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新たな働き方「テレワーク(リモートワーク)」のメリット・デメリットとは?

U-NOTE編集部

2018/08/28(最終更新日:2020/05/26)


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「働き方改革」の一つとして挙げられる「リモートワーク」。業務のIT化にともない増加している新たな働き方です。

本記事では子育てや介護など、会社勤めが困難でも働くことができる「リモートワーク」について解説していきます。

本記事の内容をざっくり説明
  • テレワークの雇用型と自営型
  • テレワークを導入するメリット・デメリット
  • 実際の導入例

 

そもそも「テレワーク(リモートワーク)」とは?

リモートワークとは、在籍している会社には出社せずに、自宅やカフェ・レンタルスペースなどで勤務すること。場所や時間にとらわれずに働けられる自由度の高い働き方です。

近年ではWi-Fiを始めネット環境の普及によって、カフェやレンタルオフィスなどでも業務ができるようになり、在籍企業のオフィスという場所に縛られずに仕事ができるようになりました。

雇用型:企業に勤務する被雇用者が行うテレワーク 

雇用型テレワークとは、事業者と雇用契約を結んだ労働者が、会社に行かずに仕事をすることです。

雇用型テレワークの多くは、自宅を就業場所とする在宅勤務、外出中などどこでも勤務可能なモバイルワークです。

その他にも、サテライトオフィス、テレワークセンター、スポットオフィス等を就業場所とする施設利用型勤務があります。

従来の会社勤めとは違い、どこでも働ける自由性の高い仕事だといえるでしょう。

 

自営型:個人企業社、小規模事業者が行うテレワーク

自営型テレワークとは、個人が会社や個人から仕事や依頼をもらい、仕事をすることです。

自営型テレワークは、主に専業性が高い仕事を行います。例えば、ウェブライターやプログラマーのような仕事が知られています。

 

テレワーク(リモートワーク)の導入が進む背景

場所に縛られない働き方であるリモートワークですが、なぜさまざまな企業で導入が進んでいるのでしょうか。

リモートワーク導入が進む背景には、少子高齢化の進行や女性の社会進出があるといわれています。

少子高齢化の進行、共働き家庭の増加によって、仕事をしながら子育てや介護を両立させる必要がある人が増えてきています。

また、家族あるいは自分自身の時間を充実させたいというニーズが高まったので、「ワークライフバランス」を実現させる動きとして、リモートワークが注目されています。

働く人それぞれのニーズに合った多様な働き方が認められるようになった結果、「リモートワーク」という勤務形態が徐々に拡大しつつあるのです。

 

テレワーク・リモートワーク・SOHOの違い

「リモートワーク」に近い意味で用いられる言葉に「テレワーク」や「SOHO」などがあります。

「リモートワーク」という言葉は、「遠隔」という意味の「リモート(Remote)」を冠した新しい言葉です。

テレワークの「テレ(tele)」は、英語の接頭辞で「遠く」という意味で使われています。総務省などの省庁をはじめとする公的機関では「テレワーク」という言葉が使われています

つまり、リモートワークもテレワークも「場所や時間にとらわれずに働く」という意味では変わらず、言葉が新しいか古いかの違いです。

一方、「SOHO」は「スモール・オフィス/ホームオフィス(SmallOffice/HomeOffice)」の略称。小さいオフィスや自宅で情報通信機器を使って仕事をすることを指します。

自宅で作業するという点は変わりませんが、SOHOには自宅兼事務所を構えた個人事業やフリーランスも含まれます。

在籍しているオフィスから離れて作業するリモートワークとSOHOは微妙に違っているので注意してください。

「リモートワーク」「テレワーク」「SOHO」の意味
  • リモートワーク:在籍している会社には出社せずに自宅やカフェ、レンタルスペースなどで勤務する働き方
  • テレワーク:自宅を就業場所とする「在宅勤務」、施設に依存せずにいつでも、どこでも仕事が可能な状態である「モバイルワーク」、レンタルスペースなどを就業場所とする「施設利用型勤務」など
  • SOHO:スモール・オフィス/ホームオフィス(SmallOffice/HomeOffice)の略。自宅兼事務所を構えた個人事業やフリーランスなどの働き方

参考:総務省テレワークの意義・効果
 

テレワーク(リモートワーク)を導入するメリット

リモートワークの種類を説明してきました。一言にリモートワークといっても多様な働き方があります。

次は、リモートワークを導入する5つのメリットを確認していきましょう。

1.通勤をする必要がない

リモートワークは自宅やカフェなどで作業を行なうため、オフィスへの通勤時間がかからないことが最大の利点です。

通勤時の満員電車や天候による通勤トラブルなどから開放され、日々のストレスを軽減することができます。

東京圏では、平均の通勤時間は片道約1時間といわれているが、この時間は週休を2日として総計すると「1ヵ月あたり約40時間」にもなります。

本来通勤に費やすはずだった時間を有効活用できるというのは、リモートワークの大きなメリットであるといえます。

 

