株式会社アイクリエイトは5月13日(水)、企画コミュニティ「Planners」のプロジェクトとして、エコラップ「good wrap!(グッドラップ)」の販売を本格スタートした。
以前、クラウドファンディング「Makuake」にて「good wrap!」のテスト販売を行った際多くの支援が集まったことを受け、今回本格的な販売開始が決定したそうだ。
昨今、日本でもサステナビリティへの意識は高まりつつあるが、「エコ」なだけではその製品を「新常識」「新しいスタンダート」にすることは難しい。
エコ製品がより多くの人から支持を集めるために、大切なことは何か。エコをビジネスとして成り立たせるための秘訣について、Planners・PRチームのディレクターを務める古賀陽子さんに取材した。
1枚で3役をこなすメイドインジャパン
「good wrap!」は、保存・持ち運び・サーブと、1枚で3役を兼ねる。かたちを変えて様々な使い方ができるほか、洗って繰り返し使うことができる。
粘着性があり、手の温かみで柔らかくなるので、食材を包みやすい。肝心な保存性・抗菌性に関しても、その効果は実証済みだという。
原材料は、オーガニックの綿もしくは麻100%の布地。染色は、よもぎの煮汁や桜の枝など、食品や植物木材の使わない部分から抽出した色素で染める「のこり染」。全て国内で、1枚1枚必要な分だけ手作りしている。
また、商品1枚の売上げにつき、子どもの1食分の給食代を国連WFP協会へ寄付しているという。
ー世界・日本のフードラップ事情を教えてください。
10年以上前にアメリカやオーストラリア、ニュージーランドなどで製造が始まり、欧米、オーストラリアなどを中心に普及が始まっています。
日本でもこれらの国からの輸入品からはじまり、数年前から国産品の生産や、手づくりワークショップなどが広まってきています。
ー従来のプラスチック製品であるラップがもつ保存性を、なぜ布地で再現することができるのですか?
ミツロウ(ミツバチが巣を作る材料として分泌するロウ)や天然樹脂などをコーティングすることにより、粘着性が上がり、密着してくるむことができるようになったためです。
また、ミツロウには抗菌性もあり、わたしたちのラップも抗菌試験を実施して、一般財団法人ケケン試験認証センターにて高い抗菌性を確認しています。
密着感とシンプルなデザインにこだわり
同製品の企画を手掛けたチームPlannersは、新しいライフスタイルをつくる企画コミュニティ。
経営者から、インスタグラマー・PR・プランナー・ライターなど、サステナブル感度の高い約70名で構成。平均年齢は40歳前後だという。
現在は、購入すると寄付につながるチャリティーマスクの販売などを行うハローマスクプロジェクトも立ち上げており、コミュニティ発のオリジナルプロジェクトや、クライアントにあわせたオーダーメイド型プロジェクトなど、様々なスタイルに合わせてメンバーが変わるのだそう。
古賀さんはこのチームの一員として、さまざまな企業とのコラボプロジェクトや、自社プロジェクトのディレクション業務などを担当している。
ー「good wrap!」の製品企画・開発にあたり、こだわった点は何ですか?
商品企画に際して、Plannersのメンバーにアンケートを取り、既存のエコラップの使用感や改善して欲しい点などを伺いました。
こだわったところは、密着感と、暮らしにあうシンプルな色合いという点です。
岐阜県に拠点を置く株式会社艶金さんが手掛けた、のこり染技術を活用したエコラップをベースに、オリジナルデザインとしました。また、希望があれば1/4サイズに自分で切って使えるように、ロゴのみのデザインとしました。
そしてやはり環境に負荷をなるべくかけないという点で、「贈り物にもできるけれど、なるべく簡易な包装」ということも意識しました。
具体的には、パッケージ内側に商品概要や注意事項を記載し、QRで使用方法へリンクするなどの工夫をしましたね。
「自分にとって心地のよいもの」という付加価値
「good wrap!」という名には、毎日の生活で使うものだからこそ、それぞれが「"good"な選択肢とは何か?」 を考えるきっかけにしてほしいという気持ちが込められているという。
ーエコ製品販売をビジネスとして成り立たせるための工夫などがあれば教えてください。
商品をつくる際には、現状の社会課題として感じるものを、いかに自分たちの暮らしに取り入れやすく、取り入れたくなるものにするかということを大切に検討しております。
わたしたちの大切にしている価値観としては、「サステナブルラグジュアリー」としていて、単純に「サステナブル」だけではなく、自分にとって心地のよいものとして「ラグジュアリー」という言葉とあわせています。
なお、ここで言う「ラグジュアリー」は、高価という面ではなく、たとえば伝統工芸士さんが何度も塗って作る漆の器、その手間や時間がラグジュアリーという考えと、先ほど挙げた自分にとっての心地よさという面を持たせています。
エコな製品を「エコだから」という理由のみで提供するのではなく、「自分にとって心地よいもの」という付加価値を大切にすることで、従来のラップの代替品に留まらず、様々な点でそれを越える存在を目指している。
それを効果的に消費者へ伝えるため、製品画像については、Plannersメンバーやインフルエンサーが、実際の暮らしの中で製品を使用しているシーンを撮影しているという。
常にサステナブルな話題をメンバーと共有
ーエコな製品を生み出していくために、チームメンバーが意識的に行っていることはありますか?
週に2回のオンラインミーティングの際には、ブレストとして、それぞれが気になるSDGsやサステナブルな話題をシェアしています。
それ以外にもシェア用のチャットを作り、ミーティングに参加しないメンバーでもシェアできる状況を作っています。
また企画開発段階から、Plannersのメンバー・インフルエンサー・料理家などの専門家など、なるべく多くの方を巻き込んで一緒にプロジェクトを実行しています。
常にアンテナを貼り、入手した情報は仲間にシェア。そして多くの人を巻き込むことが、「自分にとって心地のよいエコ製品」を生み出す秘訣なのだろう。
Plannersは今後、ライフスタイルが大きく変わっていく中で、「未来のライフスタイルをつくる」を目指し、共感者たちと一緒に、商品・サービスだけでなく新しいコンテンツなども生み出していく予定だという。
「good wrap!」は「Yahoo!ショッピング」内にある「Planners Marche」などで購入ができる。
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