個性豊かなマーベルヒーローの中でも、他の誰もやらない自虐ネタとちょっぴり過激な性描写と暴力シーンが受けて、全米ではR指定映画として史上最高の興収を弾き出した「デッドプール」(2016年)。
あれから2年。期待通りR指定が付いた続編では、超人兵士計画の被験者として不死身のボディを手に入れたデッドプールことウェイド・ウィルソンの相変わらずヒーローとは思えないヘタレな活躍が描かれる。
自分を“俺ちゃん”と呼び、時々画面に向かって(客席に向かって)突っ込みを入れつつ、それでも、未来からワープして来た最強の敵、ケーブルの魔の手からミュータントの少年ラッセルを守るため、不死身なりに命を張る。
デッドプールが集めた新ユニット「Xフォース」が異色すぎ
続編の肝は、新たなミッション遂行のためにデッドプールが結成する新ユニット「Xフォース」のメンツだ。
大まかに紹介すると、前作にも登場した原子エネルギーを体内に備える反抗期の少女ネガソニック、超能力はないが腕っぷしは強いベドラム、口から強酸を吐いて相手を焼き殺す究極のゲロ男ツァイトガイスト、新ユニットの面接試験で「何でもいいから仕事が欲しいんだよ」と言い放つ普通の中年男ピーター等々。そんな中、怒濤の活躍を見せるのが運を操る超能力を持ったアフロヘアのミュータント、ドミノではないだろうか?
運がいいことが超能力だなんて!
敵が持つ銃がたまたま弾切れだったり、高所から落下しても落下地点にたまたまエアクッションが置いてあったり、ドミノが生来恵まれた“幸運”は最強の超能力と言える。だって、どんなスーパーヒーローにも逃れられない運不運があるじゃないですか?
と言うわけで、メインキャラに準じてサイドにも見たことのない異色キャラが配された「デップー2」。
未来からやって来た新ヴィラン、ケーブルを演じるジョシュ・ブローリン、そしてネガソニックのガールフレンドで、スーパーパワーを持っていそうな謎の美少女ユキオ役に抜擢された忽那汐里(台詞は少ないけれど英語の発音は完璧!)など、魅惑の配役にも注目して欲しい。
今回も製作・脚本・主演の3役をこなすライアン・レイノルズは、急展開する物語と過激なアクションに対応しつつお馴染みの“楽屋落ちネタ”を炸裂させて、日本の観客に字幕の早読みを強いてくる。
「アナと雪の女王」のパクリ疑惑とか、自身が主演した過去の失敗作をあえて引き合いに出すとか、映画ファンの間では常識とされるタブーを破りまくるのだ。それでも、前作に比べてネタの量少し控えめだが。勿論、作品に高いレイティングが付けられた最大の原因である、暴力シーンの血みどろ加減は健在である。
ライアン・レイノルズは早くも第3弾を準備中
毒と笑いが渾然一体となって、スーパーヒーロー映画に若干食傷気味だった映画ファンに再び火を点けた異色シリーズ「デッドプール」。
それは同時に、単なる2枚目俳優で止まりかけたライアン・レイノルズを興行価値のあるスターへと変えた、彼にとっての打ち出の小槌。続編は5月18日に全米公開された際、今年公開された作品のオープニング記録としては「アベンジャーズ╱インフィニティ・ウォー」、「ブラックパンサー」に次ぐ1億2500万ドルの大ヒットとなった。
当然、レイノルズは第3弾を準備中で、もしかして、そこでデッドプールと原作ではライバル関係にあるウルヴァリンが競演するかも知れない。
「毎週ウルヴァリンを復活させるべく、ヒュー・ジャックマンに悪態をついているんだけどね」と、レイノルズはコメントしているのだが、果たして?
【作品情報】
「デッドプール2」
6月1日(金)全国ロードショー
https://www.foxmovies-jp.com/deadpool/
配給:20世紀フォックス映画
©2018 Twentieth Century Fox Film Corporation
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