格安スマホといえば、NTTドコモから回線を借りたサービスが一般的だったが、その状況が徐々に変わりつつある。
mineoがソフトバンク回線のサービスを開始
7月には、LINEモバイルがソフトバンク回線のサービスを開始。NTTドコモ、auの両回線を提供してきたmineoも、9月にソフトバンク回線を使った「Sプラン」をスタートさせる。
LINEモバイルに続き、mineoもソフトバンク回線のサービスを開始ほかにも、日本通信のb-mobileやU-NEXTのU-mobile、ソニーネットワークコミュニケーションズのnuroモバイルなどが、格安スマホとしてソフトバンク回線を利用している。
ユーザーにとっての大きなメリットは、ソフトバンクユーザーが端末をそのまま使いまわしやすいところにある。一部例外を除き、ソフトバンク回線の格安スマホでは、ソフトバンクのSIMロックを外していない端末がそのまま使えるからだ。
現状では、一括で端末代金を支払っている場合や、割賦で買って100日経過した場合はSIMロックを解除できるが、過去の端末はその対象ではない。iPhoneでいえば、iPhone 6以前の端末は、SIMロックの解除ができない仕様になっている。
SIMロックを解除するのが手間だと思っている人や、解除の仕方が難しくて分からないという人にもソフトバンク回線の格安スマホを選ぶメリットはありそうだ。
ソフトバンクのSIMロックがかかった端末をそのまま使えるのがメリットただし、ソフトバンク回線そのものとは異なり、一部の周波数が利用できないため、速度が落ちる可能性がある。具体的には、ソフトバンクの関連会社であるWireless City Planningが提供する2.5GHz帯が利用できない。
また、格安スマホは帯域単位で回線を借りるため、利用者数と帯域総量のバランスが悪化すると速度が低下するおそれがある。この点は、ドコモの回線を借りる格安スマホと状況は同じだ。
特に注意したいのが、サラリーマンや学生が昼休みに突入する12時台。通勤・通学や退勤・下校と重なる朝や夕方も、速度が低下しがちだ。
LINEモバイルのように、ソフトバンク回線限定で速度にこだわる会社もあるが、あくまでこれは例外的。サービス開始直後は速度が出ていても、徐々に落ちていくこともある。
一方で、料金はソフトバンクをはじめとする大手キャリアよりも、割安に設定されている。LINEモバイルの場合は、ドコモ回線と同額で、1GBの「LINEフリープラン」はデータ通信のみで月額500円から。音声通話をつけても1200円と、破格の料金を打ち出している。
3GBのコミュニケーションフリープランも、音声通話つきで1690円からとサブブランドであるワイモバイルよりも一段安い。b-mobileのプランも、ドコモ回線と同額の料金が設定されている。
LINEモバイルは、ドコモ回線とソフトバンク回線が同料金逆に、ソフトバンク回線がドコモ回線などとと比べて割高になるケースもある。
mineoのSプランは、ドコモ回線よりもデータ通信のみのシングルプランで90円、音声通話つきのデュアルプランで350円ほど高い。
nuroモバイルも2GBプランで280円、5GBプランで480円ほど、ドコモ回線より高い料金が設定されている。
ドコモ、au回線より高いmineoの「Sプラン」背景には、大手キャリアが格安スマホ事業者に回線を貸す際に設定している、「接続料」の違いがある。接続料は設備の費用をトラフィックで割るという算定式で求められるが、現状ではドコモがもっとも安く、ソフトバンクが一番高い。
回線の接続料は、ドコモは10Mbpsあたり、月55万2075円だが、ソフトバンクは月77万3519円と、20万円以上の開きがある。この価格差が、ユーザーへの料金に転嫁されているというわけだ。
裏を返せば、LINEモバイルや日本通信は、“企業努力”でこの差を吸収している形になる。
ただ、エリアに関してはドコモの方が広く、速度は格安スマホ事業者の借りている帯域次第。その上で料金が高いとなると、あえてユーザーが選ぶ動機は弱くなる。
LINEモバイルのようにソフトバンク回線が明らかに速い事業者は別だが、その他のケースでは、ソフトバンク端末を持っていないユーザーが無理に選ぶ必要はないだろう。
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