米サンフランシスコやニューヨーク、ボストンの他、イスラエルやインドにもオフィスを構え、世界中に投資を行う米老舗ベンチャーキャピタルの「Bessemer Venture Partners」。
そんな同社にも「逃した魚は大きかった…」と後悔するスタートアップがある。
イメージ画像:AdobeStock投資しておけばよかった…と後悔しているスタートアップ
投資しなかったことを後悔している11社について、同社は敬意をこめて公開している。
「おそらく米国内最古のベンチャーキャピタル」を自負する同社だが、長い歴史の中では、またとない機会を逃してしまった苦い経験も。
古くはかつらを扱う会社やフライドポテトの会社、ハワイ・マウイ島のサトウキビ列車などの投資から手を引いたことがあるが、いずれの企業も後に大成功を収めたという。
これらの失敗事例には、最近では誰もが知っている世界的企業も含まれている。
「彼らの驚異的な成功は、自社にとっても刺激になる」という同社が、投資に踏み切らなかった企業には以下のようなところがある。
Airbnb
2010年1月、AirbnbがBessemerに出資を打診したとき、月次の収益は10万ドル(約1100万円)だった。
投資の価値計算や事業の経済性評価であるバリュエーションは当時4000万ドル(約44億円)で、パートナーのJeremy Levine氏は「高すぎる」と判断。4か月後に再び会う約束をした。
しかしAirbnbの月次収益は2月には20万ドル(約2200万円)、3月には30万ドル(約3300万円)と伸び続け、結局Airbnbは「高すぎる」といわれた1.5倍での資金調達に成功した。
ちなみにAirbnbの最後の資金調達では、更にその500倍のバリュエーションとなった。
Apple
6000万ドル(約66億円)のバリュエ―ションで、IPO目前のAppleの二流株に投資する機会があったが、Bessemer共同創業者のNeill Brownstein氏は、それを「とてつもなく高い」といって拒んだ。
2004年の夏、ランチ待ちの列に並んでいたパートナーのNeill Brownstein氏は、ハーバード大学の学生Eduardo Saverin(Facebook共同設立者)の常軌を逸したピッチ攻勢に追い詰めらる。
このとき同氏は、「君ねえ、Friendster(当時SNSサイトとして知られていた)って聞いたことある? はい、もう終わり、終わり!」といって追い払ったという。
パートナーのDavid Cowan氏の大学の友人は、Googleの共同創業者であるSergeyとLarryにガレージを貸していた。
1999年から2000年にかけて友人がCowan氏に、この検索エンジンを制作しているスタンフォードの優秀な学生たちを紹介しようとした。
しかし、同氏は「学生?新しい検索エンジン?」と相手にせず、「ガレージのそばを通らずにこの家から出るにはどうしたいい?」と尋ね、彼らに会わずに友人の家をあとにした。
Ebay
「切手? コイン? マンガ? 冗談だろ?」と思ったパートナーDavid Cowan氏は、「考えるまでもなくパス」と却下。
相手企業に対し敬意を表して、特大級の失敗例をあえて公開した同社。
しかし、これらの大きな大きな魚を逃しながらも、同社は長い歴史の中で数々のスタートアップの成功を生み出してきたのもまた事実である。
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