39県における緊急事態宣言が解除され、全国的に新型コロナウイルスの収束ムードが高まりつつあるものの、人々の生活が完全に感染拡大前の状況に戻るには、まだ時間がかかりそうだ。
なかなか復活の兆しが見えない経済状況の中、次々と立ち上がる新型コロナ支援のためのサービスやプロジェクト。これまでの「一時的な支援」から、アフターコロナの時代でも適用可能な「長期的な支援」へと、支援策の質が変化している傾向が印象的だ。
この記事では、5月前半に発表された支援策をいくつか取り上げ、紹介する。
飲食業界を支援
Instagram「ギフトカード」機能から未来の食事券が購入可能に
グルメアプリ「キッチハイク」を運営する株式会社キッチハイクはInstagramと機能連携し、5月12日(火)から、Instagram「ギフトカード」機能からキッチハイクが展開する「未来の客となれる」飲食チケット購入が可能となった。
この飲食チケットは、数か月後まで利用可能な飲食店の食事券。客はこのチケットを購入することで、飲食店の数か月後の売上を作ることができるという仕組みだ。
今回の機能連携により、キッチハイク参画飲食店はInstagramのストーリーズでも飲食チケットのPRを行うことができるようになり、フォロワーへの宣伝や購入しやすい導線の伝授がしやすくなる。
Instagramアカウントの開設、ビジネスアカウントの設定、「ギフトカード」スタンプの利用設定などはすべて無料。お気に入りの飲食店を応援したいユーザーは、飲食店が投稿した「ギフトカード」スタンプを、ユーザー自身のアカウントでシェアすることも可能だ。
出典元:株式会社キッチハイク
飲食店専用のECサイト「CHEER CHEF」
株式会社Collective&Delightは5月7日(木)、飲食店の「店内飲食」「テイクアウト」以外の新たな販路拡大を目的とし、飲食店専用のプチモール型ECサイト「CHEER CHEF」をリリースした。
「CHEER CHEF」では、「おいしく食べてシェフを応援しよう」をスローガンに、全国各地のシェフのこだわりの品を、家庭の食卓に届ける。
新型コロナウイルス感染拡大の影響を考慮し、7月末までの約3ヶ月間は、成果報酬手数料10%のみで掲載が可能。「CHEER CHEF」への掲載、SNSプロモーション、メディア告知は、初期費用・固定費用共に基本無料だという。同社は6月末まで、参加飲食店を募っている。
テイクアウト情報が無料配信できる「BenTo Go」
no plan株式会社と変幻自在合同会社は共同で、テイクアウト情報を無料発信できるWebサービス「BenTo Go」を開発。5月7日(木)、β版のリリースを発表した。
「BenTo Go」では、飲食店が「スマホで簡単・無料・スグに公開」という環境で、テイクアウトの情報を掲載することができる。
テイクアウトを検討しているユーザーは1タップで、近くの登録飲食店の、商品画像や価格などといったテイクアウト情報を閲覧することができるという。
出典元:no plan株式会社
飲食店宝くじ「TOKYO HOPE LOTO」
株式会社志成は5月14日(木)、東京の有志飲食店66店舗を対象に、飲食店宝くじ「TOKYO HOPE LOTO」をスタートした。
参加飲食店でテイクアウトまたはデリバリーを利用した客は、「TOKYO HOPE LOTO」の抽選権を受け取ることができる。異なる店舗のチケット2枚を手に入れると、抽選に応募することが可能。当選者には後日、参加店舗で使用可能な食事券が届くという仕組みだ。
食事券の代金はクラウドファンディングで資金を集めることから、店舗は無料で参加することができるという。参加店舗の情報については、参加店舗マップから確認が可能だ。
出典元:株式会社志成
木製テイクアウト容器を50店舗に半額提供
カユーパッケージ株式会社は、定額制テイクアウトアプリ「POTLUCK」を運営する株式会社RYM&CO.と共同で、テイクアウト導入飲食店を応援する「SUPPORT RESTAURANT & EARTH」キャンペーンを実施している。
