フィリピンの自然豊かな原料・素材を使用したオーガニック・ハンドメイド製品や、アップサイクル・サスティナブルファッションを意識しセレクトした製品の製造・販売を手掛ける株式会社If will。
同社代表取締役の神田麻里さんは、日本とフィリピンを行き来しながら、「環境・作り手・使い手に優しい製品」をコンセプトに、フィリピンのクリエイターが手作りする雑貨などを日本でオンライン販売している。
現在は新型コロナウイルス感染拡大の影響でフィリピンに留まっているが、6月8日(月)、ロックダウンにより収入が減ったフィリピンの人々を支援するためのクラウドファンディングを開始。
「事業で継続的にフィリピンの助けになりたいと決めた以上、何もせずにはいられない」と、即座に行動を起こした神田さんに「行動を起こすことの大切さ」をテーマに取材した。
モリンガや雑貨などの輸入販売を展開
神田さんは2017年にフィリピンへ渡航後、同国の首都圏やセブなどの不動産を取り扱う、日系の不動産会社で賃貸管理を中心とした仕事に従事していた。
その後2019年に同社を設立。同国に生息する栄養価の高い植物「モリンガ」や、雑貨などの輸入販売を開始した。
2020年2月には、フィリピン人のクリエイターによるハンドメイドアクセサリーのオンライン販売をスタート。併せて、NPO法人ACTIONによる、フィリピンの働く母親たちを助けるプロジェクト「Chikara Livelihood Project」で母親たちが製作したアクセサリーについても、同社公式オンラインストアで販売を行っている。
ーなぜフィリピンだったのですか?
最初に友人が「フィリピンに住むの面白そう」と言ったのがきっかけです。
ちょうど日本で働いていた会社も辞めており、自分自身何をしようか迷っていた時期でもありました。
海外旅行の経験もほとんどなかったのですが、その時は勢いで付いて行ったという感じでした。
住み始めてからフィリピンの魅力を知り、好きになり、フィリピンで何かを始めたいと思うようになりました。
貧困問題や環境問題へも取り組みたい
同社が販売するアクセサリーなどの雑貨は、フィリピンのクリエイターによる手作り製品。
趣味でよく出かけたという展示会・イベント・セレクトストアやマーケットなどで出会った女性クリエイターたちを集めて、事業を開始したそうだ。
日本でも副業や個を売る時代となり、ハンドメイドのマーケットは拡大しているかと思います。
フィリピンでも個人や小規模でブランドを立ち上げ、アクセサリーや小物などを作り、国内で販売している方が多くおります。
またフィリピンでは、単に物を作って販売するだけではなく、貧困問題などのフィリピン国内の問題や、その他環境問題などに対しても、貢献できるように活動されている方が多いことに気づきました。
日本では貧困問題や、環境問題について考えることがあまりありませんでしたので、とても考えさせられるきっかけとなり、こういった活動をもっと広めたいと考えるようになったのです。
神田さんは、「普段フィリピンでお世話になっている」というNPO法人ACTIONの職員に、同社が販売するペーパービーズピアス(不要な紙を使用したアクセサリー)の話をした際、ACTIONでもプロジェクトとして、フィリピンの母親たちがアクセサリーを作って国内で販売をしているという話を聞いたという。
そこで、「ぜひ日本での販売のお手伝いをさせて欲しい」と伝え、「Chikara Livelihood Project」での販売を手伝うことになったそうだ。
ーアクセサリー作りのための講習などは自ら行われたのですか?
同社の場合は、クリエイターがもともとスキルを持っています。
NPO法人ACTIONのプロジェクトで販売しているアクセサリーについては、日本人が講習を行なっております。
私自身はクリエイターとしてのスキルはないので、スキルを持っている方のサポートや、製品への思い(ストーリー)を広めるお手伝いができればと考え販売させていただいております。
「動ける人が動き、助ける」
これまでの経歴やクラウドファンディングの立ち上げなどから、行動を起こす力がとても強い印象の神田さん。しかし、昔から「行動力が自慢!」というタイプではなかったという。
実際は、周りの人からも言われるほど「なかなか行動ができない」人です。
行動したことによる周りからの評価や印象など、「私なんかが」と気にすることが多く、行動に移すことが今でも苦手です。
ただ、現在当社で販売しているモリンガの農場見学に行った際に、普段営業されている女性の方が言っていた言葉がとても心に残っており、行動できずに悩んだ際に思い出します。
「動ける人が動き、助ける」
そのフィリピンの方は、営業のスキルのないモリンガ農場を代表し、1人で国内だけでなく、海外などへの営業活動をしております。
田舎の方へ行くと英語が話せないなどの理由から、都心への営業が難しく安定した収入を作ることが難しいのが現状です。
そのため、できる人が動き助け合って生活していると話してくれました。
行動した後の結果は、誰もわかりません。
良い結果になるのか、それが悪い結果になるのか。
まずは、一歩踏み出すことが大切で、その一歩が10メートル級の一歩である必要はないと思っています。
それが1メートルでも10センチでも良いので、一歩を踏み出すことによって、その少しの行動で助かる人や、応援してくれる人がいます。そして、自分自身の"私でも行動できる"という自信にも繋がると思っています。
今後も製品を通じ、クリエイターの方やフィリピン国内の支援活動を継続的に行っていきたいと、神田さんは話す。
また、多くの人にとって、貧困問題や環境問題について自分事として考えるきっかけになればと、フィリピンの魅力についても積極的に発信していきたいという。
現在神田さんが実施しているクラウドファンディングは、ロックダウンの状況下で収入が得られないフィリピンの人々を支援するもの。集まった支援金は、貧困地区への物資支援や、アクセサリー作りをしている母親クリエイターたちへの支援に充てる予定だ。
「動ける人が動き、助ける」この言葉は、確実に神田さんの行動力の源になっている。
クラウドファンディング詳細については、同社プレスリリースにて確認ができる。
出典元:【新型コロナウイルス】仕事がなく収入がなくなったフィリピンの人々を助けたい。/株式会社If will
【関連記事】
何のために働くのかを明確に。数々の資格と技術を糧とし挑戦を続ける靴職人に学ぶ「目標設定の大切さ」
オーダーシューズ・インソール製造販売を行う有限会社中山靴店は6月2日(火)、自宅から簡単に注文ができるオーダーメイドインソール「Dr.insole 3D」の先行予約販売を開始した。 このイ...
他と違うことを恐れず自分だけの価値観を。非常食をアートにして日常に取り込む「ID-CAN」開発者に学ぶ、斬新な発想を生み出す秘訣
株式会社STOPは6月1日(月)、カルチャーウェブマガジン「NeoL」オリジナル商品として、アートとID機能を兼ね備えた非常食サバ缶「ID-CAN」を発売した。 この商品は、島根県・浜田港...
だからノンアルコールにこだわる!ノンアル専門ブランド「のん」に学ぶ"意外性"のつくりかた
ノンアルコール専門ブランド「のん」は5月、蒸留とノンアルコールを掛け合わせた新商品「のん-THE NON-AL SPIRITS-」 を発売。現在予約販売を実施中だ。 同商品は、ノンアルコー...
U-NOTEをフォローしておすすめ記事を購読しよう