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フードロスをなくしたい!八百屋×新聞屋の新宅配サービスを立ち上げた24歳起業家に聞く、行動力の秘訣とは

白井恵里子

2020/08/29(最終更新日:2020/08/29)


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竹下友里さん

規格外野菜のフードロス解決に取り組むタベモノガタリ株式会社は、神戸新聞販売店と提携し、地元神戸産の新鮮な朝採れ野菜を新聞と一緒に週に1回届けるという新しいサービスを展開している。8月20日(木)現在、対象は約1万5000世帯だ。

同社は、「形はワルいが、味はイイ。」をコンセプトに掲げ、規格外野菜のフードロス解決に取り組む「八百屋のタケシタ屋」を兵庫県神戸市にて展開している。

代表取締役社長である竹下友里さんは、24歳という若き起業家。高校2年時のカナダ留学をきっかけに世界の食のアンバランスに対する問題意識を持ち始めたことから、国際協力やビジネスを学び、大学在学中に同社を設立した。

目標に向かって勉学に励み、自分の想いをかたちにすべく行動を起こし続ける竹下さんに、行動力の秘訣を取材した。

カナダ留学で食べ残しの多さに驚愕し、食の分野へ

竹下さんは、留学時代に持ち始めた問題意識をきっかけに、関西学院大学総合政策学部で国際協力を学んだ後、神戸大学農学部へ3年次編入。1年の休学を通してビジネスを学び、大学在学中に同社を設立した。

ーフードロス問題に興味・関心を持った経緯を教えてください。

竹下さん:高校2年生のときに1年間行ったカナダ留学で、ホームステイ先の食べ残しの多さを見たことが1番のきっかけでした。

幼少期から米粒ひとつも残さず食べることが当たり前だと思って育った私は、「食べ物って捨てるもんなん!?」と常識外の行動を目の当たりにしたときに非常に驚きました。

中学生の頃から国際協力に興味があったという竹下さんは、「世界の一方では食べられずに死んでしまう人がいるのに、世界のもう一方では食べ物が捨てられている」という矛盾に気づき、食の分野に進んでいったという。

竹下さん:余剰食品を食べ物に困っている人のところに届けられれば良いという単純な話ではなくて、その背後にある食品流通の仕組みを変えなければいけないということに気づくのには、時間はかかりませんでした。

「規格外野菜」の廃棄をなくしたい

「八百屋のタケシタ屋」の野菜は、全商品産地訪問して直接農家から仕入れている、厳選地元野菜だ。形や見た目にはこだわらず、味が良いかだけを唯一の規格としており、集荷・配送は全て自社便で行っている。

同社によれば、日本ではこれまで大量生産型の農業が主流だっため、"段ボールに効率的に入るから"という理由から、野菜の形や大きさを決めるための「規格」がうまれたという。

その結果、農家が生産する野菜の3割は「規格外野菜」として廃棄されているのだそう。

食料自給率は約40%、農業人口の高齢化と減少、新規就農者の離農率は3割...という現在の日本において、この状況はいち早く打破しなければという想いで、竹下さんは今回、新聞屋との連携を決めた。

ー新聞屋とタッグを組むという発想はどのようにして生まれ、実現したのですか?

竹下さん:宅配をしてほしいという要望はお客さんからあったものの、弊社もまだまだ小さい企業なので、そこまでの流通を実現する企業体力がなかったのです。

そのときにたまたまテレビ出演をし、神戸新聞の販売店さんからコラボレーションのご提案をいただきました。

新聞屋の強みはラストワンマイルの配送。弊社は販売するための商品を用意できる。

それぞれの強みを活かしたコラボレーションが実現しました。

これまで自社便で集荷・配送をしたり、駅ナカや商業施設の広場などを活用して販売をしたりと、地道に活動を続けてきた同社だが、今回の連携により新しい農産物流通のかたちが実現した。

経験が増えるとプランも進化していく

ーこれまで目標に向かった確実な行動力が印象的ですが、長期的にプランを立てて計画的に実行されているのですか?

竹下さん:10年スパンぐらいでは「こんなことやあんなことをしたい」といった妄想はしています。

しかし、未来から逆算して今の行動を決めているという感覚はあまりありません。

私は気分屋なので(笑)、プランを立てたところでどうせやりたいことが変わると思いますし、なにより自分の経験量に伴って視野が広がり、「やるべき」だと考えることも進化していくと思うんです。

なので、今の自分の知見内で明確なプランを立てず、あえて余白を持たせるようにしています。

提供:ご本人

ー問題意識があっても実際に行動に移すことができない人がたくさんいるなかで、行動力の秘訣を教えてください。

竹下さん:いきなり大きな一歩を踏み出そうとするんじゃなくて、今の身の丈にあったアクションを起こそうとすることでしょうか。

「身の丈に合っているか」「自分を偽っていないか」というのは常に問いかけている気がします。

それと、私の場合、「これっておかしくない?」と思ったら見過ごせないタイプで。それも後押ししているとは思いますね。


今後は、神戸でのモデルケースを他の地域にも展開していくことが目標だという竹下さん。

目標に向かって突き進む彼女の行動力の裏には、自分の経験値とともにプランを柔軟に変化させ、「今の身の丈にあったアクション」を積み重ねていくという独自のスタイルがあった。

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