有限責任監査法人トーマツは12月から、アートビジネスに関するアドバイザリーサービス「Art & Finance」の提供を本格的に始める。
アート産業が拡大する中、金融機関や企業、美術館の新規事業創出支援や、美術品取引に関わるマネーロンダリング対策支援といったサービスを提供するという。
超富裕層の資産運用先としてアート市場が拡大
アート関連市場のグローバル化と、近年のアートの価値の継続的な上昇により、美術鑑賞といった観点にとどまらず、金融資産としてのアートに対する注目が高まっている昨今。
アートは希少価値が高く、資産性の高いアセットとして、超富裕層の資産運用先の1つとしての活用も進んでいる。
ルクセンブルクの会計事務所「デロイト ルクセンブルク」による「アート&ファイナンス・レポート2019」によると、世界の超富裕層におけるアート投資は、 2016年の1兆6220億ドルから2018年には1兆7420億ドルに拡大したという。
2023年には2兆1250億ドルに拡大すると推計されており、こうした国際的な取引拡大に伴い、アート産業全般の拡大が見込まれている。
アート市場がマネーロンダリングの温床に?
一方、アート関連市場は規制が未発達であり、元来多くの取引が現金で行われてきため、その追跡や証明が難しい。
加えて取引主体者の匿名性が保持されることから、市場の透明性が低く、マネーロンダリングの温床となる恐れが指摘されてきた。
近年、市場の透明性向上に向けた取組みが推進され、EU、アメリカにおいては、反マネーロンダリング(AML)規制の法整備が準備段階にあり、アート・ビジネスに関わる事業者は、事業を展開する国の法制度を遵守する必要がある。
トーマツ、海外事例を活用したサービスを提供へ
そこで「デロイト トーマツ グループ」は、「デロイト ルクセンブルク」の一組織である「Art & Finance」をモデルに、様々な事業体が直面するアート・ビジネスの課題について、Finance、Culture、Legalの3つの観点から日本国内でのサービスを展開する。
金融機関や公共、民間の美術館のアートを活用した新規ビジネス開発への助言、それに伴うリスク分析や対策支援を行う。不正リスクやAML規制対応への助言や指導を含んだ統合的な支援としている。
同社はアート・ビジネスにおいて、日本の美術品取引の発展期に、海外の先進事例を活用したサービスを提供することで、持続的で透明性の高いアート関連市場の形成、発展に貢献したいという。
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