クリスマスを間近に控えたこの季節、トナカイやサンタ柄のセーターを着て家族や親戚が一堂に会する場面を、海外ドラマや映画で目にしたことがあるのではないか。
「ちょっとダサい…」とか「今どき誰も着ないんだろうな」と思われるかもしれないが、これより更にダサいクリスマスのセーターが、今アメリカでは密かなブームとなっているようだ。
それらのセーターは、Fred HajjarとMark Hajjar兄弟が、2012年に起ち上げたブランド「UglyChristmasSweater.com」で販売されている。
ugly.christmas/Instgram「ポパイズのチキンサンド」セーターが大人気
今年全米中の店舗に行列ができ人々を熱狂させた「ポパイズのチキンサンド」や、日本でもおなじみ「レッドロブスターのロブスター」をモチーフにしたものなど、一風変わったセーターが海外メディアで報じられるなど話題となっている。
「チキンサンドセーターは、12月の発売と同時に瞬く間に売り切れた」と、CNN BUSINESSは伝えている。
ugly.christmas/InstgramHajjar氏によると、チキンサンドのセーターのアイデアは、11月初めの2週間の注文が、昨年に比べて若干減ったときに浮かんだものだという。
米国ではこの時期、クリスマスから新年にかけてのホリデーシーズンに向け、セーターの注文が増えるのが普通だ。
「すぐに何か手を打たなければと思った」と同氏。ダサいセーターにふさわしい流行りもの探り試作品を作ると、ポパイズやチックフィレイをはじめとする、100の企業に商談を持ち込んだ。
ポパイズの快諾を得て、今月初めにオンラインショップで、1枚45ドル(約5000円)でチキンサンドセーターを1000枚販売すると、その日の午後遅くには完売した。
今回ポパイズは、無料でセーターを作ることを了承してくれたが、通常「UglyChristmasSweater.com」では、相手の企業とライセンス契約を結び、売上の一部を相手企業に支払っている。
「これは弊社と相手ブランドの双方にウィンウィンとなる戦略です。企業にとっては宣伝になるし、我々はそれで商売ができます」と同氏。
米国流パーティーにヒント
ここ数年、同社のセーターを着てクリスマスを過ごす家族の姿が、アメリカでは風物詩となりつつある。
2011年、ダサいセーターを着てホームパーティーを開いている人たちのことを知り、これが起業のきっかけとなった。
同氏がeBayをチェックすると、おばあちゃんが着るようなクリスマスのセーターが、100ドルから300ドル(約1万1000円~3万3000円)で売られていることを発見した。
そこで、翌年には兄弟で「UglyChristmasSweater.com」を起ち上げた。
初年度の売り上げは4万ドル(約440万円)だったが、翌年には収益が300%アップし、その後も毎年増収が続いている。今年の売り上げは600万ドル(約6億6000万円)を見込んでおり、現在65人のスタッフを雇うまでに会社は成長した。
ダサさに磨きをかけていく!
同社のセーターはオンラインショップにて、1着50ドル前後で購入できる。
現在ではコストコやウォルマート、メイシーズなどでも類似品を扱っており、競争は激化する一方だ。同氏も「どうしたら他社の先を行き、競争力を維持していけるか考えている」と述べた。
この時期のダサいセーターの需要に陰りは未だ見えず、倉庫のスペースを拡大したほか、今年は顧客が24時間以内に自分だけのセーターをカスタマイズできるサービスも開始した。
かつてのトナカイやサンタといったものから、よりキッチュで奇妙なものへと進化を続ける同社のセーター。3Dセーターやトランプ大統領をイジッたもの、そでにポンプが隠されているものなども登場している。
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