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フリーランスの与信を可視化し家を借りやすく。与信サービス「smeta」を展開するスタートアップが抱く想い

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2020/04/04(最終更新日:2020/04/04)


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リース株式会社は、フリーランスに特化した賃貸向け与信を見える化するサービス「smeta」を提供し、フリーランスが賃貸の入居審査時に抱える課題の解決に向けた事業を展開するスタートアップだ。

「smeta」では、会社勤めではないという理由で与信審査が通りにくいフリーランスに、与信に関する適切な評価を付与することで、借りられる家賃額の上限を事前に設定。この限度額内であれば、確実に入居審査を通過することができるようになるという。

同社の代表取締役・中道康徳氏および、最高戦略責任者・尹英俊(ゆん よんじゅん)氏に、サービス立ち上げの経緯や今後の展望などを取材した。

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提供:リース株式会社

終身雇用を前提とした審査ロジックに疑問

ーなぜフリーランスの賃貸向け与信サービスを立ち上げようと思われたのですか?

「昨今、働き方改革や副業解禁の流れを受け、ワークスタイルの多様化が進み、自身のライフスタイルに合わせて場所や時間に縛られず働くフリーランスは増加の一途を辿っています。

しかしながら、多様化する社会に金融および信用インフラの整備が追いついていない現状があります。

中でも、生活の基盤となる住まいに関し、賃貸住宅を借りる際に家賃債務保証会社(入居者が賃貸住宅の契約をする際に、入居者の連帯保証人の役割を担う会社)が行う入居審査において、勤務先が存在しないフリーランスは社会的な信頼度や収入の安定性の証明が難しいことから、審査が通りにくいという傾向にあります。

『勤務先・勤続年数・年収』という、何十年も昔に作られた終身雇用を前提とした審査ロジックがいまだに使われており、『安定した職に一定期間以上勤めており、安定した給与所得がある』ということが現在の信用評価において重要視されているのです。

例に漏れず、弊社代表の中道自身も原体験として、弊社を創業する前にフリーランスとして活動していた際、与信が無いため銀行口座を開設できない、クレジットカードを発行できない、部屋を借りられないという三重苦に悩まされました。

昨今の社会変化を鑑み、会社の看板ではなく、本当の意味で個人の信用を評価する新たな審査ロジックと、それをベースとした新たな与信サービスの提供を通じて、信用インフラをアップデートする必要があると考え、フリーランスの賃貸向け与信サービスを立ち上げました。」

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「フリーランスを支えたい」共通の想いが繋げた縁

同社は2019年末以降、クラウドソーシング仕事依頼サイト「ランサーズ」を運営するランサーズ株式会社、フリーランスに特化した金融支援サービス「FREENANCE byGMO」を展開するGMOクリエイターズネットワーク株式会社、そして、複業マッチングプラットフォーム「Another works」を展開する株式会社Another worksと、次々と業務提携を実現。フリーランスで活躍する人々が、正規雇用者と同様に賃貸住宅を借りることができる仕組み作りを着々と進めている。

ー多数企業との業務提携が実現した背景について教えてください。

「ランサーズ株式会社様や、GMOクリエイターズネットワーク株式会社様を始めとする、多くの企業様と提携してきた背景には、働き方やキャリアが多様化する社会において、フリーランスの方々を応援し、支えたいという共通の想いがあります。

これまでは与信不足とみなされ審査に落ちることが頻発するフリーランスの方であっても、弊社が提供するフリーランス向け賃貸与信アプリ『smeta』をお使いいただければ、正規雇用者と同様に、簡単かつスムーズに賃貸住宅を借りることが可能になります。

また、提携企業様が運営する『ランサーズ』や『FREENANCE byGMO』といったプラットフォームには、ユーザーであるフリーランスの方々の活動実績のデータが蓄積されています。

そのためユーザーが任意で開示すればこれらのデータを与信材料に『smeta』での与信審査に反映することが可能で、与信枠が増加するといった優遇を受けられるなど、ユーザーが享受できる便益の拡充が望める点も提携の目的となっています。」

リスクを伴う方向展開に挑んだ勇気と覚悟

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提供:リース株式会社

ー「smeta」立ち上げから現在に至るまで、一番困難だったことは何ですか?また、それをどのように乗り越えられたのですか?

「弊社は現在、『smeta保証』という、入居者の連帯保証人となる家賃債務保証会社の機能も備えているのですが、そこに至るプロセスが最も大きな困難でした。

そもそも、当初は家賃債務保証の機能を持つことまでは想定していませんでした。

最初の構想は、ユーザー(入居希望者)からデータを取得して新しい入居審査エンジンを開発し、家賃債務保証会社向けにSaaS(サービスとしてのソフトウェア)を提供することでしたが、開発を進めていく中で幾つかの障害が出てきたことで、その構想は壁に直面し、戦略転換に迫られました。

その結果、家賃債務保証会社にSaaSを提供するBtoBモデルではなく、自らが家賃債務保証会社になる、つまりBtoCの一事業者になる、という方向に転換することになりました。

家賃債務保証事業には滞納や貸倒など多くのリスクが含まれており、弊社のような小さなスタートアップにとっては極めて大きなリスクを抱える行為と言えます。

しかしながら、議論を重ねていく中で、この方向転換によりユーザーと直接の接点が生まれ、提供価値を最大化するためのプロダクト及びサービス開発の観点においては得られるものも大きい、ということが分かって来ました。

