メインシリーズの最新作「スター・ウォーズ╱最後のジェダイ」が公開されてから、まだ半年が過ぎたばかり。なのに、早くも「ローグワン╱スター・ウォーズ・ストーリー」(これも約1年前の公開)に続くスピンオフ映画の第2弾が公開される。
「作品多過ぎ」との批判は勿論あるが、今回は観ないわけにはいかないだろう。何しろ、描かれるのはシリーズで最も魅力的なサイドキャラ、ハン・ソロの、知られざる若き日の姿なのだ。
シリーズ第1作目であるエピソード4(1977年)に銀河系を渡り歩く運び屋として初登場し、肝心なところでルークとレイアを窮地から救って来た謎めいたハン・ソロ。しかし、「フォースの覚醒」(2015年)では我が子、レンのライトセーバーによって体を射抜かれ、奈落の底へと落下して行ったハン・ソロ。
あの時、彼の最期を見届け、一旦彼への思いをリセットしたはずのファンの前に差し出される「ハン・ソロ╱スター・ウォーズ・ストーリー」とは、どんな物語なのだろうか。
別れた幼馴染みとの再会を夢見て
銀河系を帝国が支配する闇の時代。辺境の惑星、コレリアで暮らす青年、ハン・ソロ(厳しいオーディションを勝ち抜いたオールデン・エアエンライク)は、幼馴染みのキーラ(「ゲーム・オブ・スローンズ」のデナーリス役で人気のエミリア・クラーク)と共に平和な日々を過ごしていた。
しかし、2人は平凡な生活に飽き足らず、逃避行を試みるが失敗。出国直前にキーラは捕らえられ、ハン・ソロは単身故郷を脱出し、帝国航空学校で飛行機の操縦を学ぶことになる。
後に親友になるチューバッカとの出会い
やがて、パイロットとして一気に頭角を現したハン・ソロが、キーラとの再会を夢見ながら、後に大親友になるチューバッカといかにして出会い(最高の出会い方)、これも後にトレードマークとなる宇宙船、ミレニアム・ファルコン号をいかにして手に入れ、銀河の運命を握る存在になって行くか?というのが、新スピンオフのプロットだ。
キーパーソンはキーラともう1人、ハン・ソロをギャングの世界へと導く銀河一の泥棒、ベケット(ウディ・ハレルソンが名演)だが、2人は物語の方向性を決定づける役割を果たしているため、ここで詳細は控えたいと思う。
ハリソン・フォードの残像と決別!
ハリソン・フォードとオールデン・エアエンライクの新旧ハン・ソロが談笑肝心なのは、ハン・ソロ役で一躍人気スターになり、そのアクションヒーローらしからぬ知性と人間味でシリーズを引っ張ったレジェンド、ハンソン・フォードの残像が、この最新作でほぼ払拭されたこと。
イメージが違いすぎるとファンから酷評されたエアエンライクだが、レジェンドを敬いつつもシリーズを前に進めたい映画会社側の思惑と、手ぐすねを引いて待っていたファンの期待に、一応は応えた形になったのではないか。
ルーカスとハワード、宿命のリイク
何より、監督を「ビューティフル・マインド」(2001年)や「ダ・ヴィンチ・コード」(2006年)で知られるベテラン、ロン・ハワードに託したことが大きかったと思う。
ハワードは今回、ロングシリーズの重圧に屈することなく、また、特撮によるスペースアクションやガジェット類、そして、キャラクターの豊富さに依存することなく、人間ハン・ソロの青春とその挫折を、しっかりと観客に届けることに成功している。
思えば、子役出身のハワードが青春スターとして羽ばたいた出世作「アメリカン・グラフィティ」(1973年)の監督を務めたのは、誰あろうジョージ・ルーカスだった。
そのルーカスが後に立ち上げた「スター・ウォーズ」シリーズのスピンオフ最新作を、シリーズ開始から40年目の節目の年に、今度はハワードが監督したこと。鮮度の低下が取り沙汰されるフランチャイズムービーだが、長く続けるとこんな映画以上のストーリーを紡ぐことだってある。まだ、しばらくは付き合えそうだ。
【作品情報】
「ハン・ソロ╱スター・ウォーズ・ストーリー」
6月29日(金) 公開
公式ホームページ:https://starwars.disney.co.jp/movie/hansolo.html
配給:ウォルト・ディズニー・ジャパン
©2018 Lucasfilm Ltd. All Rights Reserved.
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