昨今、インターンを取り入れる企業が数多く存在しているなかで、学生はどのようにインターン先を選び、どのような姿勢でインターンに取り組めば良いのだろうか。
株式会社Flamersは、大学生のための長期インターン口コミサイト「Voil(ボイル)」を開発し、今年6月より公開している。9月2日(水)時点の登録者数は350人以上。長期インターン先を探している学生たちが、様々なリアルな口コミ情報を交換し、自分のキャリア選択のために活用している。
自身も長期インターン経験者であるという同社代表取締役CEOの佐藤航智さんに、「インターンの経験を自分の成長につなげるためのコツ」をテーマに取材した。
長期インターンのミスマッチを減らしたい
同社は、東京大学工学部3年の佐藤航智CEOと、同4年の設楽広太CPO、北海道大学水産学部3年の柴田展大COOの3人で共同創業した学生ベンチャー企業だ。3人は現在休学中で、同社の運営に専念しているという。
佐藤さんと設楽さんは大学の同期。柴田さんは、設楽さんと同じ海外プログラムに参加したことがきっかけで出会い、2019年春に3人で対面したところ意気投合し、同年夏に同社を共同創業することとなったそうだ。
また、3人はこれまで数年にわたり、複数社で長期インターンを経験してきたといい、その原体験は「Voil」誕生のきっかけともなっている。
ー口コミサイト「Voil」の構想はどのようにしてうまれたのですか?
佐藤さん:もともと「学生の就職活動が辛いという人がいる、という課題を解決しよう」ということが決まっていました。
自分たち自身は、長期インターンによってやりたいことやできることが育ったと思っています。
そんな長期インターンをもっと広めていきたいと思い、現状の課題を知るべく、いろんな友人にヒヤリングをした結果、一番大きな課題と感じたのは「自分に合った長期インターン先がわからず、ミスマッチしている」ということでした。
実際に僕たちもそれぞれ長期インターンで失敗をしたことがあったので、その課題を解決するために、内部の情報をオープンにできるクチコミサービスを作ろうと決めました。
主体的に関わることで新しい発見や成長に繋がる
ーインターン経験者として、インターンの持つ可能性やメリットは何だとお考えですか?また、ご自身はインターンで具体的にどのようなことを得られましたか?
佐藤さん:一番のメリットは「世の中の職業のイメージがなんとなく掴める」というところです。
長期インターンを実施している企業は比較的スタートアップが多いので、代表や経営陣、営業やエンジニアなどが同じフロアにいたり、距離が近いことが多いです。
なので、世の中にどういう職種があり、実際どんな人が働いているのかのイメージがつくようになると思います。
その中で自分はこれが合っていそう、こういう人になりたい、という思いが育っていくことがメリットですね。
インターンを経験する前から漠然と「起業をしたい」という気持ちを持っていた佐藤さんは、数社でのインターン経験を通し、「こういう代表ってかっこいいな」「こういう文化って素敵だな」と、自分の作りたい企業のイメージなどが明確になっていったそうだ。
ーインターンに挑戦する際、意識したほうが良いこと、大切にすべきことは何だとお考えですか?
佐藤さん:最初は何もわからないと思うので、とにかくがむしゃらにやってみることだと思いますね。
慣れてきたらですが、社内のいろんな人に話しかけてみたり、普段やっていない仕事を奪いにいく姿勢も大切だと思います。
特にスタートアップは教育体制が整っているわけではないので、受け身でやっていると仕事や交流関係の幅が広がらないことがあります。
主体的にいろんな人や仕事に触れていくことで、さらにいろんな発見や成長があると思います。
ただ、こんなことを言ってますが、日々仕事を頑張りながらも、楽しく働くことができたら一番だと思います!(笑)
とにかく面接に行ってみることが大切
「Voil」には、大学を主体的に休学している学生や、これまでのインターン先でプロジェクトマネージメントの経験を得た学生など、インターンシップへ意欲的な学生が多数登録しているという。
今年7月時点の口コミ件数は400件以上。さらに、口コミを元に複数の軸で算出した「Voil」独自の企業ランキングによって、登録学生は自分の希望に合う長期インターン先企業を探すことが可能。
利用にあたっては学生である証が必要となるため、口コミ投稿の際にはインターン先企業の目を気にせず正直でリアルな内容を発信することができる点も特徴だ。
「Voil」は現在、東京を中心とした関東圏の企業や学生を主に対象としているが、今後は順次全国規模に拡大していく予定だという。
ー「インターンに興味はあるけど一歩踏み出せない」「どこで挑戦すればよいか決められない」という学生に、アドバイスがあればお願いします。
佐藤さん:なんとなく「意識が高そう」「面接で怒られるんじゃないか」って不安はあると思います。
僕も最初の面接の時はガチガチでした(笑)。
とにかく、構えすぎずに、面接にたくさん行ってみることをお勧めします!
別に落ちてしまっても良いんです。面接を通じてスタートアップや面接の雰囲気がわかるので、得るものはあると思います。
また、口コミの情報をはじめ実際に経験者から話を聞くということで、業務内容や雰囲気のイメージがわき、面接に対する恐怖感は和らぐだろうという。
今後は新規事業の展開も
長期インターンを通じて自分のやりたいことやできることを育てるためには、まずは一歩を踏み出すことでチャンスを掴み、主体的に関わっていくことが大切だという佐藤さん。
今後は「Voil」を伸ばしていくことに注力しつつ、学生やキャリアに限定されずに新規事業も手掛けたいと意気込みを語る。
長期インターンで受けた影響をうまく取り入れ、事業に取り組む佐藤さんの今後の活躍に目が離せない。
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