スマートフォンは常に我々の位置情報を利用している。地図アプリを使う時には便利なものだが、プライバシー侵害の問題もある。
来月9月にアップルの新OS「iOS13」が公開になると、「アプリと位置情報」をめぐる話題がふたたび注目を集めそうだ。今回は改めて「スマホと位置情報」の話をまとめてみたい。
iOS13ではアプリを実際に使ってから「位置情報の取得状況」を確認できる
iPhone用新OS「iOS13」をインストールして使い始めると、次のような画面が時折表示されるのに気づくだろう。アプリの名前と、そのアプリが位置情報を取得した場所と回数が、地図の上に点で表示される。
iOS13での「位置情報取得に関する確認」の画面。(画面は開発途上版のものだが、特別に許可を得て利用している)「こんなにたくさん取得されているのか!」と驚く人もいるかもしれない。だが、別にこれは「プライバシーが侵害されています」という警告ではない。
アプリをインストールする際には、各種のプライバシー情報の取得・利用に関する許諾の表示がある。カメラやマイクの利用、住所録データへのアクセスに電話機能の利用、といった許諾があるが、同様に「位置情報の取得」という項目もある。
そして、アプリを使っている時だけ位置取得するのか、それともアプリを使っていない時でも位置取得することに同意するのか、という点も聞かれている。これは、iOSでもAndroidでも同じような扱いになっており、OSの設定から確認できる。
Androidでの位置情報の取得に関する設定情報。OSの設定に記録されていて、いつでも変更ができる。表示は若干異なるが、iOSでもやっていることは同じだ。だが、こうした許諾の方法には欠点もある。多くの人が「どんな風に位置情報を取得しているのか、理解しないまま許諾している、ということだ。
iOS13のこの機能は、許諾後に「どのように位置情報が取得されたのか」を見せることで、許諾の意味をユーザーに理解してもらい、位置情報の許諾が正しく活用されるようにしたい、という狙いで作られたのだ。
アプリメーカー・アップルともに「告知」「情報公開」が必要
一方、位置情報を使うアプリやサービスを作っている事業者からは、この機能があまり歓迎されていないようだ。なにも知らない人から見ると「こんなに位置情報を記録されている! 怖い!」という風に見えかねないからだ。
多くのアプリやサービスは、位置情報を正当に、ユーザーを便利にするために使っている。地図サービスやナビはもちろんだが、決済系アプリでは「自分の近くで使えるクーポン」を知らせるために使っているし、中にはソニーのヘッドホンアプリのように、「位置は記録していないが、その人が歩いているのか電車に乗っているのかを判断してノイズキャンセル機能を最適化する」ために許諾を利用している場合もある。
そのアプリがどういう特性をもっていて、どういうことに位置情報を使っているかを理解していれば、けっして怖がる必要はない。問題なのは、「自分が許諾した意識がないのに位置情報を使っているアプリ」を洗い出し、不必要にデータを集めさせないことだ。
とはいうものの、アプリ事業者からすれば、「ユーザーを怖がらせてアプリのアンインストールや位置情報のカットにつながる機能」には、なかなか賛成しづらい部分があるのだろう。だが、「自分達のアプリではなにをやっているのか」「位置情報を通知するとどういう利点があるのか」をアピールすることで、ちゃんと理解して許諾してもらえる率を高めることはできるだろう。
アップルも、このポップアップがどういう意味を持つのか、iOS13の公開に向けて、より広く知らしめて欲しいと思う。機能としてはいいものだ。問題は「よく知らない人が見ると驚いてしまう可能性が高い」ことだけなのだから。
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