このキャンペーンは、「POTLUCK」に問い合わせた飲食店先着50店舗に、同社が製造・販売する環境に優しい製容器KAYU PACKAGEのサンプルパックを、限定価格の半額で提供するもの。
新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、テイクアウトを導入し始める店舗が増える中、「テイクアウト資材の調達」は喫緊の課題。テイクアウトの急増により、家庭から出る「使い捨てプラスチック容器」のゴミも増えていることから、同社は、木材という環境に良い素材を使った容器を使用してもらうことで、「資材の調達」と「ごみ処理問題」の双方解決に貢献したいとしている。
出典元:カユーパッケージ株式会社
酒業界を支援
全国の8酒蔵を支援するクラウドファンディング
株式会社Agnaviは全国の8酒蔵と共同で、クラウドファンディング「CAMFIRE」にて、「全国の酒蔵が新型コロナ危機に協働で立ち向かう日本酒プロジェクト2020」を立ち上げた。
参加酒蔵は天吹酒造(佐賀県)、高橋酒造店(山形県)、松岡醸造(埼玉県)など、地方の独自性が高い8つの酒蔵。リターン品は参加酒蔵の酒で、数種類から選ぶことができる。
出典元:株式会社Agnavi
仮想タップルームでビールを堪能できるサービス
オンラインタップルーム実行委員会は5月11日(月)、営業自粛中のビアバーや収益減に直面しているビールメーカーを支援することを目的に、Web上の仮想タップルームを通じてオンライン営業ができるプラットフォームサービス「オンラインタップルーム」をリリースした。
「オンラインタップルーム」では、客がWeb上で好きなビアバーを選択して入店料を支払い、ビールを注文すると、メーカーやインポーターからビールが自宅に届く。ビールを受け取ったら、選択したビアバーが運営する仮想タップルームに「入店」し、店のスタッフや他の客などと時間を共有しながらビールを堪能できるという仕組みだ。タップルームに通う客が増えると、店は店舗を守るための売上を確保することができる。
同サービスはチャリティ企画のため、基本的にサービスは無料で利用ができるという。
出典元:静岡クラフトビアマップ
お得なプリペイドカードや飲み比べ旅気分地酒セットをオンライン限定販売
全国各地の日本酒蔵アンテナショップを展開する名酒センター株式会社は、クラウドファンディングサイト「Makuake」にて、新型コロナウイルス収束後、お得に利用ができる「プリペイドカード」や、自宅で楽しめる「日本酒テイスティングチャレンジセット」、「飲み比べ旅気分地酒セット」などをオンライン限定で販売している。
プロジェクトタイトル:「名酒センターが日本酒の魅力を発信する場であり続けるために。飲んで応援にご協力を!」
販売期間:5月11日(月)~6月22日(月)
開催場所:クラウドファンディングMakuake内
出典元:名酒センター株式会社
オンライン飲み会に特化した日本酒キット
株式会社未来酒店は5月7日(木)、株式会社Molskinの提供するオールインワン飲みソリューションタブレット「ゴドレバ」と協同し、緊急コラボレーション企画「日本酒蔵応援キャンペーンキット」を発売した。
このキットは、瀬古酒造(滋賀県)・千代むすび酒造(鳥取県)・藤井酒造(広島県)をパートナーとした、コラボレーション商品となっている。販売は自粛期間限定。
このキットはオンライン飲み会で友人や同僚などと一緒に堪能することを前提としており、久々に話す相手とでも話題に困らないよう、「ネタカード」へのURLも提供。二日酔いの帽子やカロリー抑制などの効果があるオールインワンタブレット「ゴドレバ」も同梱する。
キャンペーン参加者向けに、日本酒蔵代表がオンライン飲み会を開催予定。購入者に限り参加方法を案内するとしている。
<日本酒蔵応援キャンペーンキット概要>
期間:5月7日(木)~5月31日(日)(※変更の可能性有)
商品:各蔵の秘蔵酒1本、ゴドレバ製品1袋(5回分)、ネタカードへのURL
価格:各2,800円(送料別)
酒造ラインアップ:瀬古酒造(滋賀県、5/7発売)、千代むすび酒造(鳥取県、5/7発売)、藤井酒造(広島県、5月中旬発売)
