デロイト トーマツ グループは5月18日(月)、人事・組織・働き方に関する調査レポート「グローバル・ヒューマン・キャピタル・トレンド2020 ソーシャル・エンタープライズの実際:パラドックスを超えて」を発表した。
同レポートでは、世界119カ国・約9000人の人事部門責任者や管理職などへ実施したアンケート調査をもとに、組織の在るべき姿について解説する。
働き方・仕事の見直しに
同グループのヒューマン・キャピタル・コンサルティングは、毎年、人事・組織・働き方に関する調査レポート「グローバル・ヒューマン・キャピタル・トレンド」を発表している。
2020年版では、テクノロジーの進化が加速するなか、対比する存在として「人間的な組織」の重要性に焦点を当てており、両者の融合に向け企業がどのように対応するべきかを解説する。
環境やステークホルダーを尊重しながら、成長や利益に結びつける企業「ソーシャル・エンタープライズ」を深堀りしており、企業の経営者のほか、社員自らの働き方や仕事に活用できるだろう。
レポート詳細は、現在「英語版」にて全文が閲覧できる。日本版は6月初旬に公開予定。
未来の組織に必要な3つのポイント
同レポートでは、「人間とテクノロジーの融合」の実現に向け、3つのポイントに沿って企業が準備すべき9つの人事・組織のトレンドを提言している。
1.パーパス (存在意義)
社員の個性を追求しながら、企業への帰属意識を創りだすことで、企業全体の存在意義を実現できるという考え方。
・帰属意識
帰属意識を持つことで、企業に属する安心感から組織としての一体感に繋がり、より高いパフォーマンスで企業に貢献できる。
・ウェルビーイング実現に向けた仕事のデザイン
働きやすさや働きがいに注目して仕事をデザインすることで、社員の充実感や生産性に繋がる。
・世代を超えた労働力
従来実施してきた年齢や世代ごとの人材戦略から、世代を超えて社員の個性や能力を理解することが重要だという。
2.ポテンシャル (可能性)
テクノロジーの進歩で、常に新しいものが求められるなか、社員が考えて実行することを最大限に活かせるよう構築された組織は、生産性を向上させることができるという。
・スーパーチーム
AIを活用した事業戦略を推進する組織は、社員のキャリアやスキル向上に役立てることができ、組織としてより高度な戦略ができる。
・ナレッジマネジメント
テクノロジーで情報整理を自動化する場合、企業は社員が安心して働ける環境を整える必要があるとしている。
・新しいスキルの獲得を超えて
不確実な未来に対して適応するため、社員のスキル向上や戦略を身につけることに投資が必要だという。
3.パースペクティブ(展望)
変化し続ける時代にこそ、可能性を信じて未来の価値創造を求め、未来指向の発想を奨励する組織が必要だとしている。
・報酬の難問
多くの組織は報酬制度の見直しを繰り返しているが、データやベンチマークに執着せず道筋を柔軟に変化させる必要もあるという。
・人材戦略の手綱を握る
企業は仕事・ 労働力・職場の未来にとって思い切った決定を導くべく、人材戦略において新しい問いかけを始めることが重要だとしている。
・倫理と労働の未来
組織がテクノロジーと人間を融合し、新しい働き方を模索するなか、倫理的な課題が増えていることを指す。企業は、判断軸を「~できるか」から、「どのように行うか」へシフトする必要があるという。
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