HOMEビジネス 石野純也のモバイル活用術:スマホの進化系からコンピューターへ。新登場のiPadOSを徹底解説【WWDC 2019】

石野純也のモバイル活用術:スマホの進化系からコンピューターへ。新登場のiPadOSを徹底解説【WWDC 2019】

石野純也

2019/06/11(最終更新日:2019/06/11)


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アップルの開発者向け会議「WWDC 2019」が開催された。開発者が集うイベントだけあって、例年、WWDCの基調講演ではiOSやmacOS、watchOSといった同社製品に載るOSの新バージョンが発表されてきた。

WWDCでの発表を受け、アップルはまず開発者向けのβ版を公開。9月にiPhoneが発売される直前に本バージョンの配信を行うというのが、ここ数年の“定番”になっている。

一方で、今年のWWDCは、サプライズも多かった印象を受ける。中でも会場を沸かせたのが、新たに登場した「iPadOS」だ。

ご存知のとおり、iPadはiPhoneから派生したタブレットとして誕生した製品で、これまで、OSにはiPhoneと同じiOSが採用されてきた。ホーム画面にアイコンが並び、PCとは異なるアプリごとのファイル管理の仕組みが取り入れられている点は、iPhoneもiPadも同じだ。

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サプライズとして発表された「iPadOS」。会場からは大きな歓声が上がった

「WWDC 2019」開催、注目は「iPadOS」

ただ、iPhoneとiPadのiOSが必ずしもまったく同じものかというと、そうではない。

iPad Proの登場以降、アップルはiPadにApple Pencil対応の機能を付け加えてきた。2年前に登場した「iOS 11」では、Dockが拡張され、Macのようになったほか、マルチウィンドウ機能も強化。画面分割時にファイルを受け渡せるようになるなど、PCに近づく形で進化を遂げてきた。

iPad Proには、Apple Pencilのほか、キーボードも用意されており、アップルが、PCとは違う、新たなコンピューターの形を模索していることがうかがえる。iPadOSは、こうした流れを受けて誕生したものだ。

iOSから独立させることで、よりiPadならではの機能を盛り込んでいくというのがアップルの方針。秋に配信されるiPadOSは、その第一弾という位置づけだ。

 ウィジェット固定、画面分割…進化するiPad

具体的には、まず、ホーム画面が大きく変わることになる。

ホーム画面の1画面目には、左はじにウィジェットが表示され、常時情報を閲覧することが可能になる。今までのiPhoneやiPadにもウィジェットは搭載されていたが、ホーム画面のさらに左に配置されていたため、閲覧するのに手間がかかっていた。

iPadOSでは、これが大きく改善される格好だ。ユーザーが広い画面を有効活用できるのはもちろん、アプリ開発者にとっても、ウィジェット対応するモチベーションが生まれる。

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ホーム画面の1画面、左端に、ウィジェットを固定できるようになる

iPadの独自機能として進化してきた画面分割機能も、iPadOSで強化される。これまでも、2つの異なるアプリで画面を分割することはできたが、iPadOSでは、同一アプリでの画面分割が実現する。届いたメールを読みながら、それに対する返信を書くといったことが可能になるというわけだ。もちろん、分割した画面同士でファイルの受け渡しも行える。

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同一アプリの画面分割が可能になった

スマホの進化系からコンピューターへ

また、iOSと共通の進化として、ファイルアプリが刷新される。フォルダ構造が分かりやすいコラム表示が導入されるほか、ファイルのプレビューや、ZIPの圧縮・解凍、ファイルサーバーの読み込みにも対応。さらには、USB Type-CやLightningで接続したSDカードなどの外部メモリも、ファイルアプリで直接扱えるようになる。

これまでのファイルアプリは、あくまで各アプリが管理するフォルダやファイルを扱えるにすぎず、外部メモリから取り込んだ画像などはいったん写真フォルダを経由しなければならないなど、お世辞にも使い勝手がいいとはいえなかった。

本体の直下にフォルダを作成できないなど、細かな仕様も改善されるようだ。ファイルの扱いはコンピューターの基本といえるだけに、うれしいポイントといえるだろう。

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ファイルアプリが刷新され、プレビューの表示や外部メモリの読み込みに対応

さらに、Safariにはダウンロードマネージャーが設けられ、ネットから取得したファイルはここに集約されるようになる。

Safariに関しては、スクロール時にサイドバーが出現するようになることに加え、デフォルトのサイト表示がデスクトップ版になるのも、大きな変更点だ。こうしたiPadOSの機能からは、アップルがiPadをスマートフォンの進化形から、PCに対抗できるコンピューターに発展させようとしている思惑が見て取れる。

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Safariは、デスクトップ版がデフォルトになる

watchOSやiOS、macOSも大幅に機能拡充

もちろん、iPadOSだけでなく、watchOSやiOS、macOSも、新バージョンでは大幅に機能が拡充される。

watchOSは、単独でのApp Storeを備え、iPhoneなしでもアプリをインストールできるようになるのが、大きな進化点だ。iOSは先に挙げたファイルアプリのアップデートが含まれるほか、画面の色を黒ベースにする「ダークモード」に対応するのが注目ポイントといえる。

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iOSの目玉として導入されるダークモード

macOSは、iTunesを廃止し、「Music」「TV」「Podcast」の3つに分割されることが大きな話題を呼んだ。

iPadをサブディスプレイとして使える「Sidecar」も、次期macOSの「macOS Catalina」からの新機能だ。いずれのOSも、正式版の配信は秋を予定する。例年にない大型アップデートになるだけに、その登場が今から楽しみだ。


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