我々にとって、与信面の悩みを抱えるユーザーに『smeta』を届けることを諦めるという選択性は無かったため、改めて事業のメリット・デメリットを整理したところ、リスクはメリットを最大化するためのコントロール可能な要素であると結論づけたのです。

ならば自分たちで覚悟を決めて家賃債務保証会社の機能を持つしかないと、その方向転換を実行しました。」




日々下す決断全てがチャレンジそのもの

現在は「不動産賃貸」という領域を主とした与信サービスを展開する同社だが、将来的には、金融領域をはじめとするその他領域へサービスを拡張していく必要性があるという。

例えば、ユーザーにとって負担となりがちな賃貸契約時に発生する頭金などといった大きなイニシャルコストを、同社が提供する与信をベースに、半年間に渡り割賦で支払う仕組みなどだ。

これまで与信不足で困っていたフリーランスが、信用を蓄積して定量的に示すことができれば、享受できる便益をあらゆるシーンで提供できるようになる。

このように、フリーランスの与信を可視化することで、彼らが得られる便益の幅と深さを拡充していきたいという。

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提供:リース株式会社

ー仕事をする際に大切にしていることやこだわりは?

「1つ目は、サービス作りにおいて、『ユーザーが求めるものを作ろう』です。

非常にシンプルに聞こえるため簡単なように思えますが、とても難しいことです。厳密には、一度作って終わりではなく、ユーザーが求めるものへとアップデートし続けるという連続性を求められる点が特に難しいところです。

また、『そもそもユーザーは自分自身が求めるものを理解していない』といった可能性もあることから、ユーザーを深く理解し、課題を定義し、仮説を立てて正しく検証することを心掛けています。

2つ目は、組織として『チャレンジングな決断を楽しもう』です。

前提として、弊社のようなスタートアップは新しいものを生み出すことにチャレンジしているため、何が正解か分かりません。

目の前にお題が書かれた白紙とペンだけが置かれ、五里霧中の状況下で全てをゼロスクラッチで描き出し、自らの手で形にしていくしかないため、時には怖くなることもあります。

従い、『失敗を恐れずチャレンジしよう!』ではなく、我々にとっては日々下す決断全てがチャレンジそのものであるからこそ、決断に至るところから結果を受け入れて次の決断に向かう全てのプロセスを楽しんで取り組むことを大事にしています。

3つ目は、『レバレッジさせることに集中しよう』です。

スタートアップはあらゆる経営資源に限りがあるので、足し算をしているようでは話になりません。最低でも掛け算、できれば指数関数的に成長することが理想です。

短期的な成果に気を取られるのではなく、掲げたビジョンの実現に最短で辿り着くことがスタートアップにおける最重要事項です。

だからこそ、あらゆる面でレバレッジさせることをしなければ、最大効率は望めず、最短で山を上りきることは叶いません。」

異なる個性を持つ二人だからこそ

二人三脚で目標に向かって邁進する彼らは、互いに全く違う個性を持っているという。

中道氏は具体思考で尹氏は抽象思考。会社で担っている役割としても、中道氏がサービス開発、尹氏は経営戦略だ。

互いに得意としていることが理解し合えているからこそ、自分自身の能力を最大限に活かすことができているという印象だ。

ーご自身のキャリアにおける、今後の展望についてお聞かせください。

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提供:リース株式会社

<中道氏>

「私が常々意識しているのは、ビジョンの実現に向けて自ら最前線に立って巻き込みつつ、仲間の個性を調和させパフォーマンスを最大化するために一歩後から背中を押すことです。

スタートアップは正解が分からない中で未知へのチャレンジを繰り返しながら、描いたビジョンに向けて突き進みます。

同じビジョンを共有する仲間であっても、答えが無い中で葛藤し続けることへの不安が生まれ、不安が失敗に繋がることもあります。

だからこそ、組織を率いる自らが率先して高い次元で誰よりもチャレンジし、失敗から学ぶ姿を見せ、先導することが不可欠だと思っています。

仲間達に対して、不安について考えるよりも集中して突き進み続けることがもの作りに取り組む姿勢そのものであり、失敗したとしても質の高いチャレンジは全てリースの財産になる、というメッセージになると考えています。

また、ゼロイチのもの作りに携わる人間として、チャレンジし続ける人だからこそ気付ける不便さ・不条理・不都合に対するセンサーのようなものがあると考えており、社会に1つでも多くのゼロイチを還元していきたいです。」

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<尹氏>

「リースにおいて私がCSO(最高戦略責任者)として果たすべき責務は、企業価値の最大化に資する戦略面での貢献です。

中道と共に何を作るべきか共に考察するところから、中道が作り出すものを如何に改善し、1人でも多くのユーザーへ価値を届けるか、までの戦略を描き、実行していくことであり、そのために必要となることは全てにおいて貢献する伴走者を目指しています。

CSOという職種は非常に幅広い解釈が可能です。一言で戦略といっても、非常に幅広いだけでなく奥行きもあり、経営戦略も因数分解すると成長戦略・財務戦略・事業戦略・人事戦略・PR戦略・ブランド戦略・営業戦略・マーケティング戦略・アライアンス戦略など様々なものが挙げられます。

当然、全てをマスターすることは難しいですが、リースのCSOとして、ホリゾンタルにまんべんなく知見を広げる網羅性と、バーティカルに各個の奥行きを追求する個別性とを掛け合わせた面積を拡張し続けなければなりません。

リースの仲間が、新たな信用インフラを作るという壮大なビジョンの実現に向けて、ワクワクしながら思い切りチャレンジできるよう、安心して背中を預けられるCSOを目指したいと思っています。」


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