新型コロナウイルスの影響で打撃を受けるレジャー界のなかでも、その特徴を活かし注目を集めるアクティビティがある。
Bay Works Tokyo Fishingは、コロナ禍でも都心で楽しめるレジャーとして、貸切小型船でのフィッシング体験を提供。3密を回避でき、都心から出船可能ということで、老若男女問わず幅広い利用者から好評なのだという。
代表の遠藤逸郎さんは、子どもの頃から自他ともに認める「根っからの釣り好き」。好きなことを仕事にしたいと、2016年に同社を開業した。
好きなことを仕事にするという選択肢に迷いや困難はなかったのか。遠藤さんを取材した。
初心者や外国人観光客にも人気
同社によれば、昔ながらのイメージである沿岸からの餌釣りとは異なり、ボートに乗船し、疑似餌(ルアー)を使って行う「ルアーフィッシング」は、大人のレジャーやスポーツの一種として人気を博してきたという。
同社ではビフォーコロナから、小さい子ども連れのファミリー層や外国人観光客、釣り上級者など、多くの人々に釣りの魅力や技術を伝えている。
釣り道具は全てレンタル可能なため、手ぶらで乗船が可能。釣りのイロハを手取り足取り教えてくれる船長・遠藤さんは、初心者対応経験も豊富だ。
釣りスポットは東京湾。季節にもよるが、スズキやクロダイ・サワラ・イナダ・アジ・タコなど、多様な魚が釣れるのだそう。行先はオーダーメイドとなっており、浅草橋や日本橋付近など、都内の有名スポットを通行できるという特徴も。
最近では、特にこのコロナ禍で県境を越えての移動自粛や3密を避けた行動が求められるなか、開放的な貸切船でのルアーフィッシングは、船上では乗船者以外に接触がないことから、改めて注目を集めているそうだ。
レジャーとしての釣りの裾野を広げたい
遠藤さんは、釣り好きの父親の影響もあり、2歳から釣りを始めていたという。
18歳で東海大学海洋学部へ入学、20歳で船舶免許を取得した。22歳で有名フィッシングメーカーに営業マンとして入社後、27歳で同社を開業し現在に至る。
この経歴からも分かるように、遠藤さんにとって「釣り」というものはとても身近な存在。その大好きな釣りの魅力をもっと多くの人に知ってもらいたいという想いで、同社を始めたそうだ。
遠藤さん:レジャーとしての釣りの裾野を広げたい、というのが開業のきっかけです。
釣り好きの私の姿を見た学生時代の友人などと、一緒に釣りに行って釣りの体験をしてもらうと、皆は「とても楽しい」と言って、釣りに夢中になっていきました。
たくさんの友人が私との釣行をきっかけに釣りに夢中になってくれたのは、「初めての釣り」が釣りに詳しい人(=私)の釣り道具を使って、アドバイスを受けながらの初体験だったため、心から釣りを楽しめる環境が作れたからだと思います。
しかし一般的には、実際に釣りを全くやったことがない方がいざ釣りを始めようと思っても、どんな道具を揃えたらいいのか、釣りたい魚はどんな釣り方で釣ったらいいのか等、分からないことだらけで、なかなか魚が釣れない...結局思うように釣りを楽しめず、魚も釣れず、「よく分からなくて楽しくないもの」と思ってしまう方が多いと思います。
そもそもいろんな道具を集めなければならないと思われがちで、「釣りをしよう!」と思ったときのハードルが高く思われがちなのではないかと。
遠藤さんは、そういった「釣りをしてみたい」という人々が手ぶらで乗船し、手軽に大物を釣ることができるような環境を作ることで、釣りのハードルを下げ、レジャーとしての釣りの裾野が広がるのではと考え、開業を決意したという。
遠藤さん:さらに、「都心でも楽しめる手軽なレジャーでもある」ということも知ってもらいたくて、都心出船可能な都内で開業し、一般的な大型の漁船タイプではなくボートタイプで小回りのきく船を導入して船を貸し切るハードルを下げ、未経験の仲間同士で簡単に船を貸し切っていただきながら、全員につきっきりでサポートできる環境を作りました。
