6月も末になり、FIFAワールドカップは予選トーナメントの終盤にさしかかっている。筆者を含むサッカーファンは毎日眠い日を過ごしているだろうし、そうでない人も、日本戦がある日はちょっと気になる……そんな毎日ではないかと思う。
ワールドカップの年になると、サッカーファンは「録画」に頭を悩ませる。リアルタイムでは見られない試合、もう一度見たい試合を録画するために、レコーダーの準備をしなくてはいけないからだ。容量だったり裏番組とのかぶりだったりと、意外と面倒である。
ところが、今年は違う。筆者は、一部の試合を除き、今年のワールドワイドを録画していない。NHKが無料のネット配信をしており、これがとても便利だからだ。今回は、ワールドカップ後半に向けて、ぜひみなさんにも使っていただきたいこのサービスをご紹介する。
全試合を配信、アングルも自由に選択可能
このサービスは、スマホやPCから利用できる。
スマホ・タブレット向けには専用アプリが用意されているので、iOS・Androidとも、ダウンロードすれば簡単に使える。PCの場合には、ブラウザから以下のアドレスにアクセスして使う。
【アプリダウンロードサイト】
iOS用:https://itunes.apple.com/jp/app/id1373074437
Android用:https://play.google.com/store/apps/details?id=jp.or.nhk.fifaworldcup
PC用Webサイト:https://www1.nhk.or.jp/sports/2018fifaworldcup/
上記のものは、「NHK 2018 FIFA ワールドカップ」というサービスで、全試合が対象になる。これらの特徴は、とにかく多彩な形で試合が見られる、ということだ。
以下の画像はiPadでのものだが、基本的にはスマホでもサイズが違うだけで、できることは変わらない。アプリ内からは全試合の日程と内容が確認できて、さらに、試合前の記者会見の様子なども見られる。試合はもちろん全編通して見られるが、ダイジェストも配信されている。
配信は、試合と同時のリアルタイム(といっても、数十秒のずれはある)もあるし、見逃し配信もある。筆者が録画をしなくなったのは、これらの機能がとても便利だからでもある。ちなみに、リアルタイムでの配信は32試合が、見逃し配信はワールドカップの64試合すべてが対象になっている。
各試合の見逃し配信が用意されており、録画しなくても気になる試合がチェックできる。インタビューやハイライトなどもしかもこの見逃し配信、単なる配信ではなく、とにかく多機能だ。
例えば、試合中にあった得点シーンやカードが出たシーンなどは、ハイライト実況の形で一覧表示できる。そこをタップすれば、ジャンプしてそのシーンだけを見られる。
テレビで見るように適切なカメラのものが選ばれた中継もできるが、同時に、自分でカメラを選んで、好きなシーンから見ることもできる。それどころか、4分割視聴もできる。こうなると、もはや録画よりずっといい。
サッカーファンなら、一度見た試合を見直すことは少なくないが、その時、気になったシーンをこうした機能を使ってチェックできるのは、ある種夢のようだ。
勝ち点や得失点差、試合スケジュールなども一覧できるため、全体状況が把握しやすいのもプラスだ。大昔は、ガイドブック片手にチェックしていたものだ。それがウェブになってはいたが、毎回確認が面倒だったのも事実。
しかし、今回のようにアプリにまとまっていれば、面倒くささはかなり解消される。
「中継は放送で見るから配信はいいや」という人にも、戦績・スケジュール管理向けにお勧めだ。試合が終わって数日経つと、そのチームのボール支配率や警告数などの詳しい情報も出てきて、本当にわかりやすい。
予選リーグの状況やスケジュールの把握も簡単チームのこれまでの状況もまとめられている。これだけでもけっこう便利試合終了から数日後には、ボール支配率の変化やパスの精度といった細かなアナリティクスデータも表示されるようになる配信は8月14日で終了!今後のスポーツイベントはこうした形式が当たり前に?
とはいうものの、「NHK 2018 FIFA ワールドカップ」アプリには弱点も複数ある。
ひとつめは、実況が基本的に「英語」ということ。FIFAが提供する、いわゆる国際映像を使っているためだ。日本でNHKが作った独自のダイジェストなどには日本語のものもあるが、試合の実況は英語である。日本語での実況が必要な場合には、別のアプリである「NHKスポーツ」を使う。ただこちらの場合には、24試合のリアルタイム配信に限られる。
もうひとつの制約は、この配信が「2018年8月14日」に終わってしまう、ということだ。いつまでも視聴可能、というわけではない。だから筆者も、どうしても気になる試合は、手元に残しておくために「録画」している。
こうした制約があっても、今回の試みはすばらしい。配信が突如充実したのには、もちろん理由がある。FIFAが各国と共に配信の仕組みを整えたからだ。世界的にみれば、もはや映像をテレビだけでしか見られない、というのはあり得ないことだ。だからこそ、配信の仕組みを整え、世界中の人がよりワールドカップに熱中できるようにしているのだ。
こうした流れは今後も続き、オリンピックも含めた世界的なスポーツイベントは、テレビ+配信でリッチに体験できるのが当たり前……という時代になっていく。アメリカでは、少数の試合に限定されているものの、VRヘッドセット向けの中継も行われているくらいだ。「テレビ以上の中継」という形は、さらに進化していくのは間違いない。
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