約15年前、折りたたみケータイ一辺倒だった中に突如として発売され、“デザインケータイ”とも呼ばれたINFOBARが、最新技術をまとって復活する。
新モデルの名称は15周年のローマ数字であるXVにちなんだ「INFOBAR xv」。発売は秋を予定する。
KDDIが秋に発売するINFOBAR xv
8月末までまだ時間はあるが、それまでの間は、クラウドファンディングを実施。
自分の名前を支援者一覧の中に表示できるようにしたり、INFOBARのデザイナーである深澤直人氏が作ったケースがもらえたりといったリターンを用意した。
INFOBAR xvは、潔く機能を省いた端末だ。スマホ全盛のなか、あえて「4G LTEケータイ」として開発されており、タッチパネルやアプリストアも搭載されない。
4G LTEケータイもOSのベースはAndroidのため、LTEでの通信やVoLTE、LINEなどのアプリは利用できるが、スマホと比べると拡張性は低い。電話や簡単なメッセージだけで十分という人に向けた端末といえる。
INFOBARのデザインとしておなじみのタイル状のキーは、フレームレスになり、より当初のデザインコンセプトであった「info.bar」に近づいた。デザインを担当した深澤直人氏によると、15年の技術の進歩によって、「初代のコンセプトを(製品として)実現できた」という。
キーの周りにフレームがなく、印象としてはコンセプトだったころのinfo.barに近いディスプレイは3.1インチ、ワイドVGAと、初代INFOBARよりもスペックは大きく上がっている。カメラも800万画素。スマホに比べるとスペックは低いが、かつてのINFOBARからは大幅に底上げが図られている。
LTEに対応し、通信速度が大幅に向上している点も、かつてのINFBARの差分といえるだろう。5月に3キャリア同時にスタートした「+メッセージ」にも対応する。
カラーはINFOBARの象徴ともいえる「NISHIKIGOI」に加えて、「NASUKON」「CHERRY BERRY」の3色を用意した。
INFOBARはスマホとしても作り続けられてきたが、タッチパネルを前提とした設計になってしまい、最大の特徴ともいえるタイル状のキーが搭載されてこなかった。4G LTEケータイとして割り切ったINFOBAR xvは、まさに原点回帰と言えそうだ。
ただ、アプリが使えなかったり、Googleアカウントで電話帳などの各種データを同期できなかったりするのは、やはり不便だ。
スマホが主流になっている状況のなか、INFOBAR xvがどこまで受け入れられるかは未知数な部分もある。KDDIでau Design projectを率いる砂原哲氏によると「規模感としては、非常にたくさん作る端末ではない」といい、ある種ニッチな層を狙っていることがうかがえる。
同氏によると、“INFOBARらしさ”を求め、いまだにフィーチャーフォンの「INFOBAR 2」を利用しているユーザーもいるという。
昨年開催された、au Design projectの展覧会には、11日間の会期中に約4000人が訪れ、同プロジェクトの復活を望む声も寄せられていた。INFOBAR xvは、こうしたファンの声に応えた端末といえるだろう。
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