してもらい、コミュニティに参加してもらいたいという中村さん。移住前に支えられた人が、移住後に人を支える、そんなペイフォワードがなされるコミュニティにしていきたいと意気込みを語る。

移住という人生における大きなターニングポイントにおいて、自分だけの価値観や視野では判断ができないという人も多いなか、今後移住者コミュニティのような存在の必要性はますます増していきそうだ。

出典元:YOUTURN Blog

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