HOMEビジネス 新卒・転職者必見! 意外と知らない「住宅手当」の相場や受給条件について

新卒・転職者必見! 意外と知らない「住宅手当」の相場や受給条件について

U-NOTE編集部

2018/08/28(最終更新日:2021/03/09)


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入社する企業を選ぶ際、「住宅手当」の有無を検討要素に入れる人は多いのではないでしょうか。住宅手当は福利厚生のひとつとして重要視していても、平均支給額や受給条件は案外知らないものです。

本記事では、新卒入社・転職で引っ越しや実家を出る前にチェックしたい、住宅手当の詳細について紹介します。

 

本記事の内容をざっくり説明
  • 住宅手当は福利厚生の一部で、会社に支払の義務はない
  • 会社によって支給条件や金額を決めるルールが異なり、会社から住居の距離などが考慮される
  • 住宅手当は課税対象となる

 

そもそも「住宅手当」とは

求人票や求人サイトなどでよく目にする「住宅手当」。住宅手当の有無や金額を、入社する企業を決める検討材料としている方も多いのではないでしょうか。

まずは、住宅手当とはそもそも何なのか、どのようなケースで支給されるのかなどを解説します。

「住宅手当」とは
  • 会社が従業員の住宅にかかる費用を補助する福利厚生の一種
  • 会社が指定する条件内の物件に住む従業員に対しての補助
  • 受給形態では、会社が従業員の家賃や住宅ローンの返済の一部を補助する

 

会社が従業員の住宅費用を補助してくれる福利厚生

住宅手当とは、企業が従業員の住宅にかかる費用を補助する福利厚生の一種です。あくまで福利厚生の一部のため、企業側に支払いの義務はなく、住宅手当そのものがない企業もあります。

気になる支給金額ですが、制度による統一基準はなく、支給金額は企業によって異なります。また、同一企業内においても雇用形態や勤務地、一人暮らしか否かなどによって支給額に差が出ることがあるため、勤務先の規定を確認しておきましょう。

 

住宅手当をもらうには手続き・申請は必要なの?

住宅手当はほとんどの場合、規定の金額が給与に上乗せされて支給されます。

会社が従業員の家賃の一部を負担してくれるケース以外にも、物件の住宅ローンの返済を補助してくれるケースなどもあります。

手続きは会社によってばらつきはありますが、入社時もしくは入社前に住宅手当の対象となるかのやりとりを総務担当と行うことが一般的です。

必要に応じて手続きを進めましょう。

 

住宅手当がないのはありえるの?

先述の通り、住宅手当はあくまで福利厚生であり、企業に支払の義務はありません。そのため、住宅手当の制度そのものがない会社もあります。

住宅手当の制度自体はあっても、会社が指定する条件内の物件に住む従業員に対しての補助であるため、実家暮らしの場合は支給条件から外れることが多いです。

また、会社によっては「会社の最寄り駅から○駅以内」や「会社から直線距離で○km以内」といった条件を設けている場合もあるので、支給の条件は必ず確認するようにしましょう

 

住宅手当と家賃補助は何が違うの? 

住宅手当と家賃補助はほぼ同義と考えてよいです。

ただ、税制面で家賃補助が優遇される場合があります。それは、企業の借り上げ住宅に居住しており、本来の賃貸料から住宅手当を差し引いた金額が、給与から天引きされるパターンの場合です。

所得額だけを見ると下がっているため、その分の所得税の課税額が減額されます。

 

支給額はどれくらい? 住宅手当の相場・平均値

住宅手当の仕組みについて理解したところで、気になるのはその金額ではないでしょうか。いったい、住宅手当の相場額はどのくらいなのでしょうか。

業種や職種ごとの住宅手当についても合わせて紹介します。

住宅手当の平均値とポイント
  • 一人あたりの住宅手当の平均支給額は月1万円〜2万円前後
  • 業種や職種によって支給額は異なる
  • 地域・住んでいる場所によって支給額は異なる

 

住宅手当は「月10,000~20,000円前後」が相場

住宅手当の支給スタイルはさまざまですが、家賃全額が支給されるケースは少なく、家賃の一部を負担するといった場合が多いです。

厚生労働省の「平成27年就労条件総合調査」によると、一人あたりの住宅手当の平均支給額は17,000円。つまり住宅手当の支給額は「月1万円〜2万円程度」が平均だといえます。もちろん勤務先の規定によって支給額は異なるため、平均値はあくまで参考ですが、住宅手当が支給されない企業も多いため、転職を検討する際は志望企業に住宅手当の有無を確認するといいでしょう。

 

住宅手当の支給額は「業種・職種」によって異なる

住宅手当の支給額は住まいや居住人数によって異なりますが、業種や職種、役職などで支給額に差をつけている企業もあります。そういった会社では、上の役職についている人ほど住宅手当を多く支給することが多いようです。

