10月1日(火)に施行された改正・電気通信事業法を受け、大手キャリアは料金プランを改定した。一方で、3社ともすでに通信料と端末代が連動しない分離プランは導入していたため、金額そのものに大きな変更はない。
大きく変わったのは、2年縛りの有無や、契約更新時以外に解約したときの違約金の扱いだ。これは、省令で2年縛りの違約金が最大1000円までと定められたため。
2年縛りのないプランとあるプランの差額も、170円までと決められた。3社の新料金は、この省令に対応するものだ。ただし、どう対応したかは3社で異なる。その違いを見ていこう。
ソフトバンクは2年縛りを完全撤廃
2年縛りを完全に撤廃したのは、ソフトバンクだ。同社は「ウルトラギガモンスター+」と「ミニモンスター」で2年契約をなくし、料金を一本化した。
料金は以前の2年縛りがあるものと同額に据え置いた。
元々のウルトラギガモンスター+やミニモンスターは、2年契約をしなかった場合料金が1500円高くなっていたため、同条件で比較するとそのぶんだけ料金が安くなったと見ることもできる。
ソフトバンクは2年縛りを撤廃。金額据え置きのまま、料金プランを一本化した違約金が1000円程度に下がると、解約の抑止力にはなりづらい。無理に170円差の料金を別に用意するより、一本化した方がユーザーにとって分かりやすく、評価も高まる。省令を上回る対応をした背景には、そんな判断が働いたと見ていいだろう。
ソフトバンクはサブブランドのワイモバイルにも分離プランを導入したが、こちらでも2年縛りを撤廃した。
auはプランを改定、縛りなしは+170円に
ソフトバンクとは反対に、省令に準拠したのがauだ。
料金的にはすでに導入していた「auデータMAXプラン」や、ネットフリックスがパックになった「auデータMAXプラン Netflixパック」などを踏襲したが、2年縛りのないプランを改定。
2年縛りありの場合に比べ、170円高い金額を設定した。2年縛りありの場合、途中での解約には1000円の違約金が発生する。
auは2年縛りなしの料金を別に用意。上記の金額より、170円高くなるドコモは「dカードお支払割」を導入
対するドコモは、両社の折衷案とも言える料金プランを導入。同社は10月1日から2年縛りなしの場合の料金を引き下げ、違約金も1000円にした。
ここまではauと同じ対応だが、新たにクレジットカードのdカードを保有し、料金の支払いに利用しているユーザーに対する「dカードお支払割」を導入。この割引を提供すると、2年縛りなしの場合の料金が170円値引きされる。
値引きと言うと少々分かりづらいが、簡単に言えば、dカードで料金を支払っていれば、事実上、2年縛りなしで契約できる。
クレジットカード保有者は解約率が低くなる傾向があるため、料金プラン側で2年縛りを設定しておく必要がなくなったというわけだ。dカードの契約者数は、2000万人を突破しており、割引の対象になるユーザーも多くなりそうだ。
各社新料金プランには申し込みが必要
2年縛りがない、もしくは条件が緩くなった料金プランを導入した大手3キャリアだが、これらのプランはユーザー自身が申し込みをする必要がある。自動的に2年縛りがなくなるわけではない点には、注意しておきたい。
また、ドコモで2年縛りがある料金プランを契約している場合、次回の更新月まではその条件が適用される。2年縛りの契約が満了していない場合、9500円の違約金がかかってしまう。
各社とも楽天モバイルの参入に備え対抗値下げも示唆していたが、ふたを開けてみると金額は据え置きに終わった。
楽天モバイルのサービス開始が事実上、延期になったためだ。楽天モバイルが本サービスに移行したあと、対抗値下げに踏み切る可能性もあるが、ユーザーからの評判次第と言える。
楽天モバイルのエリアがまだ十分でないことを踏まえると、同社を発端にした料金競争は、しばらく起らないかもしれない。
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