HOMEインタビュー 起業家を志したのは小学校時代!ティーバッグ式の「コーヒーバッグ」を作ったバリスタ兼経営者に聞く柔軟さのコツ

起業家を志したのは小学校時代!ティーバッグ式の「コーヒーバッグ」を作ったバリスタ兼経営者に聞く柔軟さのコツ

長澤まき

2020/06/07(最終更新日:2020/06/07)


このエントリーをはてなブックマークに追加

提供:WORC

新型コロナの影響で働き方や世間のニーズが目まぐるしく変化している中、時代に合った柔軟なサービスをスピード感を持って展開している企業がある。

株式会社WORCは、オフィスにスペシャルティコーヒーをポットで届ける福利厚生サービスを運営していたが、新型コロナの影響でリモートワークが進む状況を踏まえて今年5月、お湯を注ぐだけでコーヒースタンドの味を自宅で楽しめる「働く人のためのCOFFEE BAG」を開発し発売。

リモートワーク時代の新しい福利厚生として、従業員の自宅に同商品を直接届けるサービス「COFFEE BAG 法人プラン」も開始した。

柔軟なサービス展開はどのように実現したのか?株式会社WORCの川野優馬代表取締役に取材した。

お湯を浸すだけで、本格コーヒー

「COFFEE BAG」は、専門的な器具は不要で、ティーバッグ方式のコーヒーバッグにお湯を注ぐだけで、本格的なブラックコーヒーを抽出できる商品。

美味しいコーヒーと一緒に、楽しく働く時間を作れたらという思いから、働くシーンに合わせた3つの味「RELAX」「REFRESH」「CREATIVE」の3つのフレーバーを用意した。

浸すだけでも十分な風味が感じられるように挽き方や素材を工夫。窒素ガス充填のパッケージで個別包装しているので、製造日より1年間保存できる。

自宅で手軽に本格コーヒーの美味しさを楽しめる商品だという。

提供:WORC

小学校時代に起業を志す

同社の川野代表は1990年9月生まれ。起業家を志し始めたのは、なんと小学校時代だという。

プロのジャズミュージシャンである両親の影響や、「決められているから」とクラスの生徒にするべきことを明確な理由もなく発信する担任の先生の姿に疑問を覚えたことなどをきっかけに、「どうしたら自由に働ける社会人になれるのか」を考えたという。

その結果、ルールを作る側になれば良いことに気付き、将来起業家になることを志すようになったそうだ。

大学3年の時にコーヒー専門店を開業

慶應義塾大学在学中にコーヒーの魅力に取り憑かれ、2012年にラテアート全国大会で優勝。

その後、シングルオリジンコーヒーと出会い、美味しさを追求することに好奇心を駆り立てられ、大学3年生の時に、スペシャルティコーヒー専門店「LIGHT UP COFFEE」を吉祥寺にオープンした。

店舗となった物件は、既に申込が5件あるほどの人気物件だったが、同店を設立しようと思った強い思いを文章にまとめてオーナーに会いに行き、審査に通ったという。

2015年、店舗を経営する傍ら、大きなムーブメントを起こすには日本でも発信力のあるコーヒーショップにする必要があると考え、働いている人も自由な発想で起業や新しい動きを作る文化を感じた株式会社リクルートホールディングスに就職し、そのノウハウを学ぶことに。

UXデザイナーとして1年半勤務した後、2016年に株式会社ライトアップコーヒーを設立。京都店、下北沢店をオープンし、経営者兼バリスタとして働く。

「日本の働く場所をもっと豊かに楽しくしたい」との思いで、2019年10月に株式会社WORCを設立し、オフィスで働く人に美味しいコーヒーを届ける福利厚生サービス「WORC」を開始した。

提供:WORC/川野優馬代表

家庭向けニーズの高まりを受けて開発

-----コーヒーバッグを開発するまでの道のりを、簡単に教えてください。

川野代表:世の中的にオフィスに人が集まる状況ではなく、同時に経営しているカフェ店舗も来客数が減っていました。

それとは逆に、オンラインでの販売やSNSでの新商品系の投稿に対する反響はむしろ上がっており、家庭での消費ニーズを圧倒的に感じたためです。

-----企画から発売までにかかった期間は?

川野代表:商品開発から販売は数週間ほどです。 

提供:WORC /川野優馬代表

手軽さにこだわり&納得感を演出

-----同商品のアイデアはどのように出しましたか?

川野代表:もともとドリップバックのような商品を多く見かけましたが、普段コーヒーを入れない人からすると、注ぐお湯の量やタイミングが少し難しく、敷居が高いように感じていました。

紅茶にティーバッグがあるから、コーヒーでも同様のことができるだろうと思い、試しに作ってみたら美味しく淹れることが出来た、というのがはじまりです。

-----開発にあたって大変だったことは?また、それをどのように乗り越えましたか?

川野代表:手軽に美味しくすることです。

なるべくシンプルな抽出体験で最大限美味しさが引き出されるように、挽き目や焙煎度合いによる抽出を徹底的に研究しました。

そして、その味自体を多くの人が美味しいと「納得」しやすいように、リラックスするときに飲むコーヒー、リフレッシュするときに飲むコーヒーといったようなシーンごとに合わせた味を選び、飲んだときにしっくりくる「納得」感を出すようにしました。 

提供:WORC

まだ広まっていないコーヒー体験を届けたい

-----新たなビジネスを実現させた、意思の原動力について聞かせてください。

川野代表:色とりどりな個性を持つコーヒーの魅力を伝え続けてきました。

眠気覚ましとしての効果や苦味だけではなく、品種や生産方法ごとに違う、果実を思わせる風味を、もっと多くの人に楽しんでもらいたいと思っています。

なぜなら、それがまだ広まっていない感動的な体験であるから。

生産者ごとに仕入れるからこそ風味個性が豊かなコーヒーが生まれ、その正当な対価が生産者へと渡る商流が実現できます。そして、消費が増えることで、コーヒー農家の生産が持続可能なものとなり、生産物の質をさらに良くしようとする動きにもつながります。

美味しさを軸にした生産と消費の循環が生まれると考えています。

そんなコーヒー流通の持続性を広げるために、店舗設計や商品開発、情報発信に注力してきました。

提供:WORC

-----柔軟な事業展開・ビジネスを可能にするためのコツや、工夫していることを教えてください。

川野代表:コーヒーの原材料調達から焙煎加工・抽出・消費までの一連の流通工程での特徴やコストを理解した上で、消費体験の面でどのような課題があり、何が今求められているかを観察することが難しくないほどコーヒーが好きなことです。

昔から存在する世界的な飲み物「コーヒー」に新しい視点を提供して新たなビジネスを作り出すWORCの川野代表。

その柔軟性とスピード感ある経営は、子どもの頃から起業家を志した意志と、好きなことを追求する一途な熱意に支えられている。

【関連記事】


hatenaはてブ


この記事の関連キーワード