厚生労働省が定める「副業・兼業の促進に関するガイドライン」には「副業・兼業を行える環境を整備することが重要である」との記述があり、国をあげて副業・兼業の促進を図っている状況下、副業に特化したマッチングサービスで急成長を遂げている企業がある。
株式会社シューマツワーカーが運営する、エンジニア・デザイナー・マーケターを中心としたDX人材の副業マッチングサービス「シューマツワーカー」では、2017年の正式リリース以降、登録者は2万3000人を突破し、2020年7月現在の掲載副業案件は約1800件にもおよぶ。
同社によれば、新型コロナウイルス感染拡大による移動の制限などを受け、オフィスに縛られない働き方が前提となる新時代において、副業は改めて脚光を浴びているという。
さらに副業は、「収入減を補うための手段」のみならず、自身の経験や知見をシェアすることで自分や副業先の成長につながるという考え方や、本業との相乗効果によって自身の経験値を高めるという方法など、そのかたちは多様化している。
今後も副業人材の活用事例が増えていくと予想されるなか、"キャリアアップ手段としての副業"に挑戦したいというビジネスパーソンは、どのような視点で、どのように副業に取り組むべきなのだろうか。
同社の代表取締役・松村幸弥さんを取材した。
原体験をもとに「シューマツワーカー」を立ち上げ
松村さんは、2012年に横浜国立大学経営学部を卒業後、インターネットコンテンツの企画・制作などを手掛ける株式会社ボルテージに新卒入社。 ソーシャルゲームのプロデューサーを経て、2016年に株式会社社食コレクション(現:株式会社シューマツワーカー)を設立し、現職に。
会社員時代に200万円の借金を背負い、その返済のために副業を探すもまったく見つからなかった経験から、副業したい人と企業をマッチングするサービス「シューマツワーカー」を立ち上げ、2017年7月に正式リリースした。
シューマツワーカーの副業は、「スポットコンサル型」でなく、1週間に約10時間程の稼働時間でベンチャー企業の実務をこなすという、「ハーフコミット型」。副業ワーカーは、ベンチャー企業で副業することで、報酬をもらいながらスキルアップすることができるという仕組みだ。
ー「収入を得るだけではなく、キャリアアップや自分の可能性を広げるための副業」世の中にこのような考え方が生まれた背景として、どういったものがあるとお考えでしょうか?
松村さん:1点目は、TwitterやFacebookなどのSNS普及によって、経営者だけでなく、各企業の社員も発信力や求心力を持つようになったことが挙げられると思います。彼らはSNSを活用して、目先の金銭目的ではなく、中長期的に自身のキャリアアップにつなげています。
また2点目として、今までは終身雇用が一般的でしたが、今は転職が当たり前(よりカジュアルなもの)になっています。
とはいえ、昨今の社会情勢もあり、ひとつひとつの転職には慎重にならざるを得ない状況でもあります。
なので、思い切ったキャリアチェンジよりも副業というリスクヘッジをしたキャリア形成が合理的であるという考え方が広まっているのではないでしょうか。
キャリア像を明確化することが大切
従来の「単に収入減を補うための副業」ではなく、キャリアアップや成長のために、または本業との相乗効果をうみだすために副業をしたいというビジネスパーソンは、どのような視点で、どのようなタイミングで副業先を探し、どのような姿勢で副業にチャレンジすべきなのだろうか。
松村さんによれば、まずは自身が目指す5年後〜10年後のキャリア像を明確化し、今自分に足りていないギャップを埋められるようなスキルや経験を得られる副業を見つけることが大切だという。
松村さん:副業を始めるタイミングに正解はないと思いますが、シューマツワーカーで副業をしている人は、社会人3年目以上である程度本業でパフォーマンスを出せるようになり、余裕ができている人が多いですね。
副業だとしても主体性を持って、与えられたタスクだけではなく、会社の課題やミッションを意識して取り組むという姿勢でチャレンジすべきだと思います。
ー一般的に、副業を始める際に意識したほうが良いこと、気を付けるべきことなどがあれば教えてください。
松村さん:まずは、自身が何のために副業をしたいのか、モチベーション(お金、成長、ビジョンへの共感、一緒に働く人など)が何かを意識し、それにあった副業を探すこと。
そして、自身が副業できる時間や作業にあてられる時間量をしっかり見積もり、企業側と事前に期待値をコントロールすること。
最後に、契約書をしっかり結ぶことも、忘れてはならない重要ポイントです。
今後副業は一般化していくと予想
同社によれば昨今は、ITベンチャー企業だけでなく、大手企業や非IT中小企業・官公庁・自治体などでも副業人材を活用するケースが増えているという。
松村さん:日本は労働人口不足におちいるという不可避で深刻な課題を抱えています。
一方で、コロナの影響によって、クラウドツールの活用やテレワークなど企業側の働き方改革が一気に進みました。
企業は労働リソースを確保するために、正社員に限らず、多種多様な働き方をする人材リソースを募集し始めます。それに伴って、副業はIT職種に限らず、副業は一般化していくと思われます。
増えていく数々の選択肢の中に自分が飲み込まれないためには、キャリア像やモチベーションを明確化し、主体性をもって、双方が納得したかたちで副業に挑むことが大切だとする松村さん。
「シューマツワーカー」リリースから3周年を迎えた7月、同社は約4億円の資金調達を実施した。今後は副業をはじめとする新しい働き方や、関連する様々な課題を解決するための新規事業も含めたサービス開発・改善・マーケティング、それらを実現するための組織強化に資金投下を図っていくとしている。
出典元:厚生労働省/副業・兼業
【関連記事】
いつでも・誰でも・どこからでも「副業」に挑戦できる!ユニリーバが人材募集を開始、選考・業務は原則オンライン
ユニリーバ・ジャパンは、いつでも・どこでも・誰でも同社での副業・インターンシップにチャレンジできる新しいプラットフォーム「WAAP(Work from Anywhere & Anytim...
優秀な営業パーソンを募集!空き時間を活用できる営業特化型副業マッチングサイトが始動
株式会社IWANAWORKSは、営業職に特化した副業マッチングサイト「Sales Match(セールスマッチ)」の提供を始めた。7月4日(土)より、テストユーザー20人の募集も開始している。 ...
成長につながるキャリアチェンジへ、今踏み出す!6月第4週に発表された「使える!転職・副業関連サービス」まとめ
キャリアアップや成長のため、転職や副業にチャレンジしたいというビジネスパーソンは多いが、様々な理由から一歩を踏み出せないことも。 「転職するにはまず何から始めれば良いか分からない」「副業に...
U-NOTEをフォローしておすすめ記事を購読しよう