自身のキャリアを考える際、どんな事業に関わるかはもちろん、どのような規模感の企業で働くかも重視しますよね。現在大企業に在籍しているものの、より裁量権の大きさやスピード感を求め、スタートアップに転職を考えている人も多くいるのではないでしょうか。
そんな中、株式会社ビビッドガーデン・株式会社Fun Group・ポジウィル株式会社の3社が合同開催したイベント「イメージギャップや文化の違いの乗り越え方」が4月22日(水)にZoom上にて行われました。
イベントでは、各社に在籍する大企業からスタートアップの責任者へとキャリアチェンジした3名に、スタートアップの面白さとむずかしさを本音で語っていただきました。
本イベントに登壇されたのは以下の3名の方々です。
株式会社ビビッドガーデン 松浦 悠介さん
食べチョク マーケティング責任者 兼 Biz統括
新卒で外資系IT企業VMware社に初の新卒としてテクニカルトレーナー職で入社。その後、在学中から関わっていたビビッドガーデンにジョイン。マーケティングの責任者として「食べチョク」のグロースを担当し、ビジネスサイド全体を管掌。
株式会社Fun Group 相馬 知明さん
Global CFO
ゲーム情報メディアGameWithのCFOとして、経営戦略・財務等を管掌。以前は、三菱UFJ銀行及びMorgan Stanleyニューヨーク本社にて10年超従事。2019年9月、Fun GroupにCFOとして参画。
ポジウィル株式会社 岡 千尋さん
ゲキサポ!キャリア事業責任者
新卒で銀行入社後リクルートキャリアに転職しCA/RAとして3000人以上の20代の転職支援に従事。受賞歴多数、当時では最年少拠点長として拠点の立ち上げを行う。
ファーストキャリアに選んだ大手と、現在在籍中のスタートアップとの違い
本イベントは、ナビゲーターを中心に、登壇者によるセッション形式で進みました。最初のテーマは、「ファーストキャリアとして選んだ大手企業と、現在在籍しているスタートアップとの違い」。
食べチョクのマーケティング責任者である松浦さんは、「スタートアップはとにかくカオス。仕組みを自分たちで作っていかなければいけないところが、大手との大きな違いです」と話します。
「大企業では、マーケティング・営業などと仕事の名前が決まっていますが、スタートアップはそうではありません。職種を超えて何でもやるところも違いだと感じます」(松浦氏)
Fun Group Global CFOである相馬さん曰く、大手企業とスタートアップの大きな違いは2つあるのだそう。それは、状況変化のスピード感と、意思決定の重さ。
「スタートアップでは、『スピードはすべてを凌駕する』と考えられていると感じます。様々なことにチャレンジしているのでトラブルももちろんあり、僕自身、トラブル解決のために急遽翌日に海外へ行った経験もあります。すごいスピード感ですよね」(相馬氏)
そんな相馬さんが以前勤めていたのは、三菱UFJ銀行。
「大企業の中でもトップクラスの堅さだったので、何か重大な意思決定をするときには、判子が20個くらい並ぶことがよくありました。『本当の意味で意思決定できていない』という気持ちは、僕を含め大企業に勤める人なら一度は思ったことがあると思います。今は意思決定ができることが楽しいですね」(相馬氏)
ゲキサポ!キャリア事業責任者である岡さんも、圧倒的なスピード感と意思決定の速さを違いとして挙げました。
「ファーストキャリアが銀行で、その後リクルート、CRAZY、ポジウィルと転職を重ねてきました。これまでの3企業は、完璧に商品化されているものを売るビジネスだったので、ポジウィルではじめて『ユーザーの意見を反映しながらサービスを作り上げていく』という感覚に触れたんです。最初は掴めずかなり苦労しました」と話します。
現職で最もハードだったこと
続いてのテーマは、「現職で1番ハードだったエピソードについて」。
岡さん曰く、「立ち上げ期のセールスが1番地獄だった」のだそう。
「広告にお金をかけるフェーズではなかったので、自力でお客様を獲得しなければいけませんでした。とはいっても、当時の私のフォロワーは50名程度。まずは私自身のブランディングを行う必要がありました」(岡氏)
そこで岡さんは、SNSでのブランディングをスタート。「1日10件以上のツイートやnoteへの投稿を試行錯誤しながら続け、一旦3カ月で5000人までフォロワーを増やしました。そこから、フォロワーさん向けにキャリアのイベントを開催したり、カウンセリング体験をしていただいたりして、お客様を獲得していきました。かなりハードな時期でしたね」
