広島県に、アニメやゲーム、マンガなど、サブカルチャーに特化した就労継続支援B型事業所「サブカルビジネスセンター」がある。
障がい者やひきこもり、社会的な自立に不安を覚えている人など、将来の仕事に不安を抱える人を対象に、まずは自分らしく、好きなこと・やりたいことを学びながら収益化を計画。
学んで身に付けた力を使って収益を生み出し、工賃へと変えていく。なんと、その学習のための学費は無料だという。
これまでにない就労継続支援B型事業所はどのように生まれ、どのような未来を目指しているのか?同事業所を運営する株式会社あるふぁおめがの山田智尋代表に取材した。
「夢は平等でなくては」と発案
同センターは2019年4月に広島からスタートした。山田代表はかつて専門学校でメディア教育に従事していたという。
-----「サブカルチャーに特化したB型支援事業所」
山田代表:メディア系専門学校に勤めてきた中で、障がいがあるお
子様を持つ保護者様やひきこもりに悩む保護者様が、 アニメやゲーム、声優等のサブカルチャーの仕事に夢や希望を持って、多く相談に来られました。 しかし、既存の学校の設備等では対応しきれ
ず、お断りすることもありました。 でも、やはり、夢は平等でなくてはなりません。
メディア系専門学
校を退職し、その願いをかなえたいと思っていた折、 同じ考えを持つ同志・仲間や、 昔からの同僚達と再会することになり、思い描くものができること になりました。
実例もあり、次第に理解を得られるように
同センターが「サブカル」と定義しているのは、アニメ・マンガ・イラスト・ゲーム・声優・コスプレ・Youtuber・Vtuberなど、ちょっとオタクな文化。
障害を抱えている人やひきこもりの人などが持つオタクな知識や技術、情熱を傾けられるものをビジネスに変えていくのが、同センターの目的だという。
-----これまでにない施設をつくるのは大変ではありませんでしたか?
山田代表:やはり、社会の常識や固定概念の壁はとてつもなく高かったのは否めません。
時には、「障がいのある人がイラストやアニメ、マンガを創るのは無理。軽作業ならいざしらず」と言われたこともあります。
しかし、事業所を開所する前から、相談・交流を通じたアドバイスなどを少しずつ行い、4年以上ひきこもっていた人が社会に踏み出すサポートに成功。
この実例もあって、サブカルがひきこもっていた人々などの一歩踏み出すきっかけ等になることについて、しだいに理解を示してもらえるようになったそうだ。
他がやっていないこと・できることに注目
なぜ、ビジネス化できるのか?
同センターの技術指導員は元々、アニメ・ゲームなどの技術専門学校の教員経験者なので、その知識や経験を惜しみなく無料で教えることができるのだそう。
障害を抱えている人やひきこもりの人などの持つ可能性を見出し、それをビジネスコンテンツとして商品化し、ビジネスモデルを構築。障がいを抱えている人やひきこもりの人と一緒に仕事を作り上げているそうだ。
-----好きなこと・やりたいことを学んで収益に繋げるにあたって、工夫している点は?
山田代表:LINEスタンプ作りなどスタンダードなことに加え、“他
がやっていないこと、できること”に注目して作業を企画し、サブカ ルにご理解頂けそうな企業や施設にご提案させて頂き、仕事を依 頼して頂いております。 また、サブカルの技術は、一皮むけば様々なことに使えます。例えば、YouTubeで映像を創れるの
であれば、他の映像も制作できます。 アニメも、障がいのある方、
または初心者の方でも制作可能な、通常とは違う制作手法をとり 、様々な事業で活用できる様にもしました。 これにより、例えば、
企業様のPR動画等を安価に請け負う等の工夫を行ったりしており ます。 さらには、ネットを活用しての遠隔家庭教師、別の地域にいな
がら他の地域のサイト更新やネット広報の仕事を請け負える仕事の 仕方の提供、ヴァーチャルキャラクターの技術を使い、企業へのキ ャラクターを使った受付業務、オリジナルコンテンツによるグッズ販売等も展開しております。
これによりアニメ・マンガ・声優・など、 多岐に渡るサブカル事業を実現しております。
自分らしく、笑顔で夢を叶える場所を提供
同社は今年5月、宮城県仙台市に「サブカルビジネスセンター仙台」をオープンする。
また、新型コロナウイルスの影響により外出自粛が求められる流れを受け、在宅で仕事ができる独自のテレワークシステムを構築。
声優・アフレコやイラスト作成、サイト更新など、在宅でできるサブカル系の仕事を用意したという。
-----意欲的にサービスを展開する、情熱の原動力を教えてください。
山田代表:全国の方に、自分らしく笑顔でいられる居場所、そして夢を
叶えることのできる場所を提供し、好きなことで仕事のできる自信 を届けたい。 また、スタッフも同じ思いで仕事に取り組める場所を創ると共に、働き方改革や新型コロナなど世の中の流れ
を読みとり、その時々にマッチしていける仕事の仕方を提供していきたい。その一念でやっております。
-----同事業を通して実現したいミッションを聞かせてください。
山田代表:障がいのある方に夢を、引きこもりの方に未来を提供し続
けることです。 また、サブカル産業にも革命を起こしたい。
それを通じて、各地の活性化を目指していきたい。
何よりも夢を活用し、テレワーク等の働き方も提供して、現在100万人にも及ぶといわれ、更には年々増加傾向にあるといわれ る全国のひきこもり状態にある人の増加に歯止めをかけ、減少させていく、と いうのがサブカルビジネスセンターのミッションだと思っておりま す。
日本を代表する産業である、メディア産業・エンターテイメント業界・サブカル分野に関する技術を楽しみながら学び、それを仕事へとつなげていくことを目指すサブカルビジネスセンター。
自分の“好き”に自信を持ち、それを仕事に変えて働けるようになった人々により、どのような作品やビジネスが生まれていくのか。今後が楽しみだ。
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