大画面を悠々と闊歩する恐竜映像が圧巻だった「ジュラシック・パーク」(1990年)から約20年後に作られたシリーズ第5作。
SF作家、マイケル・クライトンの原作を基に、バイオ・テクノロジーによって現代に蘇った恐竜たちを、テーマパークで放し飼いにするというアイデアと、そのことがもたらす矛盾点は最新作にも引き継がれている。そして勿論、毎回の売りであるアップデートされた新・恐竜の恐るべきビジュアルとスキルも。
話は前作「ジュラシック・ワールド」(2015年)から繫がっている。ハイブリッド恐竜のインドミナス・レックスとシリーズの看板、T-REXが死闘を展開し、崩壊したテーマパーク、“ジュラシック・ワールド”があるイスラ・ヌブラル島に不穏な兆候が表れる。島の火山に噴火の可能性が出てきたのだ。
そこで、島で生き残った恐竜たちの運命を自然に委ねるか、または、リスクを冒してでも救出に向かうのか、人間たちの意見が分かれる中、恐竜行動学のエキスパート、オーウェン(クリス・プラット)とテーマパークの元責任者のクレア(ブライス・ダラス・ハワード)は救出を選択する。その矢先、火山の大噴火が始まった!!
大噴火を生き延びた恐竜たちが運ばれた先は?
映画の幕開けは、恐竜たちが溶岩の雨が降り注ぐ中、次々命を落としていく断末魔が最新鋭のCGI技術によって描かれる。人間の英知の結晶である恐竜が、大自然の驚異に晒されるという皮肉な構図が。
そんな中、善意から恐竜の捕獲に奔走するオーウェンたちの傍らでは、恐竜たちを島から脱出させて再利用を目論むロックウッド財団から派遣された傭兵チームが秘かに救出計画を進めていた。
やがて、檻に入れられた恐竜たちはアメリカ、北カリフォルニアにあるロックウッド財団の施設に運び込まれる。そこで、オーウェンとクレアは財団の恐るべき計画の実態を目の当たりにする。かつて“ジュラシック・パーク”に恐竜再生の夢を賭けた創始者、ジョン・ハモンド博士の理念を著しく逸脱した、営利目的の究極型を。
シリーズ最新作は舞台転換が秀逸だ
人間が恐竜と初めて出会う場面の感動が今なお鮮烈なシリーズ第1作から、舞台を恐竜のクローン化を推し進める施設、サイトBに移した第2作「ロストワールド╱ジュラシック・パーク」(1997年)、さらに、パラセーリング中に消息を絶った少年が舞い降りた島で新たに恐竜が見つかる「ジュラシック・パークⅢ」(2001年)、そして、新テーマパークで恐竜が暴れ回る「ジュラシック・ワールド」と連綿と続いてきた、このロング・シリーズ。
だが、最新作はオープニングの脱出劇から、オーウェン&クレアによる財団施設潜入劇へとシフトした後、誰も予測しなかった結末(シリーズ第6作へと引き継がれるはず)に着地して、舞台を恐竜島、またはパークに限定した過去のシリーズとは一線を画す。そこが、まず新鮮だ。
恐竜インドラプトルはあくどいヤツ!!
また、今回初お目見えの新ハイブリッド恐竜、インドラプトルの悪役ぶりがシビレる。新しく開発された遺伝子組み換え実験によった製造されたその頭脳は、前作で大活躍したインドミナス・レックスをさらに高等化したもの。何しろ、ヤツは人間を欺くあくどさを持っているのだ。
果たして、ロックウッド財団はインドラプトルを何のために作ったのか? 荒唐無稽な結末も含めて、そこはしっかりと観て確かめて欲しい!
【作品情報】
「ジュラシック・ワールド╱炎の王国」
7月13日(金)より全国ロードショー
配給:東宝東和
公式ホームページ:https://www.jurassicworld.jp/
©Universal Pictures
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