国内の寺社や芸術祭、美術館などと連携し、スマホのGPSで多言語オーディオガイドの制作を手掛ける株式会社ON THE TRIP(東京都港区)が、無料でのコンテンツ制作をきっかけに、より広範囲な文化財保有施設と連携し、文化資産価値向上への理解促進のため活動を開始した。
「日本の文化はもっと価値を認められるべき」
この取り組みのきっかけは、同社の「日本の文化財の入館料が安い傾向にあるため施設単独では設備投資に限界があり、その貴重な文化を伝えきれていない」という問題意識だった。
設備投資ができないと、訪日外国人への多言語化対応も不十分になり、文化財が持つ奥深い物語や歴史への理解も希薄になる。それを知っているのとそうでないのとでは世界観が大きく違ってくる、というのだ。
ヨーロッパの歴史的建造物の拝観料は高いというがそれは修繕費に充当されているもので、歴史や文化の資産価値が社会的に認められていることでもある。改めて日本の文化材の保全や社会的価値の再認識を行っていくべきで、そのために文化に投資をしていくことが重要と考えている。
お寺、美術館のネット化で何が変わるのか
インターネットの普及により、現代の旅行は訪れた土地で何かのモノを消費することから、コト(体験)へと需要が変化しつつある。例えばある寺院を訪れた際にその場所を見て回るだけではなく、その背景にある文化やルーツといったストーリーを知りたくなるというふうに。
旅行者のその時々の知的好奇心に寄りそうように、必要な場所とタイミングでオーディオガイドが情報を与えてくれる、そんなシーンが今最も旬な光景になるのではないだろうか。
施設単独では難しい設備投資
とはいえ、施設が単独でオーディオガイドを制作したり運営したりするにはコスト面ほか課題が多い。そこで立ち上がったのが今回のプロジェクトだ。
多言語オーディオアプリの制作はON THE TRIP社が行い、あらかじめオーディオガイドを含めた入館料を設定し、差額の収益を協賛各団体間でシェアしていく。
また、施設内展示やポスター、Webなど各種ツールなどはすべて無料で制作し、体験をより立体的に伝え共感できるような施策を行っていくという。同社では現在、連携したい文化財を募集している。
連携文化財の募集詳細はこちら
https://on-the-trip.com/news/62/
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