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異業種から参入したことが強み…水道工事会社のユニフォームから生まれた「スーツに見える作業着」躍進の原動力

長澤まき

2020/03/16(最終更新日:2020/03/16)


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スーツに見えるが、実は作業着。

スタイリッシュでフォーマルな見た目ながら、現場作業しやすい高機能を兼ね備えたスーツ型作業着「ワークウェアスーツ(WWS)」が今、注目を集めている。

2018年3月の本格販売開始から2年で導入企業が350社を突破。各地の百貨店にPOPUPストアをオープンするなど、飛ぶ鳥を落とす勢いだ。

躍進を見せる同商品は、実はある水道工事業社のユニフォームから始まったという。WWSを展開するオアシススタイルウェアに躍進の原動力を取材した。

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出典元:オアシススタイルウェアプレスリリース

「購入したい」という声を受け事業化

オアシススタイルウェアは、水道工事業を営むオアシスソリューションから分社化し、2017年12月に設立したという。中村有沙(なかむらありさ)代表取締役に話を聞いた。

-----アパレル事業という新業種への参入に踏み切った経緯を教えてください。

中村代表取締役:「2006年に創立したグループ会社である水道工事業の創立10周年を記念して、ユニフォームを刷新したのがきっかけです。

ユニフォームを刷新しようとした理由として、業界のイメージを少しでも変えたいという思いと、若手採用強化、ユニフォームチェンジによる社員のモチベーション向上が挙げられます。

約2年の期間をかけて開発し、グループ企業の制服として2017年秋ごろから導入したところ、契約先の企業から購入したいという要望を多くいただき、『もしかして売れるのではないか』ということに気づき、同年12月に会社を設立し、2018年3月から正式に販売を開始しました。」

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提供:オアシススタイルウェア/中村有沙代表取締役

気軽に体験してもらえる選択肢を提供

WWSは2月時点で、建設業・製造業・運送業・金融業・サービス業など多岐にわたる業種の約350社を超える企業に導入されている。

-----どのようにして導入企業を増やしたのですか?工夫したことは?

中村代表取締役:「法人は基本的には企業からのお問合せで契約をしています。弊社ではPRに力を入れており、ニュースを通してお問い合わせをいただくことが多いです。

また、企業様と意見を交換する中で、法人向けのサブスクリプションサービスや、企業に直接訪問し出張即売会サービスなど、ワークウェアスーツをより気軽に体験していただけるような選択肢を増やしています。

企業様と協力し、新たな福利厚生としてワークウェアスーツをユニフォームとして営業マンに支給するような試みも行っています。」

▼導入例1.三菱地所コミュニティ。マンション等の管理員制服として導入

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提供:アシススタイルウェア

▼導入例2.大海酒造。酒蔵の蔵人のユニフォームとして導入

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提供:オアシススタイルウェア

▼導入例3.ヨネヤマ。トラックで配送を行う部署に導入

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提供:オアシススタイルウェア

100以上の生地を取り寄せて検討

-----同事業を始めてから現在までに、どのような困難・苦労がありましたか。また、それをどう乗り越えましたか?

中村代表取締役:「まず開発過程では、『スーツ型』というアイディアが出るまでが苦労しました。

“終業後にデートに行きたくなる作業着“をコンセプトとしていたので、そこからフォーマル感を重視したスーツ型のアイディアに至りました。

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出典元:オアシススタイルウェアプレスリリース

また、機能性を維持しつつスーツ型を実現するため、生地選びにも苦労しました。

全国から100以上の生地を取り寄せて検討し、毎日洗濯機で丸洗いでき、ストレッチ性、防水・撥水・速乾、形態安定といった機能を兼ね備えた生地を選定しました。その後はサンプルを何度も作成し、実際に着用する社員にもヒアリングを重ねながら開発しました。」

2019年11月には、ストレッチ・撥水・速乾・形態安定などの高機能性を持つオリジナル素材「Ultimex(アルティメックス)」を開発。現在の商品には同素材を使用しているという。

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出典元:オアシススタイルウェアプレスリリース

販売当初は多くのメディアに取り上げられたこともあり、多数の問い合わせが寄せられ、商品が欠品する事態が発生。また、生産体制が追い付かず顧客を待たせることもあったそうだ。

この課題を解決するために国内の工場を利用したり在庫周りの体制を強化するなど改善を行い、現在は常に商品が欠品しない状態を保持できるようにしているという。


素人目線が逆に強みに

-----躍進を実現させた原動力は?

中村代表取締役:「水道工事業という異業種から参入したことです。アパレル会社ではないことが逆に弊社の強みとなっています。

業界の感覚だと、スーツと作業着はそれぞれまったく別のカテゴリに分かれていますが、私たちのような素人目線だとそこに垣根はなく、自分たちがいちばんの顧客として、『どんな服がほしいのか』という思いを突きつめて開発を進めることができました。

現在、350社の企業や多くのお客様にご購入いただいている理由にもつながっているのではないかと感じています。」

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提供:オアシススタイルウェア/開発風景(イメージ画像)

スピーディーさを大切に柔軟に展開

-----同事業を展開するにあたっての仕事へのこだわり・心がけている事を教えてください。

中村代表取締役:「お客様からの声を吸収し、スピーディーに対応することを心がけています。

例えば、販売当時はメンズのみの商品展開でしたが、女性用も欲しいという声を多くいただき、2018年5月にレディースラインの販売を開始。翌年の2019年9月には同じく要望を多くいただき、レディースのワークスカートも販売を始めました。

また、メンズも販売開始から2年経過した今、バリエーションやカラー展開、サイズ展開を大幅に増やしています。

法人についてもお問い合わせに対する即レスを心掛けています。」

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提供:オアシススタイルウェア/中村有沙代表取締役

異業種発だからこその既成概念に捉われないアイデアで生まれ、スピーディーかつ柔軟に躍進してきたワークウェアスーツ。

これからも「服が変われば、意識が変わる」をコンセプトに、同商品を通じて人々の働く環境を改善し、人手不足などの社会問題の解消に貢献できるよう、いっそう挑戦していくという。


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