2.生産性が向上する 

リモートワークの2つ目のメリットは、生産性の向上です。

自分の好きな環境で集中して作業に取り組むことができることや、通勤時間時間の短縮により、家族と過ごす時間や自己啓発の時間が増えるなど、ライフワークバランスの向上にも繋がります。

日本マイクロソフト社の「テレワーク週間2015」の実施結果のアンケートによると、実施期間にテレワークを導入した企業のうち半分以上が時間削減効果を実感し、約6割の企業が生産性の向上を実感していました。

「会社に出社していないからサボられてしまうのではないか……」と心配する経営者は多いですが、逆に生産性が向上する可能性があることも覚えておきましょう。

 

3.経費が削減できる 

リモートワークの3つ目のメリットは、経費削減です。

総務省の試算によると、テレワークの導入に伴うオフィス勤務人員の減少・オフィススペースの工夫による照明の削減、空調使用時間の削減により、オフィス自体の電力消費量は40%以上削減が期待できます。

また、「平成22年度次世代のテレワーク環境に関する調査研究」のモデル検証結果によると、テレワークを導入することによって1日に一人当たり約62枚の紙が削減できるといわれています。

電気や紙、水道代などの諸経費が削減できることもリモートワークの利点であるといえるでしょう。

 

4.天候や体調の影響を受けない

台風や大雪の日には鉄道やバスなど交通機関のダイヤが乱れてしまうことが多いですよね。

自宅で作業ができるリモートワークは天候に左右されずに業務に集中できます

また、体調が悪化した際には早期の対処がしやすくなるだけでなく、インフルエンザなどの感染症が流行しやすい時期には、感染症の拡大を防げることもメリットのひとつです。

 

5.柔軟性のある就業が可能

リモートワークをすることで通勤時間がなくなるため、余剰時間を家事や子育てにあてるなど、仕事とプライベートの両立がしやすくなります。

リモートワークによって育児や介護といった理由で、仕事を手放さずに済むというのは労働者にとって大きなメリットです。

産休や育休についても、リモートワークの整備がある場合、業務への早期復帰を後押しすることができるでしょう。

 

テレワーク(リモートワーク)を導入するデメリット

リモートワークをすることには、多くのメリットがあるとわかりました。

しかし、デメリットも存在することを忘れてはいけません。次に、テレワークを導入するデメリットを確認しておきましょう。

1.コミュニケーションが減る

テレワークをするデメリットは、直接顔を合わせるコミュニケーションが減ることです。

インターネット環境があれば、インターネット上でチャットやオンラインミーティングは可能です。しかし、日頃の軽い雑談や、ランチに行く機会などは減ってしまいます。

内容によっては直接会話したほうが早いものもあれば、雑談やランチのトークから何らかのアイデアが生まれることもあるでしょう。

リモートワークをする場合は、チャットやメッセージツールなどを用いてコミュニケーションを補填することを心がけなくてはなりません

また、リモートワークでは業務報告や担当者・同僚などとの密なコミュニケーションが求められます。

進捗報告のタイミングを決めるといった、コミュニケーションを欠かさない工夫をすることで、管理する側もリモートワークの業務状況を把握しやすくなります。

 

2.緊急時に対応しにくい

常に連絡がとれる状態ならば問題はありませんが、「緊急事態が発生した際に素早く対応できない」というのはリモートワークが及ぼすデメリットです。

万が一、座席にいないようなことがあった場合のタイムラグは対応の痛手になってしまうため、離席する際は必ず報告するなど注意が必要です。

 

主な企業によるテレワーク(リモートワーク)の導入事例

作業効率や時間の確保という面ではメリットがあるテレワークですが、緊急時やコミュニケーションについては問題があることがわかりました。

では、一体どのような企業が実際にテレワークを導入しているのでしょうか。

 

導入事例1.「e-ワーク制度」として先駆けて導入する日本IBM

「e-ワーク制度」という名称でリモートワークを導入している日本IBMは、1999年に育児をする女性社員の要望でこの制度を開始しました。

日本IBMはリモートワークの先駆けともいえる存在です。日本IBNは、2009年には週2日まで認めていた在宅勤務を週4日までに拡大しました。

高度のセキュリティ保護により、どこからでも社内ネットワークにアクセスできることや、在席確認も行える独自のSNSを使うことで積極的にリモートワークを推進しています。

東日本大震災の発生時には、この在宅勤務の活用によって業務をストップせず、顧客企業の復旧対策に迅速に対応することができたといわれています。

 

導入事例2.集中しやすい環境づくりがなされた日産

日産自動車では、2014年に全社員を対象にリモートワークの制度を導入しています。

業務中は音声テレビ会議システムをフルに活用し、パソコン画面に社員の顔を映すことでリモートワークでも業務に集中しやすい環境づくりがされています。

主に育児・介護の支援を目的に導入されたもので、通常時は月5日・1日8時間までとされています。

しかし、育児・介護の事由によるものならば総労働時間の半分までこの制度を利用できる事になっています。

育児や介護をしながらでも働くことができるという、リモートワークの利点を活かしている事例です。

 