住宅手当が同じ条件の社員は同額なのか、それとも役職によって異なってくるのか、会社の規定を確認し、自分がいくら受け取れるのかを調べておきましょう。

また、住宅手当の支給額は業界によっても多少の差があります。転職を検討している人は、給料だけではなく、業界・会社によって差が出る住宅手当についても確認することをおすすめします。

 

業種・職種による住宅手当の平均支給額

住宅手当は会社の福利厚生のため、支給額は会社によって変動します。一般的には、利益率の高い事業を営む企業ほど、住宅手当の支給額は高額になります。

<例:業種・職種による住宅手当の平均支給額>

情報通信業:25,315円
電気・ガス・水道などのインフラ業:10,466円

参照:平成27年度就労条件総合調査
 

情報通信業は利益率が高いことに加え、魅力的な人材を獲得するために平均よりも高い住宅手当を支給していると考えられます。

 

住宅手当は地方と都内でも変動する 

東京や関西などの地域・住んでいる場所によって支給額が異なる場合もあります。東京と地方では家賃相場の差が倍以上開くこともあるため、都心部は地方に比べて住宅手当が高めに設定されることが多いようです。

最近では「会社から◯km以内」「会社まで◯駅」といったように、職場の近くに住むことを条件に住宅手当を支給している会社もあります。こうした制度を設けている会社で働く場合は、住民票や賃貸契約書の提出を求められることも多く、事前に支給の条件をしっかりを確認するのがおすすめです。

 

住宅手当がもらえる条件は?

住宅手当の制度が存在するのであれば、どうせならば住宅手当をもらいたいですよね。

住宅手当がもらえる条件は企業によって異なるとお伝えしましたが、どのような基準で決められているのでしょうか。住宅手当が出るか出ないかを決める要素をご紹介します。

 

会社から住居までの距離

住宅手当がもらえる条件のひとつ目は、会社から住居までの距離です。「会社から自宅まで○km以内」「会社から自宅の最寄りまで○駅以内」といった、「会社から住居までの距離」で住宅手当が支給されるかどうかが決まります。

入社に合わせて引っ越しを検討している場合、住宅手当の範囲内になるよう新居探しをするとよいでしょう。

 

世帯主かどうか

住宅手当がもらえる条件に「世帯主である」ことが設定されてるケースもあります。2名以上で居住している場合、支給対象となる人が世帯主であれば支給され、逆に、世帯主でない場合は支給されないことも。

世帯主は年齢や所得に関係なく申請できるので、恋人や家族と同居している場合は、住宅手当の支給額が高い人を世帯主にすることがおすすめです。

世帯主であることを確認するための書類は、「住民票」と「賃貸契約書」の大きく2つが存在します。住民票は1つの住所に対して何名でも登録できるのに対し、賃貸契約書の場合は1名しか設定ができません。住宅手当を申請するにあたり、どのような書類が求められるかも合わせて確認しましょう。

 

賃貸住宅か持ち家か

一般的に住宅手当は持ち家の方が住宅手当の金額が低く、賃貸住宅の方が高額を支給されます。この場合、賃貸から持ち家に切り替えることで、住宅手当が減額されるケースも。

一方で、賃貸住宅か持ち家かに関わらず一定の金額を支給する企業もあります。

 

その他会社が定める条件がある場合

その他、勤務年数によって変動するなど、会社が定める条件がある場合もあります。

「もらえると思っていたのに支給対象ではなかった!」などといったトラブルを避けるためにも、入社前にしっかりとチェックすることをおすすめします。

 

ケース別にチェック!住宅手当のルール

住宅手当の支給条件を決める要素を紹介しましたが、現実には様々なケースが存在します。一人暮らしや結婚、同棲など、それぞれの環境・状況によって住宅手当の支給ルールは異なるため、ここでは、各ケースにおける住宅手当のルールを解説します。

 

住宅手当のルール1.一人暮らし×賃貸の場合

社会人になり、賃貸住宅で一人暮らしをしているという方も多いのではないでしょうか。

一人暮らしであれば住宅手当はもらえるものだと思いがちですが、近年は住宅手当を支給しない会社が増加傾向にあるようです。また、支給を行っていても「転勤した人のみに支給する」といった条件を設けている会社も。

また、就職時に会社に申請した賃貸物件から「自己都合による引っ越し」で住居を変えた場合、今まで受けられていた住宅手当が打ち切られてしまう可能性もあります。住宅を変える前に会社の規定を確認し、報告や手続きが必要な場合は漏れのないよう対応しましょう。

一人暮らし×賃貸の人の住宅手当は?
  • 企業によっては住宅手当を受け取れない場合もある
  • 支給条件と自分の就業形態があてはまるか確認が必要
  • 申請した住居を変更する場合、住宅手当の支給条件が変わる

 

