株式会社ラフールは4月8日、新型コロナウイルス感染拡大に伴う緊急事態宣言を受け、企業活動や経済活動を前に進めるため、企業間でプロダクトやサービスを紹介し合うプロジェクト「Interactive Co-creation~to overcome covid-19」を発足した。
同プロジェクトを立ち上げた同社の執行役員・大塚友広氏に、プロジェクト発足の背景や、多くの企業を巻き込む秘訣などについて話を聞いた。
賛同者が真に信頼するプロダクト・サービスを紹介し合う
同プロジェクトは、新型コロナウイルス感染拡大に伴う緊急事態宣言を受け、「企業活動を完全に止めてはいけない」「『非接触』でこそ必要な『信頼』に挑戦する」との想いで、大塚氏がリーダーシップを執り立ち上げたもの。
顧客の同意を得たうえで、企業間で互いにプロダクトやサービスを紹介することで、テレワークでのオンライン商談などを活性化させる狙いだ。
紹介料は一切求めず、現在の国難を乗り越えたいという強い意思を持つ企業のみが参加できる。
そして、「賛同者が真に信頼する会社、プロダクト、サービスのみを紹介する」という約束事が重要ポイントだという。実際に使用していて、本当に素晴らしいと思っているものだけが、対象となるのだ。
ープロジェクト発足に至る背景、経緯を教えてください。
コロナウイルスが日本でも広がりを見せていた際に、「現実問題この先の新規獲得営業が滞る可能性がある」という危機感を覚えました。
「テレワークが推奨されることで、新規のテレマーケティングなどはできなくなる可能性もある」とも考えていました。特に私たちのようなスタートアップと呼ばれる企業群は新規の顧客開拓ができないことは致命傷ですし、それぞれのビジョンに向けて前に進むことができません。
では、そこで何をするか?何ができるか?と考えたときに、同じ悩みを抱える企業様がたくさん出てくるだろうと推測しました。ここまではあくまで推測です。
企業活動を行っている多くの企業はそれぞれ多くの顧客を抱えています。だから企業として存在しているわけです。
であれば、その顧客に対して他社のサービスを紹介することができても良いのではないか。現実的にそういった形を作っていくしか国難ともいうべき状況を打破する方法はないのではないか。
このように考え、このプロジェクトを立ち上げるに至りました。
プロジェクト発足のプレスリリースから僅か1日で、すでに参画企業が20社を超えたという。
この状況を受け、大塚氏は「推測であったことは現実で、みなさん同じ悩みを抱えていたことが分かった」と話す。
自分の言葉でメッセージを発信すること
プロダクト・サービスの紹介にあたっては、まず求める顧客像を共有し、1カ月単位で参画企業をグルーピングする。
そして、各グループごとに顧客を紹介し合い、1カ月後にグループチェンジをする。期間は新型コロナウイルス感染の終息までの予定だ。
コミュニケーションは、facebookを中心に行う。参画企業全社のオンライン懇親会なども予定しているという。
ーこのプロジェクトを進めていくうえで困難なことはありますか?