手ぶらで楽しめる「手軽さ」がポイント
東京湾では、通年釣れる高級魚に加え、季節ごとに美味しく食べられる旬の魚も釣ることができる。
春先や秋口など過ごしやすい気候の時期や、食べたい魚のシーズンを狙うなど、利用者の好みやレベルに応じて釣行時期を選ぶと、より楽しめるそうだ。
利用者の7割は初心者グループやファミリー層。中上級者の釣り愛好者による利用を上回る理由には、その「手軽さ」が挙げられる。
遠藤さん:当船では、何の準備もなく、手ぶらで釣りが楽しめることが特徴ですので、服装はTシャツ、デニムにクロックスなど普段着で大丈夫です。
釣り道具は、釣り竿や疑似餌(ルアー)からライフジャケットまで全てレンタル可能なので、本当に手ぶらでいらっしゃるお客様も多いですよ。
熱中症対策など、季節に合わせて暑さ・寒さ対策だけしてもらえれば問題ありません。
遠藤さんによれば、朝早い時間帯と夕方が「まずめどき」といって、魚が積極的に餌を食べる時間帯のため反応が良くておすすめなのだそう。
そして、意外にも好評な時間帯は夜。レインボーブリッジや東京タワーなどのライトアップが船上から見られるため、夜景と釣りが同時に楽しめるという。
人に必要とされるまで突き詰めることで自然と仕事に
ー起業にあたり、迷いや不安はありませんでしたか?
遠藤さん:結婚を控えていたため、会社員時代の安定した生活を捨ててまで自分のやりたいことを仕事にしていいのか、とても悩みました。
しかし、前職時代の取引があった方に開業のアドバイスをいただいたり、お客様に「楽しみにしているよ!」とお声がけいただくなど、たくさんのご縁に恵まれたこともあり、最終的には開業を決意しました。
実際に前職時代のお客様にご来船いただくことも多く、開業間もなくから、なんとか生計を立てることができたので、たくさんの方とのご縁に本当に感謝しています。
ー趣味や好きなことを仕事にしたいという人へ向けて、アドバイスを一言お願いします。
遠藤さん:趣味や好きなことを仕事にするということは賛否両論、様々な意見があると思います。
しかし私は、好きなことを仕事にでき、それで生計を立てる事が出来ればこれほど幸せな事はないと思います。
私の場合は、子どもの頃から好きだった「釣り」がそのまま仕事になりましたが、自分の好きなことや技術を人に必要とされるまで突き詰めることが出来れば、それが自然と仕事になると思います。
"人に必要とされるまで"好きなことを突き詰め、そして周囲の後押しや応援があったからこそ、釣りを仕事にすることができたと遠藤さんは話す。
コロナ禍でも安心の注目レジャー・ルアーフィッシングは、ビジネスパーソンの余暇にも最適だ。根っからの釣り好き船長に、一度会いに行ってみてはいかがだろうか。サービス詳細については、同社プレスリリースにて確認ができる。
【関連記事】
旅行需要の復興に挑む。写真で旅行の価値を拡大する新事業「CURBON TOURS」が目指すビジネスモデルとは
写真の学びサイト「CURBON」を運営する株式会社CURBONは6月22日(月)、オーダーメイドの旅を提供するトラベル・コンシェルジュ・カンパニーである株式会社旅工房による協力のもと、従来の旅行...
キャリアを活かして社会貢献。オンライン型無料労働組合「みんなのユニオン」で活躍中弁護士が実現する本業との相乗効果
誰でも無料で加入ができるオンライン型無料労働組合「みんなのユニオン」は5月より、職を失った人の電話相談を無料で受け付け、違法な解雇に対しては専門家による助言等を受けながら交渉まで行う、新たな組合...
社長以外は全員業務委託!「いいオフィス」社長が省エネ経営を通じて目指すビジネスモデルとは
コワーキングスペース事業を運営する株式会社いいオフィスは6月18日(木)、長野県の軽井沢町に新コワーキングスペース「いいオフィス軽井沢by いこいヴィラ」をオープン。これにより、同社が運営する店...
U-NOTEをフォローしておすすめ記事を購読しよう