HOMEインタビュー 「新しい掛け算」という名の事業価値を。元サイバーエージェント幹部が、飲食業界で起業した理由とは

「新しい掛け算」という名の事業価値を。元サイバーエージェント幹部が、飲食業界で起業した理由とは

白井恵里子

2020/08/27(最終更新日:2020/08/28)


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小柳津 林太郎さん(提供:株式会社GHOST)

飲食のDX支援事業を行う株式会社Fuegoは8月17日(月)、東京・上目黒にヘルシービビンバ専門店「イテウォンボウルズ」をオープンした。

同社は、小柳津林太郎(おやいづ りんたろう)さんが代表取締役CEOを務める株式会社GHOSTの子会社。小柳津さんは、サイバーエージェントでの勤務を経て、CyberX代表取締役に就任したという輝かしい経歴を持つ。

IT業界を中心にキャリアを積んできた彼が、なぜ飲食業界で起業を試みたのだろうか。業界の垣根を越えて挑戦を続ける理由について、小柳津さんを取材した。

「若くからチャレンジする」ことへの共感

小柳津さんは、幼少期~14歳までを米ニューヨークにて過ごし、2006年にサイバーエージェントへ入社。2009年、CyberXの代表取締役に就任し、その後CyberX NYCを設立した。

2018年、Amazon Prime Video「バチェラージャパンシーズン2」に参加し、注目を集めた。

2019年、サイバーエージェント時代の同期であった目良慶太(めら けいた)さんとともに、株式会社GHOSTを創業。その後、当時飲食店3店舗の統括マネージャーを務めていた熊田勇太(くまた ゆうた)さんを誘い、今年1月に子会社である株式会社Fuegoを設立した。

ーFuegoを設立した経緯を教えてください。

小柳津さん:GHOST創業前に別の仕事で熊田くんに出会ったのですが、その時「この男、人間力あるな。いつか、一緒に働いてみたいな。」と思っていました。

その後、彼と何度か一緒に食事をしていくなかで、「若いのに気合入ってるな。うまが合うな。」と相性の良さに気付きました。

熊田さんは当時25歳。彼は横浜にある「野毛ビストロZIPテラス」含め、飲食店3店舗の統括マネージャーを務めており、同じ25歳でCyberXの代表取締役に就任した経歴を持つ小柳津さんは、「若くからチャレンジする」ということへの共感が芽生えたという。

ある日、熊田さんが「独立しようと思う」と話した際、小柳津さんの方から「うちのグループでよければ一緒にやろう」と声をかけ、Fuego設立に至ったという。

(左から)小柳津さん、熊田さん、目良さん

様々な業界を知るからこそ生み出せる新しい事業価値

ーこれまでキャリアを積んできた業界と異なる業界で起業をするメリットは何だと思われますか?

小柳津さん:僕自身社会人15年目になるのですが、ここに至るまで、「広告業」「WEBサイト制作業」「携帯ゲーム」「オンラインテレビ局」など様々なことに挑戦してきました。

起業してからは「飲食業」、そして今後は「美容」「健康」「オンラインサロン 」など幅を広げてやっていく予定です。

異なることにチャレンジし続けることは、自分の幅や人脈が広がるだけでなく、各業界ごとの違いや共通点が見えてきます。

最大のメリットは、様々な業界を知るからこそ、「新しい掛け算」という名の新しい事業価値を生み出せることではないかと実感しています。

例えば今は、「飲食」×「IT」といった類で新たな価値を産み出そうとしています。

ー「飲食」×「IT」とは具体的にどのような事業を考えていらっしゃるのですか?

小柳津さん:コロナ禍で「#stayhome」「#staysafe」という流れができ、家飲み・おうちご飯という流れが加速して、デリバリー業界やECが急速に伸びてきました。

この領域は「IT」業界らしい「PDCAサイクル」を高速で伸ばすことが求めらています。言わば運用です。

また、従来の飲食店は「接客」のみで営んでいたところがほとんですが、今後は、「デリバリー」「テイクアウト」「イートイン」「EC」という領域をIT知識、ツールを駆使して伸ばしていく余地があります。

そこに全力で着手しようと考えています。

提供:株式会社GHOST

今回オープンした「イテウォンボウルズ」では、グリルプロテイン、多くの新鮮な野菜、アジア風のソースにより低カロリーを実現したビビンバを提供する。

Uber Eatsなどのフードデリバリーを通じて配達を行うが、店舗にてイートイン・テイクアウトをすることも可能だという。

ーコロナ禍で飲食店を立ち上げた理由を教えてください。なぜヘルシービビンバ専門店だったのですか?

小柳津さん:コロナは予期していなかったので、実店舗ではじめようとしていたところを、「デリバリー」からスタートすることに切り替えました。

ヘルシービビンバにいきついたのは、初期に考えていたアルゼンチンステーキ、ローストビーフ丼のデリバリー事業がデリバリー領域では改善の余地があったため、別のブランドを立ち上げなければという危機感のもと、色々考えた結果です。

僕がもともと海外によく行っていたので、「日本になくて」「自分が毎日食べたいもの」という機軸でいきつきました。

「ありそうでなかったもの」をプロデュースしたいという発想です。

目指すは全国展開

同社は今後、「飲と食を通して人を良くする」をビジョンとして掲げ、デリバリー形態を中心とした同事業に加え、自社プロデュースのワインやスピリッツのDtoC事業も計画しているという。

小柳津さん:飲食業界に新しい風と価値を生み出せるように、多店舗展開を丁寧にかつ迅速に仕掛けていきたいと思います。

せっかくなので、飲食業界がより潤い、より優秀な人材が入ってきたくなるような、ケーススタディや知恵を振り絞り、様々な方々の力をお借りして形にしていきたいと思います。

目指せ、全国展開!

彼の業界に囚われない自由な発想と行動は、この先どのようなビジネスに繋がっていくのか、非常に楽しみだ。

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