住宅手当のルール2.一人暮らし×持ち家の場合

一人暮らしの場合であっても、賃貸住宅の場合と持ち家の場合とで支給額が異なるケースがあります。

東京都産業労働局から発表された「中小企業の賃金事情(平成27年度版)」によると、賃貸住宅と比較し、持ち家に対する支給額は5,000円程度少なくなっています。

賃貸住宅に住んでいたときに支給されていた住宅手当が、自分名義の持ち家を購入してからはもらえなくなってしまうことも。支給されたとしても、先述の通り、一般的には賃貸よりも持ち家の方が住宅手当額は下がるため、賃貸住宅での一人暮らしに比べ、持ち家の場合は支給額が減ることも考えられます。持ち家の場合は注意しておきましょう。

一人暮らし×持ち家の人の住宅手当は?
  • 家を持っている場合、住宅手当をもらえないケースも多い
  • 賃貸の方に比べ、住宅手当の支給額が減ることもある

 

住宅手当のルール3.同棲している場合

同棲をしている方は、「同棲者のどちらが対象になるのか」「申請に伴う書類は何が必要か」などを知っておく必要があります。

多くの場合、同棲をしていても住宅手当は支給されますが、大抵は世帯主・住宅の賃貸契約者のみに支給されるため、同棲しているどちらかが受け取ることになります。

 

同棲している片方が住宅手当の対象になるケース

住宅手当を受け取る場合、大抵の場合「住民票」と「賃貸契約書のコピー」が必要となります。住民票は同棲をしていた場合でも世帯主を2人にわけることができるため、自分と相手とで世帯をわけてそれぞれの住民票を作ることが可能です。しかし、賃貸契約書はどちらか一方の名義でしか契約できないため、もう1人は会社に賃貸契約書を提出することができないのです。

したがって、賃貸契約書が必要な会社の場合、同棲者の片方のみが住宅手当を受け取ることになります。

同棲している片方が住宅手当の対象になるケース
  • 住民票と賃貸契約のコピーを提出する
  • 世帯主・住宅の賃貸契約者のみに支給される

 

同棲している2人がそれぞれ住宅手当の対象となるケース

また、企業によっては、住宅手当の受け取りに必要な書類が住民票のみの場合があります。先述の通り、住民票は同棲していても世帯主を分けて作成することができるため、理論上は同棲している2人がそれぞれ住宅手当をもらうことが可能です。

しかし、会社に同棲を黙って住宅手当を受け取るのはリスキーなため、住宅手当の支給を受ける場合は細かい申告を心がけるべきでしょう。

同棲している2人がそれぞれ住宅手当の対象となるケース
  • 住民票のみを提出する場合

 

知らないと損?知っておきたい住宅手当の注意事項

「住宅手当を受け取れる」と聞くといいことだらけのように感じますが、主に税制面においてデメリットがあります。

社員の住む場所によって負担するべき家賃が異なったり、実家住まいの人や持ち家に住んでいる人はもらえないなど、条件によって差が出てしまうことをお伝えしましたが、その他の注意点についても解説します。

住宅手当のデメリット
  • 住宅手当の支給で税負担が増える
  • 住宅手当は廃止傾向にある

 

住宅手当は課税される!支給されると税負担が増える

住宅手当は企業から支給される「給与」として扱われるため、住民税や所得税、年金や健康保険などを算出するときの所得額に含まれます。そのため、諸々の税金が増加してしまうことになるのです。

例えば、賃貸で住宅手当が支給されていたが、持ち家を購入したために住宅手当が減額された場合などは、翌年の税金の支払いが苦しくなることも。その時になって慌てることがないよう、しっかりと把握をしておきましょう。

 

住宅手当は廃止傾向にある

住宅手当は、社員を助ける福利厚生の一つとして多くの企業に取り入れられてきましたが、近年、住宅手当や家賃補助を導入している企業は減少傾向にあります。とりわけベンチャー企業や設立間もない会社は、住宅手当や家賃補助などを支給しないことが多いようです。

その場合「住宅手当」という形で支給するのではなく、その分を加味した給料を設定していたり、その他の福利厚生を充実させるといった形で補填している企業も。ライフスタイルの多様化にともない、住宅手当以外の福利厚生が増えているのです。

住宅手当の有無だけで判断するのではなく、最終的に受け取れる金額を考慮しましょう。

 

入社前に住民手当を含む福利厚生を確認しておこう

本記事のまとめ
  • 住宅手当は法律で定められている制度ではなく、あくまで福利厚生
  • 会社から住宅の距離や、持ち家か賃貸住宅かなどによって支給の有無や金額が変動する
  • 住宅手当は課税対象になるため、所得税や年金などの支払額に影響する

福利厚生の一種である住宅手当は、各企業やそれぞれ当人の置かれている環境によって大きく異なります。住宅手当が支給されないケースや、受け取り基準を細かく設定している会社もあり、自身の会社の規定をきちんとした確認が必要です。入社する企業を選ぶ際は住宅手当の有無に限らず、その会社の福利厚生が自分の求めているものなのかをよく考え、判断することをおすすめします。

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