HOMECareer Runners 「一人ひとりの登山を最高の体験に」より安全で楽しい登山環境づくりに挑む企業の思いとは

「一人ひとりの登山を最高の体験に」より安全で楽しい登山環境づくりに挑む企業の思いとは

長澤まき

2020/02/25(最終更新日:2020/02/25)


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株式会社ヤマレコは2月10日、同社が運営する登山専用コミュニティサイト「ヤマレコ」内に、登山のプランを簡単に作成できる新機能「らくルート」を公開した。

登山計画のルートを手動でも自動でも簡単に引け、時間も自動計算で分かる新しい登山計画機能だ。

より安全で楽しい登山環境づくりに取り組むヤマレコに取材した。

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提供:ヤマレコ

登山計画のルートを簡単に作成

らくルートは、登山計画のルートを簡単・自由に描ける新機能。登山専用コミュニティサイト「ヤマレコ」の新規計画書作成から利用することができる。

地図上に出てくる白い丸をクリックするだけで予定ルートを作成。歩く速さや休憩時間を行動予定に入力すると、コースタイムを自動計算するので、無理のない計画を立てることができる。

手動入力モードを活用すれば、これまでは困難だった登山道がないバリエーションルートについても、自由にルートを作成できるそうだ。

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危険個所も事前に把握

長野県警察と協力して作成した「山岳遭難マップ」にある山岳遭難の発生場所を表示するので、計画時に危険個所を把握することが可能。

また、ユーザーが登録したGPSログ点の集合体を「みんなの足跡」として表示する機能も。

登山道だけでは分からない実際に歩かれた場所を示す目印として、登山時の参考にすることができる。

計画・記録を共有し、登山の世界を変える

「ヤマレコ」は、2005年に山行記録共有データベースとして誕生。以来、情報通信技術(ICT)を使って山をより安全に楽しくすることを目的に進化し続けている。

ヤマレコ広報の今泉友恵さんに、話を聞いた。

-----登山専用SNSサイト「ヤマレコ」を立ち上げた経緯を教えてください。

「弊社代表の的場が所属していた山岳会『カモの会』で、山岳会員の山行記録をまとめた会報をデジタル化するために作った『カモレコ』がきっかけでした。

『カモレコ』では、計画を共有して先輩が後輩の計画をチェックし、下山確認をし、その後の山行記録をみんなで共有することができました。このようなことをインターネットを通して行うのは当時(2004~2005年くらい)としてはとても画期的でした。

『カモレコ』が会員の中で浸透するようになり、この機能を会だけはなく全国の登山者と共有したら、登山の世界を変えられるのではという思いから的場が構想して作ったのが『ヤマレコ』です。」

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提供:ヤマレコ/代表取締役で開発者の的場一峰さん

登録ユーザーは46万人超

ヤマレコ登録ユーザー数は現在、46万3000人超(2020年2月時点)。30代~50代の男性が中心だが、登録者の約2割は女性だという。

-----どのような方(地域等)が、どのように利用していますか?

「人口の多い関東圏や関西(大阪)、東海(愛知)の利用者が多いです。

活用方法として一番多いのは、直近の山の情報を調べるために使われています。

例えば、今の時期であれば雪がどの程度積もっていて、どのような装備が必要かを調べるためが多いです。また開花状況や、道の様子、危険箇所などを事前に把握するのにも使われています。

他には、他の人の記録を読んで次に行く山を探したり、山の計画を立ててオンラインで登山届を出したりと、様々な使われ方をしています。

最近ではアプリの利用者も多く、これから行く山の地図を事前にダウンロードして、電波が通じない山の中で現在地を確認するために利用されています。」

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出典元:ヤマレコWebサイト

「救助できない遭難を減らしたい」と開発

-----今回、登山計画機能「らくルート」を公開した経緯を教えてください。

「山岳遭難では、登山計画がないため捜索ができず、救助に繋げられないという問題がよくあります。

その問題を少しでも減らすために、『なるべく多くの登山者に山行計画書を作成してほしい。』『そのためには日本全国の山で、できるだけ簡単に計画書を作ることができるシステムを提供したい』という思いがありました。

そこで、登山者がどんな山でも簡単に計画を立てることができる計画書機能というコンセプトで、計画書作成から自動・手動のルート作成、コースタイムの計算までシームレスに簡単にできるようにと開発しました。」

-----開発にあたって、特にこだわった点・工夫した点は?

「自動と手動を切り替える操作によって、すべての登山の計画をたてられるような画期的な機能として開発しましたが、なるべく自動ルートを充実させたいという思いもありました。

自動でルートを引くためには、あらかじめ登山道の情報を点と点を繋げ線として準備しておく必要があります。

日本は国土の7割以上が山岳地域で、1つの山に登る登山道も複数ある場合が多く、入り組んでいる道も多いため、全ての登山道に自動ルートを引くことは果てしなく、とても大変です。

そこで、まずは利用者の多い日本百名山などのメジャーな山からあらかじめルートを引いてリリースすることにしました。」

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手動入力モード。アイコンが鉛筆マークになり、ルートがない部分にも線が引ける

「また、『計画書を作成』と選んだら、まず『らくルート』でルートが引けるように導線を工夫。

さらに、今回のリリースと同時にらくルート専用のTwitterアカウント(@YamarecoR)を作成しました。

ルートのリクエストや進捗状況などをみなさんと共有し、作る大切な財産にしていきたいと考えています。」

「また山に行きたくなる」サービスを

ヤマレコのサービスコンセプトは「また山にいきたくなる。」だという。

記録を残すことで山の楽しかった思い出がよみがえり、他の人の記録を読むことで山への想いをふくらませ、また山に行きたくなる。

残した記録は山の情報を伝える役割も果たし、同じ場所に行きたい他の人の役に立つ。

同コミュニティサイトを通して生まれた学びやコミュニケーションが、登山をより楽しめるきっかけになる。

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提供:ヤマレコ/回答者の今泉友恵さん

-----貴社が事業に込める思い・ビジョンを聞かせてください。

「企業ミッションは『一人ひとりの登山を最高の体験に。』

登山の目的は人それぞれ。風景・人との交流・達成感・読図・食事・撮影・山小屋・仲間との絆・高山植物など。そんなみなさんの目的に応じて、登山の楽しみを最高のものに高めるのが私たちのミッションです。

一人ひとりの登山を最高の体験にするためにヤマレコは邁進してまいります!」


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