日本舞踊家の花柳琢次郎氏は日本初となる、インターネットを通じて自宅にいながら日本舞踊の稽古を受けられる「テレ稽古システム」を開発した。
開発期間は6年、既に国内だけでなく世界4カ国で実証済みの同システムを、3月9日に一般公開した。
教室では対面稽古が当たり前
新型コロナウィルスに伴う外出自粛や小中学校の休校が相次いでおり、対面でないと稽古ができない日本舞踊教室にとっては死活問題であるという。
また教室に通う生徒にとっても、稽古を受けたくても受けられない状況が生じている。
そこでそのような状況を改善すべく、同氏は教室内で使用していた「テレ稽古システム」を一般に公開した。
世界4カ国で実証済みの「テレ稽古」
テレ稽古システムは、門下生の自宅と日本舞踊講師の稽古場をインターネット中継で繋ぎ、カメラモニターを通じて稽古を行うものである。
動画での中継という点以外は対面での稽古とまったく同じだ。
同氏はこれまで6年間にわたり、イギリス、ポーランド、アメリカ、シンガポールの4カ国の弟子たちと一緒に「テレ稽古システム」を作り上げてきた。
ネット環境や時差、指導法、言葉の壁などに関して改善を重ね、同システムは完成した。5Gなどの技術革新によって日本舞踊教室もリモートが当たり前になるかもしれない。
5Gなど技術革新により対面稽古により近づく
習い事市場の中でも今人気があるのは、eラーニングやアプリなどを使った自宅学習だという。
同システムによって、対面でしかできないと考えられていた日本舞踊の稽古が自宅でも可能になった。
日本舞踊のあり方が変われば、国内外に愛好者が増えることも考えられ、5G回線など技術の進歩で、対面での稽古により近いパフォーマンスも期待されている。
課題を解決し海外の日系人とつながりたい
インターネット回線の状況によりタイムラグや通信障害、使用するモニターやタブレットの映像のサイズなどの課題もある。
また、指導者のスキルも必要不可欠であり、画面越しに微妙な体の動きを読み取って指導する力や、外国人に教える場合は語学力も必要である。
それでも、ドメスティックな分野だと思われがちな伝統芸能に現代の技術を取り入れていくことで、世界へ大きく羽ばたくきっかけになれるよう、今後も課題の解決、改善に向けた取り組みを続けるという。
いずれ同サービスを介して、中南米や南米、その他の地域で暮らす日系人の子供たちに向けて、日本語の教育や昔ながらの稽古事を行うことを目指していくとしている。
U-NOTEをフォローしておすすめ記事を購読しよう