株式会社リクルートマネジメントソリューションズの組織行動研究所は、従業員規模300名以上の企業の20~50代の正社員457名に「職場での個人の学びに関する実態調査」を実施。
「仕事を通じて学びを多く得ている人の特徴」「学びのテクノロジーの活用の実態」「学びにつながる職場風土の特徴、学びを支援する制度・仕組み」など、調査結果から見える実態について公表した。
調査結果を大まかにまとめると以下のようになる。
新しい学びがあった人は6割、年齢や役職などの個人属性による差はなし
●「過去1年で現在の仕事に直結する新しい学びがあった」と感じているのは約6割。
特に、仕事においてハイパフォーマンス、ハイコミットメントできていると感じている高適応層は、約8割の人が1年以内に現在の仕事に直結する新しい学びを得ている。そうではない低適応層では約4割。学びは仕事や組織への適応感を高めると同時に、適応感が次の学びを促進すると考えられる。
●過去1年の新しい学びの有無には、年代、役職、学歴による差はみられなかった。
一方、環境変化の大きさや職務の重要度・自律度、キャリア見通しや専門職志向の高さが学びの有無に関係していた。
●労働時間の短縮は、必ずしも学びに結びつかない。
少なくとも今回の調査においては、労働時間が短いことと学びの多さ、労働時間が減少することと学びの増加には関係が見られなかった。
●「自分の得意な学び方」が確立している人は約5割。
得意な学び方がある人は、そうでない人より多く学んでおり、その方法は「経験から学ぶ」「人と学ぶ」「仮説・想をもつ」「言語化・アウトプットする」という人が多い。
●ハイパフォーマンス・ハイコミットメント層は、何事も成長機会と捉え、より良い経験を積めるように仕事をアレンジしたり、経験を学びに変えるためのアウトプットをしたりしている。
与えられた環境や職務はいつも学びに適しているとは限らないが、そんな中でも学びを見つけようとしたり、より良い経験を積めるようにという意識が働いているのが特徴的。
今の会社が成長できる環境だと思っているのは約4割
●学びのテクノロジー活用のトレンドとしては、「チャットツールによるリアルタイム情報共有」、「遠隔会議システムによる対話機会の増加」。
最近よく使うようになった、もしくは効果的だと思っている学びのテクノロジーやその活用法については、「チャットツールによるリアルタイム情報共有」「遠隔会議システムによる対話機会の増加」を挙げる人が多かった。
社内の人に何か聞きたいことがあったときにすぐに確認したり、全国の同じ職種のメンバーとナレッジ共有したりしている。
「学習教材のIT化」「情報記録・保管の効率化」という回答も見られたものの、数はそれほど多くなく、職場によって、学びの内容やスピードに差が生じている可能性も示唆される。
●今の会社が成長できる環境だと思っているのは約4割。
「成長できると思う」理由として多かったのは「取り組みがいのある仕事」「同僚からの刺激がある」「教育制度がある」「成果主義」などで、一方「成長できないと思う」理由として多く見られたのは「仕事に変化がない」「評価されない」「学習風土がない」といったものだった。
学びにつながる職場風土の特徴は、「従業員同士がお互いの仕事の成果と成長の両面に関心をもち、信頼し合い、共に成長していこうという関係性を築けている」こと。
●従業員の学びを支援する制度として、導入割合・役立ち度、共に高いのは、「1on1ミーティング」「上司・同僚からのフィードバックサーベイ」「勤務時間・場所の選択制度」など。
全員一律ではなく、一人ひとりの状況に合った学びをサポートするというのが特徴的。一方、導入割合が高くないが役立ち度が高いのは「自己学習のための金銭支援」「社内外の人との交流の機会」「社外副業」「本業以外の仕事機会」など。
目の前の業務とは少し異なる、越境的な学びをサポートする制度は、個人の役立ち度は高いものの、導入している会社はまだ少ないという傾向も見られる。
上記の調査結果は、自らの働き方、会社の学びの体制を見つめ直す、ひとつの指針となってくれそうだ。
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