購入URL
出典元:株式会社未来酒店
在庫ロス支援
生産者・販売者から直接購入するための掲示板
株式会社SynaBizは5月1日(金)、社会貢献型ショッピングサイト「Otameshi」に、特設ページ「Otameshiで在庫ロス救済!コロナ経済対策掲示板」を開設。新型コロナウイルス感染拡大の影響により行き場を失った商品の在庫を抱える生産者や販売者と消費者を直接つなぎ、購入がそのまま支援に繋がる仕組みとした。
「Otameshi」は、品質には問題ないものの、様々な事情で従来廃棄への道を辿るしかなかった商品を、お得に購入ができ、さらに購入者が選択する社会貢献活動団体に売上の一部を寄付することができるショッピングサイトだ。
今回新規開設した掲示板では、生産者や販売者は、連絡先と商品情報を登録。消費者はその連絡先に直接連絡、またはその店舗のサイトに訪問するという方法で商品を購入することができる。登録料および利用料は無料だという。
出典元:株式会社オークファン
コロナ支援の輪を広げる「第2回世界環境サミットin SDGs Virtual City」
33万人を超える参加者を持つFacebookグループ「コロナ支援・訳あり商品情報グループ」は、オンライン国際会議サービスを展開する「世界環境サミット in SDGs Virtual City」と業務提携。8月27日(木)~29日(土)の3日間にわたり、在日外国人コミュニティーおよび海外へコロナ支援の輪を広げていくための「第2回世界環境サミットin SDGs Virtual City」を開催する。
「コロナ支援・訳あり商品情報グループ」では、大量の在庫を抱える事業者が承認を受けた後、一般消費者であるグループ参加者に対し、定価の30%以上安い価格で、商品を販売することができる。
ここでは、次々と完売御礼の表示を出す事業者が続出しており、短期間で大きな効果が出ているというが、事業者の選定に多くの時間を要し、グループ内のすべての希望事業者が投稿することは困難であるという課題もあるという。
「世界環境サミット in SDGs Virtual City」は、動画配信アプリと同時翻訳ツールを活用し、企業がSDGs(持続可能な開発目標)をテーマとした内容をLIVE配信することができるプラットフォーム。
第1回の世界環境サミットは、4月29日(水)~5月1日(金)に開催した。出展企業はオンライン上で、自社の事業や製品について、1時間以内のプレゼンや質疑応答の模様をLIVE配信。わずか3日間で3万6千アクセスを記録したという。
今回の業務提携を受けて実現する8月に開催の第2回では、より大きなフィールドでコロナ支援の輪を広めるべく世界に発信していきたいとしている。
フードロスや食品ロスを支援できるECモール「Wakeari」
InSync株式会社は5月14日(木)、フードロスや食品ロスも支援できるマーケットプレイス型ECモール「Wakeari」をオープンした。
新型コロナウイルスの影響により事業が立ち行かなくなってしまった販売者が、自社の商品や在庫を「訳あり商品」として出品・販売。消費者は、通常よりも安い価格で「買って応援、食べて応援」することができるという。
出展元:InSync株式会社
全国フードロス削減マップ「タスケアエール」
株式会社チェイスは5月13日(水)、完全無料・登録不要の全国フードロス削減マップ「タスケアエール」を公開した。
「タスケアエール」では、在庫を抱えて困っている生産者や販売者は、会員登録なしで商品の掲載を行うことができる。一方、そういった生産者や販売者を支援したい消費者ユーザーは、「タスケアエール」に掲載されている商品を、通販や来店などで購入することができる。
消費者が、現在の位置から、困っている生産者や販売者の情報を確認できるのは、マップならではの機能。販売代行サイトではないため、商品の購入は、購入者が生産者・販売者と直接やりとりをして行うという。
出典元:株式会社チェイス
地域特化型支援
地域が一体となって助け合う仕組みや、そこから全国へと活動を広げていこうとする動きも。
支援金や販促支援で商店街を応援