ポジウィル株式会社に在籍する本日のナビゲーター・瀬川さん曰く、岡さんは「うまくいってる人の真似ぶプロ」なんだとか。ハードな状況でも、徹底的にうまくいってる人の観察をし、「真似て」自分に取り入れ乗り越える方法は、スタートアップで働く上で参考になりそうです。
松浦さんは、「スタートアップはハード祭りですよ。でもそれが面白いところです」と話します。
「新型コロナウイルスの感染拡大によって多くの生産者さんが打撃を受けており、サポートするために様々な施策を打っているところです。開発しながら、実装しながら、サービスを作りながら……と課題が同時に走っている状況がハードだと感じます」(松浦氏)
そして、大手とスタートアップでは問題との向き合い方も異なるのだそう。
「大企業では、ひとつの問題をしっかり解決してから次に進むような形でした。対して、スタートアップは多発的に問題が発生します。直している途中でも次の問題が降ってくるので、そこもハードだと思いますね」(松浦氏)
では、ハードな状況の中でも意思決定をし続けるポイントはあるのでしょうか。
松浦さんは「僕が意思決定し続けられている理由は2つです。ひとつが、ミッションやビジョンという明確な判断基準があること。そしてもうひとつが、弊社は規模感が小さいのでみんなでカバーし合っており、ひとりで向き合っているわけではないことです」と答えていました。
相馬さんは、「目指しているビジョンと足元の状況との強烈なギャップがハード」と言います。
「CEOは『日本発・世界で勝負するサービスを作る』と大きな目標を掲げていますが、足元を見るとまだまだ全然できていないことが多くて……。未来と足元をどう繋げていくかが、スタートアップにおいて1番大変で1番面白いところだと思います」(相馬氏)
最後に、参加者からの質問を募り、登壇者に答えていただきました。
Q1. 大手企業からスタートアップへ転職するうえで、覚悟はどれくらい持っていたか?
こちらの質問には、1年目に転職を決意した松浦さんが回答しました。
「転職するときは、あらゆる周りにいる人から反対されました。ですが僕自身、覚悟はそこまでしていなかったですね。むしろ、スタートアップに転職した方が自分のやりたいことができると思ったので、個人的な抵抗感はありませんでした」(松浦氏)
Q2. 大企業で活躍できる人と、スタートアップで活躍できる人に違いはあるのか?
こちらの質問に回答した岡さんは、「大手企業はルールと役割が明確なので、どうすれば結果が出るかわかりやすいという特徴があります」と話します。
「決められたことに対して着実にパフォーマンスを出すことが得意な方は、大企業に向いていると思います。反対にスタートアップは、何もない中で自分で仕事を作り出していく必要があります。『むしろ自由にやらせてくれ!』と感じる人は、スタートアップでやっていけると思いますよ」(岡氏)
Q3. 大手からスタートアップへ飛び込むときの判断基準が知りたい
こちらの質問には、相馬さんが回答しました。
「若い人は、スタートアップに飛び込むことをリスクだと考えないんですよね。ですが、大企業勤めの人や30代以降の人はリスクだと感じてしまう。飛び込む判断基準としては、『合理性を超えた好奇心があるか』が個人的には重要だと思います」(相馬氏)
相馬さん自身も、金融業界の大手企業で13年間勤めた後にスタートアップへの転職を決意しています。当時を振り返り、「スタートアップで新しいものを生み出すことに対しての好奇心しかなかったですね」と話しました。
「意思決定をしたい人」「やり切れる人」がスタートアップに向いている
最後に、登壇者からスタートアップへ転職を考えている人に向けてのメッセージが送られました。
「アドバイスや助言に留まらず、リスクも含めて『意思決定をすることが好き』『意思決定したい』と思っている人は、ぜひスタートアップに来たらいいと思います」(相馬氏)
「私自身、『このままでいいのかな』という小さな違和感がベンチャー・スタートアップへの転職のきっかけでした。もっと自分の可能性を試してみたい!と思っている人は勇気を出して、一歩踏み出してみてもいいのではないでしょうか。ハードシングスは多いですが、その分楽しさもあります」(岡氏)
「この世界を自分が作っていきたいと考えている人に合っています。やりたいではなく、やるかやらないかが大切なので、やり切れる人にぜひチャレンジしてもらいたいです」(松浦氏)
時間内に質問が収まりきらないほど大盛況だった本イベント。スタートアップのリアルを知った上で、ぜひご自身の転職活動に活かしてくださいね。
<ライター :ameri>
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