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だからノンアルコールにこだわる!ノンアル専門ブランド「のん」に学ぶ"意外性"のつくりかた

白井恵里子

2020/06/01(最終更新日:2020/06/02)


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提供:のん

ノンアルコール専門ブランド「のん」は5月、蒸留とノンアルコールを掛け合わせた新商品「のん-THE NON-AL SPIRITS-」 を発売。現在予約販売を実施中だ。

同商品は、ノンアルコールでありながらお酒のようにドライで香り高く、従来の「甘い飲料」というノンアルコール飲料の固定概念を覆す味わいだという。

なぜノンアルコールにこだわるのか。なぜこれまでのノンアルコールとは一線を画す商品が誕生したのか。ヒットの鍵でもある「意外性」を生み出した経緯について、「のん」主催者の1人である調香師ともコーラさんを取材した。

既存のイメージの逆を行く発想

「のん」は、「お酒を飲む人も飲めない人も、共に好奇心が満たされる全く新しいノンアルコール」を目指す活動体。

元祖クラフトコーラブランド「ともコーラ」の調香師ともコーラさんと、新宿ゴールデン街のレモンサワー専門店「OPENBOOK」などのオーナーを務める田中開さんの、「世の中に面白いノンアルってなくない?」という思い付きにより発足した共同プロジェクトだ。

2019年秋には、東京・渋谷にて4カ月限定ポップアップショップを開催。月替わりで常時10種類程度の手作りノンアルコールドリンクを提供し、大きな反響を呼んだという。

ー4カ月間限定のポップアップショップをオープンした理由、経緯、そして反響についてお聞かせください。

「ノンアルコール専門店」なるものはこの世にまだ存在していなくて、自分たちの試みが世の中にどう捉えられるか実験したかったので、ポップアップショップをオープンしました。

最初から製品化よりも、まず楽みながら自分たち自身がノンアルの世界を勉強したかったんです。

反響は結構あって、テレビ・ラジオ・雑誌など合計10以上のメディアに取り上げられました。

大手飲料メーカーの研究開発の人なんかも飲みに来ていましたね。

ポップアップショップで一番人気だったメニューは、数十種類のボタニカルを店内蒸留したノンアルコールジンを使用した「ノンアルジントニック」。

華やかで複雑、それでいて完成された香りに、「ノンアルコールの概念が変わった」と驚くお客さんが多かったのだという。

「のん-THE NON-AL SPIRITS-」は、その時の経験をヒントに商品化したものだそう。

調香師ともコーラさん(左)・田中開さん(右)/提供:のん

ー「ノンアルコールの概念が変わった」という「意外性」を生み出すために、どのような努力・工夫をされたのでしょうか?

ノンアルの基本的なイメージの「甘味」と「単純な味わい」(オレンジジュースを想像してください)の逆を行くことです。

甘くなくて、複雑。というところをイメージしました。

そのために色々なボタニカルや食材を組み合わせたり、意外なものを発酵させてみたり、料理のように試行錯誤しました。

既存のイメージを覆すため、あえてその逆を行くという発想。「意外性」を生み出す鍵は、そこにあったのだ。

日本では珍しい蒸留型ノンアルコール

「のん」は、世界中から集めた天然素材に「抽出」「発酵」「蒸留」などの酒造工程を組み合わせることで、新しいノンアルコールを生み出すべく日々実験を行っているという。

「のん-THE NON-AL SPIRITS-」では蒸留という、焼酎やウィスキーなどを製造する際に用いられる工程を使用した。

ー「抽出」「発酵」「蒸留」などの酒造工程を組み合わせるノンアルコール飲料というのは、これまでなかったものなのでしょうか?なぜこれらの工程を取り入れようと思ったのですか?

ノンアルって手の込んだものが少ないので、そこに酒造工程を組み合わせることで特別なノンアルを作ろうと思いました。

それと、味の出方を実験したかったのもあります。

既存の液体を組み合わせる「モクテル」ではなく、液体自体を新しく作ってしまおうという考え方。

この3つの工程は、ドリンクまでお店で作るような飲食店にはあると思います。

例えば目黒には、コンブチャ発酵とか乳酸発酵によって自分たちの手でドリンクを作っているお店があって、(もう1人の主催者である)田中はそこから発酵を教えてもらったと言っていました。

「のん」で使っていたスコービー(コンブチャ)は料理人の森枝幹さんから田中がいただいたものですし(笑)。

お店でよく見かける自家製ジンジャーエールのシロップとかは、「抽出」にあたります。

蒸留になるとかなり珍しくて、イギリスのSeedlipを始め海外には蒸留型ノンアルコールは沢山あるのですが、なぜか日本にはまだほぼないです。

手作りドリンクを手掛ける飲食店でなければ入手できない手の込んだノンアルコールを、自宅などで手軽に楽しめるように開発したのが「のん-THE NON-AL SPIRITS-」だという。

日本にはなかなかないという「蒸留型ノンアルコール」という点も、「特別なノンアルコール」を生み出すポイントなのだろう。

クリエイティブで楽しいノンアルを日常に

調香師ともコーラさんによれば、お酒が飲めない自分や周りの日本人にとって、「面白いと思えるノンアルコール飲料がない」という。

そこに開拓の余地を見出し、ノンアルコールに徹底的にこだわる「のん」の活動を続けている。

ー 「のん」のノンアルコール飲料が目指していることは具体的にどのようなことですか?そのためにこだわっていることは何ですか?

のんが目指していることは「簡単」に「未知」を味わえるということです。新しいノンアルコールの民主化と言いますか…。

先にお話しました通り、高級店やいいバーテンダーがいるお店に行けば「自家製~~」とか「モクテル」などのクリエイティブなノンアルコールを色々飲むことはできます。

ただ、そういうお店に毎日行けるわけではない。

普段はノンアルってオレンジジュースとかウーロン茶とか、あっても自家製ジンジャーエールみたいな選択肢しかないわけですよ。

そこに日常的に、誰でもすぐに試せる選択肢を提供するのが「のん」の役割かなと思っています。

「グレープフルーツジュースと割るだけで!」「三ツ矢サイダーと割るだけで!」「トニックウォーターと割るだけで!」

簡単に誰でもクリエイティブで楽しいノンアルコールが楽しめる世界は、ちょっと素敵かなと思います。

今までにない新体験を与えてくれる期待感は、スタイリッシュで目を引くパケージデザインにも表れている。

ここには、若い人を中心に、感覚的に「自分にぴったりのものだ!」と思ってもらえるような、親しみやすさとセンスの良さを意識したという。

ー今後の展望をお聞かせください。

まだ商品を発表したばかりなので、実際の反応を頂いてからだとは思っていますが、RTD(Ready To Drink:そのまますぐ飲める缶飲料などのこと)化できればいいと思います。

新ノンアルコールの民主化にRTD化は必須だと思っています。

ただ「美味しい」だけではなく、固定概念の逆を行く発想。蒸留工程を取り入れてそれをかたちにした商品が「のん-THE NON-AL SPIRITS」だ。

「のん」は今後も、人々が「面白い」「新しい」と思えるようなノンアルコールを生み出し、ノンアルコールの世界を広げてくれることだろう。

現在オンライン予約販売中の「のん-THE NON-AL SPIRITS」を使用した、自宅でも楽しめる簡単なドリンクレシピは、公式ウェブサイトにて公開している。

出典元:ノンアルコール専門ブランド「のん」

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