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【取材】メキシコ発!サボテンを原料としたエコな革製品が誕生。「本皮と同等レベルの丈夫さを追求」

白井恵里子

2020/03/23(最終更新日:2020/03/23)


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メキシコ在住のAdrian Lopez Velarde氏、およびMarte Cazarez氏が開発した、サボテンを原料とするヴィーガンレザー(動物の皮革を使わない合成皮革)が注目を集めている。

このヴィーガンレザーを使用した製品「Desserto」は、3月に独ベルリンで開催された「環境に優しい製品アワード(The Green Product Award and the Green Concept Award)」において、1463もの応募の中から選ばれた。

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原料となっているのは、メキシコのサカテカス州で育つサボテン。頑丈で、厚い皮。その触り心地も動物皮革と類似している。しかし、見た目は本皮そのものだという。

開発者の一人、Adrian氏に開発の経緯などを聞いた。

メキシコ人の象徴「サボテン」

Adrian氏は、台湾の大学で国際政治経済を学んだ後、特に家具・自動車産業における持続可能な繊維の研究開発に8年間従事した経歴を持つ。

ビジネスパートナーであるMarte氏は、台湾で中国語、メキシコで国際ビジネスを勉強。ファッション業界にも精通しているビジネスパーソンだ。

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ーサボテンを原料にするというアイデアのきっかけは何だったのでしょうか?

「育てるために多くの水や、除草剤・農薬などといった有毒化学物質による特別なケアを必要とせず、かつ簡単に早く育つ植物を使用しようと思ったことがきっかけで、サボテンというアイデアに辿り着きました。

サボテンは、メキシコには豊富に生息しているので、前述の条件を満たしているだけでなく、メキシコ人の象徴でもあります。メキシコの国旗も、サボテンの上に鷹が座っていますよね。全て繋がった!と思いました。」

本革と同等レベルの丈夫さが自慢

有機栽培されたサボテンの葉は切り取られ、きれいに洗い、つぶして、日光に当てて3日間乾燥させる。それから彼らの立ち上げた会社「Adriano Di Marti」が開発した方法で染め上げる。こうして完成した「Desserto」製品の値段は、本物の天然皮と同等だ。

同社はこれまで、このサボテン皮で、自動車の座席や靴、ハンドバッグ、衣服などを作ってきた。

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サボテンの皮の一部は、生分解性。プラスチックは使わないという点も環境に優しいと言われており、動物皮革に取って代わるエコ製品として注目を集めている。

ープロジェクトの中でもっと困難だったことは何ですか?また、それをどのようにして乗り越えられたのですか?

「研究開発における最難関は、本革と同等レベルの丈夫さ、耐性を創りだすことでした。2年間に渡る多種多様な試みを経て、やっと成功したのです。」

環境汚染軽減のため

彼らは現在、環境面などにおいてより発展した新素材を開発するため、コンスタントに研究開発に取り組み続けているという。

ー今後の目標を教えて下さい。

「私たちのサボテンを原料とした商品を通じ、動物皮や偽皮を使用した産業による環境汚染を減らしたいと考えています。」

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「Desserto」の製品は、公式ウェブサイト(英語)で日本からも購入することができる。


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