品川区は5月13日、(社)五反田バレー、品川区商店街連合会と共同で、支援プログラム「しながわ商店街応援プロジェクト」を始動した。
第1弾は支援金の給付、商店街店舗への販促支援、およびデリバリー支援を行う。
販促支援活動は主に、飲食店、小売店、サービス店などの店舗向けに、情報提供による支援を中心に行う。具体的には、コロナ禍でも売り上げをつくるためのノウハウなどの情報を、記事・動画・オンラインセミナーなどを通じて定期配信する。
出典元:一般社団法人五反田バレー
港区内飲食店を1年間継続支援するチーム発足
株式会社R-StatupStudioは5月20日(水)、東京都港区の飲食店を1年間継続支援するためのプロジェクトチーム「MINATO有志の会」を発足した。
「MINATO有志の会」には、港区で活動する若手起業家やWebマーケター、Webエンジニア、デザイナー、動画クリエイターなどが有志で参加。支援を希望する区内の全飲食店に対し、EC化支援策やSNS集客支援策、クラウドファンディングなどのWeb施策を無償でサポートする。
第1弾支援策として、自粛緩和後に向け、店内の抗菌処理にかかる費用や店舗維持のための家賃補助金などといった資金を集めるためのクラウドファンディングを実施するという。
「自分は飲食店関係者ではないけれど港区のために自分も何かしたい!」という有志の後方支援者も募集中だ。
「街ごとこども食堂プロジェクト」を全国展開へ
Gigi株式会社は茨城県の境町、ふるさと納税総合サイト「ふるさとチョイス」を運営する株式会社トラストバンクと協定を締結。5月8日(金)、人にごちそうできるサービス「ごちめし」と「ふるさと納税」を活用し、地域の飲食店の食事を子どもたちに無料提供する「街ごとこども食堂プロジェクト」を、全国の自治体に広げることを発表した。
同プロジェクトは4月1日に境町でスタート。現在、飲食店約20店舗にて、各店毎日10食分のお弁当を「ごちめし」を使って来店した子どもたちに無料配布している。財源には、ふるさと納税の寄付金を活用し、休校などにより困っている子育て家庭と、営業自粛を余儀なくされている飲食店の双方を支援できる取り組みだ。
同社は今回の協定締結により、このプロジェクトのスキームを全国に広げていくとしている。
出典元:Gigi株式会社
宿泊業界を支援
宿泊業向け「無料オンライン相談窓口」
日本テレマティーク株式会社は5月11日(月)、コストサイエンス株式会社と共同で運営している宿泊事業者向けコスト削減・業務改善サービス「コストバスター」にて、新型コロナウイルス感染拡大の影響で収益悪化が見込まれている宿泊業向けに「無料オンライン相談窓口」を開設する。
この相談窓口でオンラインヒアリングした内容から、コスト削減ポテンシャルを無料診断。結果を分析レポートにまとめ、コスト削減・業務改善施策も含めて報告・提案する。施策の実行についても併せてサポートするという。
出典元:日本テレマティーク株式会社
働く環境支援
健康支援や学習支援を含む福利厚生特別プラン
株式会社ベネフィット・ワンは5月11日(月)から6月30日(火)の期間中に申し込みをした企業向けに、「福利厚生」「健康支援」「教育・研修」をワンストップで提供する福利厚生サービス「ベネフィット・ステーション 学放題プラン」を、3ヵ月間無償で提供する。
同プランでは、オンラインで取り組めるヨガやストレッチなどといったフィットネス関連コンテンツや、自宅でレストランの食事を楽しめるフードデリバリーサービスなど、約140万件のサービスを優待価格で提供する。
また、従業員の教育・研修を目的に、新入社員向けの基本コンテンツなどを含む約800のeラーニング講座を無料で受講できるサービスも併せて提供。新型コロナウイルス感染拡大の影響を受ける企業と働く人々を、様々な側面からサポートすることが目的だという。
出典元:株式会社パソナグループ
なお、紹介したサービスや活動、商品の詳細は、それぞれのプレスリリースにて見ることができる。
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