多くの仲間が集まってくれるわけですから困難なことなどは全くありません。むしろどんどん困難ではなくなっていきます。
一般的に物事を困難だと思う人は「これをしたらこうなるかもしれない」「そうなったらどうしよう」とかそういうことを細かく考えて困難だと勝手に思っているだけです。自分で困難を作っているだけです。
むしろみんなで今乗り越えていこうという熱を集めてどんどん熱くなっているわけです。
困難だという感情が私の中にあったら、こういったことはそもそもやりません。
ーより多くの人、企業を巻き込むために、具体的にどのような施策を取られているのでしょうか。
社会の流れの中で本質がどこにあるか?という点を常に見つめるようにしています。そうすることで自分よがりになりません。
施策とはいいがたいですが、常に社会の流れを注視しています。
あとは、その時に自分ができることを自分の言葉でストレートに発信しています。
人にどう思われようが、何を言われようが自分の言葉で自分のメッセージを発するようにしています。これが私の施策です。
何人集めようとか、何社集めようとかそんなことは考えたことがありません。
単に「自分がやりたいことをする」のではなく、社会の本質や流れを感じることを大切にし、そして、発信する際には自分の言葉でメッセージを伝えることを心がけているという大塚氏。
ここに、プロジェクトリーダーとしての秘訣があるのだろう。
「人に夢を与えること」を諦めない心
大塚氏はこれまで、スタートアップの立ち上げなどを経験した後、2015年には出身地・群馬県にある富岡製糸場の世界遺産プロジェクトに参画。世界遺産および観光プロジェクトのトップとして、地元学生などを巻き込み観光地をゼロから育てた。
現在は、社員の心理的安全性やエンゲージメントを可視化するツール「ラフールサーベイ」を提供する株式会社ラフールで、社長室付き役員という役職として、大型アライアンスやイベントセミナー企画を中心に担当しているという。
ー仕事をするうえで大切にしていることやこだわりを教えてください。
『人に夢を与えること』が私の仕事であり、使命だと思っています。
これは以前従事していた世界遺産・富岡製糸場の世界遺産プロジェクトに参画した際に確信したことです。
全てをかけて行っていたプロジェクトでしたが、当時28歳だった私に対し、「こんな若造に何ができるんだ?」という視線を感じたこともありました。
観光の地でない地域を観光の地にするプロジェクトで、「誰もできない」と思われていたのです。
しかし、私は絶対にできると信じて、それを形にしていきました。地域の人のため、来てくださるお客様の為だけを考えて走りました。
そうこうしているうちに多くの方が私を応援してくださるようになり、気が付いたら地域の高校生や中学生までもが応援してくれるようになったのです。
そのような私の姿を見て、進路を変える人や、「自分のやりたいことをやる」と人生を変えていく人の姿を何度も目にしました。その時に「自分の喜びはこれだ」と確信したのです。
『人に夢を与える』というと少し大げさで偉そうな部分もありますが、自分が動くこと、仕掛けること、諦めないことで、人の心や行動が変わる瞬間を目の当たりにしたとき、これが自分の人生における最大の喜びで、これを仕事にしようと思いました。
ですから、業種業態などは関係なく、私の仕事は目の前にあるものを正しい方向(顧客の方向)に向けて自ら仕掛け続け、『人に夢を』与えたいと思います。
ご自身における今後の展望を尋ねると、「今は『ラフールネスで世界を笑顔に』することに集中したいと思っています」としたうえで、人生のなかでやりたいことはたくさんあるという。
会社経営者として成長していくこと、50歳ぐらいで趣味のゴルフを極めシニアツアーの選手になること、そして、60歳ぐらいで小説家として大きな賞を取ること。
4つ目は、政治です。政治といっても私はいわゆる政治家になりたいわけではなく、「自分の生まれ故郷を良くしたい」と思っています。
富岡製糸場の世界遺産プロジェクトで地域行政に関わり、問題点も多々わかりましたが、同時にできることもたくさんわかりました。
地方行政は無限の可能性を持っているのですが、それに気が付いていない自治体が多いように思います。
これから多くの地域でスタートアップなどで活躍した人材が地域のことを行う社会になってほしいと思っています。
そういった人材が、地域の面白さに気づくとやめられなくなると思います。
プロゴルファーも、小説家も、地域活性化も、すべて「人に夢を」という大塚氏の一貫した信念が感じられる目標だ。
新型コロナウイルス感染拡大で、経済活動が停滞しているこの時だからこそ、信念を持って行動を起こす大塚氏から学ぶことは大きい。
「Interactive Co-creation~to overcome covid-19」参画希望者は、株式会社ラフール広報担当(news@lafool.co.jp)に問い合わせをすることで詳細を確認することができる。
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