HOMEインタビュー 倉庫に眠る生地に新たな命を!コロナ禍でも前進「社会課題を解決するファッションブランド」若手代表の挑戦

倉庫に眠る生地に新たな命を!コロナ禍でも前進「社会課題を解決するファッションブランド」若手代表の挑戦

長澤まき

2020/10/03(最終更新日:2020/10/03)


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提供:coxco

株式会社coxcoは、1893年創業の繊維専門商社株式会社ヤギと業務連携し、廃棄される生地を有効活用してファッションの廃棄問題の解決を目指す取り組みを開始した。

Vol.1として9月、生地を作るうえで最低限出てしまい倉庫に眠っているサンプル生地を活用した洋服の先行販売をクラウドファンディングMakuakeにて実施。同プロジェクトには、目標を大きく上回る応援購入が寄せられた。

なぜ、社会課題を解決するファッションブランドを立ち上げ、コロナ禍の中、プロジェクトを進めているのか?西側愛弓代表に、社会問題をビジネスで解決するための挑戦について取材した。

提供:coxco

服のかたちをしたメディア「coxco」

同社が運営するcoxco(ココ)は、2020年5月に誕生したファッションブランド。しかし、同社が創るものは服ではないという。

同社は「服のかたちをした、社会課題と向き合うメディア」を掲げており、服を通して様々な社会課題を消費者に伝え、地球環境や人の未来を想った消費の選択肢を提供し、共に解決することを目指している。

提供:coxco

Vol.1は、倉庫に眠るサンプル生地を活用

Vol.1となる製品は、倉庫に眠るサンプル生地を使用した、自分と未来に向き合うワンピースとプルオーバー。ワンピースは4色、プルオーバーは6色の異なる生地を使用しており、同じデザインでもシルエットが異なるという点が特徴。プルオーバーはゆったりとしたサイズ感となっており、ユニセックスで着用できる。

いつまでも長く着てもらえるように、その人自身のこだわりや着こなしを、その時々で反映しやすいような洋服を目指した。

提供:coxco/Vol1

提供:coxco/Vol.1

ファッションを通して、持続可能な社会を

西側代表は1995年生まれ・神戸市出身。2017年に神戸女学院大学を卒業後、新卒でサイバーエージェントに入社し、自社メディアの広告商品開発やアドテクノロジーの営業に従事した。

約2年弱務めた後に退職し、2019年12月に同社を設立。代表を務める傍ら、学生時代に立ち上げたフィリピンの貧困地域で暮らす人々をファッションを通して支援するNPO法人「DEAR ME」にて、ファッションショーの開催などを行い、現在はファッションスクールの設立に向け準備を進めている。

今後、現地でファッションを通した教育機会を提供へ。将来的には雇用創出や、事業とNPOで連携を図り、ファッションを通した社会課題の解決を目指している。

-----起業の経緯を教えてください。

西側代表:ファッションを通して持続可能な社会を作りたいためです。

ファッション産業は、2番目に地球環境を破壊している産業と言われているという。

アパレル製品は、日本国内で年間100万トン(約30億着分)が廃棄されていると言われているにもかかわらず、衣類の生産量は年々増加。2030年には全世界で生産量が1億2000万トンに到達する見込みだという。また、大量生産・大量消費は環境破壊だけでなく、労働問題・貧困問題にもつながっているそうだ。

同ブランドは、大量に生産されたアパレル製品が安価に手に入るようになった今だからこそ、一人ひとりが従来の生産や消費の在り方に疑問を抱き、人や地球を想いながら、何を着てどう生きるかを意識していく必要があると考えているという。

提供:coxco/生地倉庫

原動力となった「周囲の優しさ」を還元へ

-----社会問題をビジネスで解決するための挑戦は、とても勇気・行動力がいることだと思います。何が西側さんを奮い立たせたのですか?

西側代表:周りからの応援や優しさです。

すごく挑戦の多い人生のため、他の人よりも周りに助けてもらったり、優しく応援してもらえる機会が多いと感じています。周りの優しさが原動力となっており、私はそれを他の人や社会に還そうと思っています。

提供:coxco/西側愛弓代表

延期を乗り越え、コロナ禍の5月にローンチ

-----協力企業はどのように見つけ、どうアプローチしましたか?

西側代表:もともとヤギ様とは、私が代表を務めるNPOの活動でお取り組みさせて頂いていました

ヤギ様も「YAGIthical」というエシカルを推進する活動をされていたこともあり、お互いの理念に共感してcoxcoとしても活動をご一緒させて頂ける運びとなりました。

-----起業~ローンチまでに、特に大変だったことは何ですか?また、それをどのように乗り越えましたか?

西側代表:コロナウィルスの影響で縫製工場や関係各所が止まってしまい、ローンチ時期を延期したことです。

コロナ禍で大手アパレルの倒産も続いた中で、新しいブランドが大丈夫なのかと不安になり、精神的にも苦しかったです。

ただ、出来ない・難しい理由を並べても何も前に進まないので、5月下旬にコロナ禍に楽しめるファッションを提供しようと、中と外を行き交う服「Vol.0」の発表を行いました。

提供:coxco/Vol.0

いずれはライフスタイルブランドへ

-----仕事をするにあたって、大切にしている考え方・仕事への向き合い方は?

西側代表:お客様や関係各所との対話を大切にしています。

-----これからどのようにビジネスを広げていきたいと思いますか?ビジョンを聞かせてください。

西側代表:今はファッション分野のみですが、ライフスタイルブランドとして広げていきたい。

社会課題の解決と向き合えるライフスタイルを提案していきたいです。

提供:coxco

オシャレを通してサスティナブルな価値観を広げ、社会課題の解決を目指すcoxco。

コロナ禍の中でも歩みを止めず、前向きに力強く活動する同ブランドを起点に、今後新しいライフスタイルがどのように広がっていくのか、楽しみだ。

出典元:coxco

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