中部国際空港セントレアの空港内で働く全スタッフの中から素晴らしいおもてなしをしたスタッフを表彰する「2019年間CSグランプリ」で、空港島内の清掃を担当するサンエイ株式会社の2年目社員である松山叶実さんがグランプリを受賞した。
空港を気持ちよく利用してもらえるよう、業務である清掃はもちろん、利用者の困りごとや案内などにも臨機応変に対応し、素晴らしいサービスを提供したことが評価されたという。
本来の担当業務を超えた上質なサービスをどのように実現させたのか?松山さんに、仕事への向き合い方・考え方について取材した。
財布を落とした利用者に柔軟に対応
セントレアでは、利用者の満足度向上に向けて、空港島内の約40事業者が連携して「CS空港連絡会」を構成。利用者から寄せられた声や、空港内のスタッフの推薦の中から、心に残る素晴らしいサービスを提供したスタッフを上期・下期に分けて表彰し、その中で優れたスタッフを年間CSグランプリ受賞者として表彰している。
2019年度のグランプリを獲得した松山さんは、空港島内の清掃を担当するサンエイ株式会社の2年目社員。
清掃スタッフとして国際線出発制限区域を担当していたある日、清掃スタッフの先輩が財布を無くして困っている外国籍の利用者を発見。松山さんが対応を引き継ぎ、利用者を遺失物が集まる案内所へ一緒に走って案内した。
しかし、案内所にたまたまスタッフがいなかったことや、搭乗時間が迫ってきていたことから、松山さんは利用者を搭乗ゲートへ案内することに。
その道中に案内スタッフを見つけ、利用者への対応を引き継いだところ、財布が案内所に届けられていることが判明。持ち主である外国籍の利用者への返還手続きがなされ、利用者は無事に予定していた便に搭乗することができたという。
松山さんのもとには後日、感動した利用者から英文の手紙が届いたそうだ。
マネージャー経験から「空港清掃」に興味
-----現在の仕事に就いた経緯を教えてください。
松山さん:学生の頃、部活でマネージャーをしていた経験から、
周りを見て動くことが多くありました。 職場見学をした際に、「空港内全体を見渡して清掃する」
という話を聞き、 マネージャー経験と通じるものがあり興味を持ちました。 また、地元が空港周辺ということで、
小さいころから空港に遊びに来ることが多かったのですが、空港清掃の仕事だと、 空港内の色々な場所に行けることも魅力の1つでした。
空港の清掃=居心地の良い空間の提供
-----搭乗時間が迫っている中、外国籍の利用者の落とし物を探し出すのは大変ではなかったですか?問題を解決するために、どのように考え・どう動きましたか?
松山さん:研修の頃から「空港の清掃=キレイな空港を提供」ではなく、「
空港の清掃=いごこちのいい空間を提供」と教わってきました。
清掃だけの仕事と割り切ってしまえば、 困っているお客様の対応は担当する案内スタッフに任せればいいか もしれませんが、それではお客様にとって「いごこちのいい空間」 にはなりません。 周りを見渡し、
困っているお客様に対応することも、清掃スタッフとしての仕事だと 入社時から意識していました。 また、
普段は、困っているお客様がいても案内所へ連れていくことはなく、行き方を案内するだけでした。しかし今回は、お客様が財布を失くされ、 また搭乗時間が迫ってきていたために大変焦っていた様子だったので 、一緒に走って案内所まで道案内するよう判断しました。
-----担当業務をまたいだ上質なサービスを提供するために、他の業務担当者との関係をどのように構築していますか?
松山さん:もともと空港島内のCS(お客様満足度)を上げるべく、
日頃から空港島内事業者が一体となって連携しています。 事業者間で業務の区切りはあるものの、
お客様の対応については区切りを決めず、 どの事業者も率先して対応するようなマインドが根づいています。
仕事は楽しく、コミュニケーションも大切に
-----今回のようなイレギュラーな事態に臨機応変に対応できるよう、どのように備えていますか?
松山さん:自分の仕事はもちろん掃除ですが、
それ以外にもすぐ気がつけるよう、常に周りに目を配ることを心がけて います。
-----仕事に対する考え方・向き合い方を教えてください。
松山さん:「仕事は楽しく」がモットーです。
清掃業務ももちろんですが、
同じ会社の社員の方ともコミュニケーションを取るよう心がけています。
自分の業務を広い視野で捉えて、心地よい空間をつくるために臨機応変に仕事に取り組む松山さん。
担当業務をまたいだ上質なサービスは、松山さんの仕事への真摯な向き合い方と、サービス向上にむけて日頃から各事業者が一体になって連携するセントレア全体の働き方に支えられていた。
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