導入事例3.テレワークの推進を積極的に進める日本マイクロソフト

日本マイクロソフトは、2016年に就業規則を変更し、従来の在宅勤務制度を「テレワーク制度」へと変更しました。

それまでの在宅勤務制度は、勤務場所は自宅のみで週3日まで、3ヶ月以上連続での利用が前提、さらに2週間前までの申請が必要という制限がありました。

しかし、進化した「テレワーク制度」では、場所を選ばずに仕事ができるという利点を活かし、日本マイクロソフトは勤務場所の制限を撤廃しました。

実家などでの勤務が可能になることで、介護へのニーズに対応することができるようになり、優秀な人材を引き止められる様に。

また、申請方法も「前日まで上長にメールで申請」に変更し、週3日や1日単位という利用制限も撤廃したようです。

テレワークの専用サイトを開設し、「MicrosoftBusiness」や「Office365」のような自社製品を活かして、テレワークそのものの普及を積極的に推進しています。

 

導入事例4.全従業員対象・上限日数もなくしたリクルートホールディングス

リクルートホールディングスでは、2016年から本格的にリモートワークを導入しました。

上限日数がないだけでなく、派遣社員なども含めた全ての従業員を対象にしたことが特徴です。

また、実証実験中は週の大半をリモートワークで行うというルールを設けるなど、導入に積極的な動きを見せていました。

 

導入事例5.熊本県教育委員会 

熊本県教育委員会では、熊本県全域の公立学校で活用できるテレビ会議システムとしてテレワークを採用しました。

移動時間や教職員、児童生徒の負荷を減らし、効果的な学習機会を増やすことで、学校間や地域との連携を強化しています。

このように、企業だけでなく、教育の分野でもテレワークが採用されています。

 

今後、テレワーク(リモートワーク)は広がっていく

このように、多くの企業や教育の分野でリモートワークは広がっています。

新型コロナウイルスの影響で、テレワークを開始した企業もあるのではないでしょうか。

最後に、これからのリモートワークはどのようになっていくのか考えていきましょう。

日本での認知度はまだ低いが増加傾向にはある

総務省の「通信利用動向調査」(平成27年)によると、日本国内におけるテレワークの導入率は16.2%とまだ低いですが、その前年の導入率は11.5%、さらにその前は9.3%と、導入する企業は徐々に増加しています。

テレワーク導入企業に対して行った調査では、8割以上の企業が「非常に効果があった」、あるいは「ある程度効果があった」と回答しており、リモートワークの有効性がうかがえます。

効果があると回答する理由として挙げられるのは、ワークライフバランスの実現はもちろん、オフィスの維持にかかるコストの削減や環境負荷の軽減、生産性の向上、雇用の創出です。

リモートワークは、コストや環境の面から企業にとってもメリットが大きいのです。

一般企業の他にも、横浜市や千葉市などの、公的機関でもリモートワークを検討する動きがあります。

導入の容易さや魅力が浸透していけば、導入企業は今後さらに増加していくでしょう。

 

技術やツールの進歩は「テレワークの進歩」でもある

リモートワークは、インターネットの普及によって徐々に導入されつつあります。

近年では、「GoogleDrive」や「OneDrive」のようにネットワーク上でのデータ管理が容易になりました。

また、「Trello」や「Todoist」といったタスク管理ツール、「Slack」や「ChatWork」「Zoom」などのコミュニケーションツールなど、さまざまなサービス・ツールの普及によって仕事の効率化が進んでいます。

こうした業務環境の進歩により、オフィスに出社していなくても仕事ができる環境の整備が日々進んでいます。

今後もさらに技術が進歩していくことで、「コミュニケーションが減る」「情報が共有しにくい」といったリモートワークの持つデメリットや懸念点は解消されていくでしょう。

リモートワークは子育てや育児との両立だけでなく、通勤のストレスから解放され、自分の時間を作ることもできます。

新しい働き方として導入する企業が増えつつある今、転職条件のひとつとして検討してみるのもいいでしょう。

 

テレワーク(リモートワーク)ができる体制を整えよう

本記事のまとめ
  • リモートワークは、ワークライフバランスの実現、コスト削減などのメリットがある
  • 数々の有名企業で導入されており、今後も拡大されると予想される

インターネット環境が整ったことや、数々の技術やツールが開発されたことで、リモートワークの導入は広がっています。

リモートワークを導入すると、通勤時間やストレスの削減、経費を削減、ワークライフバランスの実現や、子育てや介護をしている人でも働きやすくなるメリットがあります。

仕事も私生活も充実させるために、新しいワークスタイルにチャレンジしてみてはいかがでしょうか。

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