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石野純也のモバイル活用術:中国で試した国際ローミングの新常識

石野純也

2018/06/28(最終更新日:2018/06/28)


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 あと1カ月強で夏休みという人は多いだろう。長期休暇ということで、そろそろ海外旅行の計画を立てているころかもしれない。慣れない土地で心強いのは、やはりスマートフォンだ。マップアプリや通貨換算アプリ、翻訳アプリなどは、旅を強力にサポートするツールになる。日本にいる普段の生活よりも、使う頻度は高くなりがちだ。

 とはいえ、海外でスマートフォンを使うと、通信料金が高くなりがちだ。10日程度の旅行で毎日通信していたら、3万円を超えてしまったという話も耳にする。高額な料金がかかることをおそれて、通信はホテルのWi-Fiだけにしているという人もいる。

 もともと、海外でのデータ通信は2段階制の定額プランが主流だった。NTTドコモ、au、ソフトバンクともに、上限は1日2980円。2段階といっても、約25MBで上限に達してしまうため、スマホの場合、使い始めたらほぼ2980円かかると考えていいだろう。容量が少ないのは、この料金プランがフィーチャーフォン時代に導入されたものだからだ。以降仕組みが変わっておらず、料金が高額になっていた。

大手3キャリアのローミングサービス

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2段階制の定額プランは現在も提供されており、料金の上限は3社とも2980円

 ただ、この1日2980円という常識は、ここ1〜2年で変わりつつある。まず、auは、長期利用ユーザーの優遇プログラムの「au STAR」と同時に、「世界データ定額」を導入。

 これは、24時間980円で国際ローミングのデータ通信サービスを利用できるプランで、利用開始もユーザーが任意のタイミングで決めることができる。

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auは2016年に、世界データ定額を導入。料金が1日980円まで下がった。写真は発表時のもの

 続いて、NTTドコモが3月から「パケットパック海外オプション」のサービスを開始した。仕組みや料金はauとほぼ同じで、24時間980円でデータ通信を利用できる。2段階制で2980円かかっていたころと比較すると、料金はおよそ1/3。10日であれば、9800円で済んでしまうため、国や地域によっては、空港で海外用のWi-Fiルーターをレンタルするより、割安で済むこともある。

 デメリットとしては、世界データ定額もパケットパック海外オプションも、ともにデータ容量が消費されてしまうことが挙げられる。海外で10MB使っても、国内で10MB使ったのと同じように、契約しているデータプランから容量が引かれるというわけだ。

 2段階制のデータローミングは、国内用のデータ容量とは別計算だったため、この点ではお得感が下がっている。ただし、同時に、各社とも20GB、30GBの大容量プランが普及しているため、海外で大量に通信するようなときは、こうしたプランに変更しておくといい。

 残念ながら、ソフトバンクには同様の料金、仕組みがないため、基本的には1日2980円かかってしまうが、NTTドコモやauのユーザーなら、気軽にデータ通信を利用できそうだ。1日980円が、国際ローミングの新たな常識といってもいいだろう。

 実際、今筆者は中国・上海にいる。NTTドコモのパケットパック海外オプションを使ってみたが、手続きは非常に簡単だ。現地につき、端末側の「データローミング」をオンにして、アプリを起動する。アプリの代わりに、ブラウザで何か適当なページを開いてもいい。すると画面が切り替わり、パケットパック海外オプションの利用開始ボタンが現れる。このボタンをタップすると、すぐにデータ通信がつながり、24時間のカウントが開始される。

上海でローミングサービスを使ってみた

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データローミングをオンにして、アプリのボタンを押すだけでOK

 通信速度をチェックしてみたが、上海の虹橋国際空港付近では約70Mbpsを記録。繁華街である南京東路付近でも、約46Mbpsと高速だった。

 日本の通信設備をいったん経由するため、現地のネットワークに直接接続するよりも遅延が大きくなってしまうのはネックだが、上海程度の距離であれば、ほとんど気づくことなく利用できた。マップの読み込みもスムーズだ。中国はまだまだ英語が通じない場面が多いが、Google翻訳をいつでも使えるため、安心感が高い。

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虹橋国際空港付近での通信速度。日本を経由するため、遅延が少々大きい

 幸いなことに、国際ローミングは日本側の設備からインターネットに出ているため、悪名高い(?)中国の「金盾」も回避できる。

 現地のWi-Fiなどに接続すると見られない、GoogleやTwitter、Facebookも、スマホならスムーズにアクセスできる。もちろん、スマホのテザリングを使えば、PCやタブレットなども、金盾のアクセス制限が適用されない形で、インターネットにアクセス可能だ。これで1日980円は安いと感じる。

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Twitterのように、中国で規制されているサービスも利用できた

 ちなみに、NTTドコモの場合、パケットパック海外オプションを利用するときは、事前の申し込みが必要だ。標準では2段階制の「海外パケ・ホーダイ」が適用されているため、注意が必要となる。

 渡航前にMy docomoで確認しておくようにしたい。ドコモショップでも契約状態は確認できるので、空港にあるカウンターを訪れてみてもいいだろう。

 auはau STARの特典として1回分の料金が無料になる。NTTドコモも現在、キャンペーンとして1回分の料金がdポイントで還元される。

 それでも長期滞在となると現地でSIMカードを購入した方が安いが、10日未満の旅行や短期出張なら、金額も許容範囲だろう。少なくとも、以前のサービスよりははるかに使いやすくなった。国際ローミングの新常識として、覚えておいて損はないはずだ。


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