HOMEインタビュー 初期費用0円、5秒で家が見つかるアプリ"NOW ROOM"がフリーランスの住居支援に注力する理由とは

初期費用0円、5秒で家が見つかるアプリ"NOW ROOM"がフリーランスの住居支援に注力する理由とは

白井恵里子

2020/07/25(最終更新日:2020/07/25)


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千葉史生代表(提供:株式会社Living Tech)

マンスリーマンションや民泊などの短期賃貸物件の空室をアプリで予約することで簡単に入居ができるサービス「NOW ROOM」を提供する株式会社Living Techは、7月15日(水)にフリーランス向け報酬即日払いサービス「先払い」を提供するyup株式会社との業務提携契約締結を発表した。

これにより、「NOW ROOM」登録フリーランスは、「先払い」のサービスを初回無料で利用することができるようになった。2社はフリーランス支援という点で目的が一致し、同じゴールに向かって足並みをそろえたのだ。

では、フリーランスの住居支援はなぜ必要なのだろうか。今後の展望も含め、Living Tech代表の千葉史生さんを取材した。

短期賃貸物件に簡単入居できるアプリ「NOW ROOM」

近年急増傾向にあるフリーランスという働き方。企業に属せず業務委託契約で成果報酬を得るというスタイルは、働き方の自由化を実現する。

しかし、デメリットがあることも事実だ。そのひとつとして、社会的信用を取得しにくいという点があげられる。金融機関や不動産会社からの信用が得られないことで、生活していくうえで支障をきたすという声が多く上がっているという。

同社によればフリーランスのなかには、住まい選びにおいて初期費用の資金調達が難しい、賃貸審査が通過できない、収入が不安定なため不動産のローンが組めず家を購入できないなどといった、様々な課題を抱えいる人が多いそうだ。

現在ユーザーの5割がフリーランスという「NOW ROOM」では、前述の課題を解決するため、短期賃貸物件(短期普通賃貸・マンスリーマンション・シェアハウス・民泊・ホテル・ゲストハウス等)の空室をアプリで予約することで、簡単に入居ができる。「初期費用0円、5秒で家が見つかる」アプリとして、現在利用者や予約数は急増している。

4月に開始した事前登録から約1カ月で5000人以上のユーザーを獲得。同社はすでに、全国で1万5000室以上の部屋を確保しているという。

審査が不要のため「速い」、初期費用なしで家具家電付きのため「安い」、そして4万円台のシェアハウスから高級ホテルまでを網羅するため「多様な部屋」と、特にフリーランスにとっては嬉しい特徴が3つ揃っている。

提供:株式会社Living Tech

日本の住環境をアップデートしたい

千葉さんは、イギリスの大学院を卒業後、現地で就業・起業。2016年に本格帰国したものの、日本の住環境に関して不透明性が高く、流動性が低いと感じ、「アップデートしたい」という気持ちが高まったという。

2018年1月に同社を設立し、現職に。2020年5月に「NOW ROOM」を正式リリースした。

千葉さん:ターゲットは、元々フリーランス・外国人労働者の方々がメインと考えていました。

日本国内でも増加傾向にある、フリーランス・外国人労働者の方々は、審査・初期費用・住居期間などの課題を抱えており、テクノロジーで解決できると感じたからです。

今回の業務提携は、両社ともにフリーランス層における「課題解決」を目的としていることから実現に至ったそうだ。

「先払い」は、フリーランスユーザーが取引先に送った入金前の請求書情報を登録することで、報酬を即日受け取ることができるサービス。面談や書面でのやり取りは一切不要で、審査は最短60分で完了するという。利用者の70%以上がリピーター化しており、申込件数はサービス受付開始から7カ月で1000件を突破した。

今回の業務提携により、「NOW ROOM」ユーザーは「先払い」で使用可能な初回無料クーポンを取得することができるようになった。

千葉さん:働くこと(給料をもらうこと)と住まいは、常に生活になくてはならないセットとして、解決されるべきだと考えています。

(yup株式会社とは)ユーザー層が似通っているのはもちろんのこと、今後お互いのサービス連携で、利用履歴データを活用し、与信枠の拡充や、利用履歴自体からその人を評価できるようなサービスを目指しています。

千葉史生代表(提供:株式会社Living Tech)

苦い原体験も原動力に

ーフリーランスのサポートに注力される理由を教えてください。

千葉さん: 2つあります。1つ目は、マーケット自体が成長しているということです。

日本の人口総数が右肩下がりで減っている中、フリーランス人口は年々増えており、22.8%と、全国でも200万人ほどいると言われています。

2つ目は、課題解決の余地が多くあるということです。

不動産の提供者側からすると、フリーランスや個人事業主は、審査が通りづらく懸念される傾向にありますが、その信用を担保するような抜本的な対策が取れていない現状もあります。

NOW ROOMは、プラットフォームとして、フリーランサーの信用の担保や与信をデータやAIを使い自動的に解決する施策をとっています。

提供:株式会社Living Tech

また、千葉さん自身も以前、会社員を辞め独立した際に、「収入は増えたはずなのに不動産の契約に通らない」苦い経験をしたことがある。

そのような体験で悩む人を少しでも減らしたいという想いもあり、現在フリーランスのサポートに注力しているという。

ーフリーランスのユーザーからは、具体的にどのような声があがっていますか?

千葉さん:感想としては、「ホテルに滞在するように、家選びができるので便利」「初期費用や2年縛りがないのでライフスタイルに合った引っ越しがしやすい」といったような声があります。

要望としては、「家具無しの物件も増やして欲しい」「普通の賃貸物件なども借りたい」などをいただいており、これらの掲載も順次進めていく手筈で進めています。

賃貸期間の短期化は進む見込み

千葉さんによれば、実際に普通賃貸の不動産でも賃貸期間の短期化は起こっており、2年未満で解約する人が、40%近くいるということが分かっているそうだ。

千葉さん:働き方の多様性や流動性の高まり、外国人労働者の増加等で、短期で住居を住み替える傾向は増加すると見ています。

現在の掲載物件は、マンスリー賃貸・ホテル・民泊・シェアハウス等の物件がメインですが、今後は普通賃貸物件を掲載する仕組みを進めていきたいと思っています。

今後ますます増えていくだろうとされるフリーランスが、安心して暮らし、働くことができるよう、その支援に注力する同社。

「NOW ROOM」を通じた千葉さんの挑戦は今後も続いていく。

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