台湾メーカーのASUSは、SIMフリースマホの「ZenFone 5Z」「ZenFone 5」「ZenFone 5Q」の3機種を発表した。
ZenFone 5とZenFone 5Qは5月18日に発売済み。最上位モデルのZenFone 5Zだけは時期がずれ、6月下旬に店頭に並ぶ予定だ。
ZenFone 5シリーズ3機種が発売される
ASUSがZenFone 5という名称の端末を投入するのは、これで2回目のことになる。初代ZenFoneは、ブランド名のあとに画面サイズを数字でつけていたためだ。
初代ZenFone 5は、5インチディスプレイを搭載した端末だった。日本では、SIMフリースマホがまだ珍しかった2014年に、他社に先駆け投入され、大きな話題を呼んだ。
現状、ASUSはSIMフリースマホ市場でシェア2位につけているが、ここまで販売を伸ばせたのも、参入のタイミングがよかったからだ。ZenFone 5が3万円を切る価格の割に性能が高く、コストパフォーマンスに優れていたことも、評価を高めた理由といえる。
初代ZenFone 5発表時には、台湾本社からジョニー・シー会長も駆けつけたASUSはその翌年からナンバリング方法が世代を表す数字に変え、「ZenFone 2」「ZenFone 3」「ZenFone 4」と順に発売されてきた。「5」の意味するところは異なるが、5世代目にして、原点であるZenFone 5に戻ったというわけだ。
ただし、戻ったのは名前だけだ。新ZenFone 5は、見た目も性能も、過去のZenFone 5とはまったく異なる。特徴となるのが「AI」。ZenFone 5は機械学習を駆使することで、撮影時のシーンを自動で認識したり、画面の色温度を調整したりといったことができる。AIとスマホの融合は、グーグルをはじめ、ファーウェイやアップルなど、各社が取り組んでいるが、ASUSもこの波に乗った格好だ。
被写体をAIが判別し、最適な設定に自動で切り替えるデュアルカメラ化のトレンドも取り入れており、ZenFone 5には通常のカメラと、広角カメラの2つが搭載されている。2つのカメラの視差を活かし、被写体の背景にボケを作るポートレートモードにも対応している。
ディスプレイはiPhone Xのような、上部に切り欠きがある形状。こちらもスマホでは一般的になりつつある、19:9の縦長ディスプレイを採用している。縦方向にスクロールして情報を表示するスマホ専用サイトやアプリが見やすくなっており、6.2インチというサイズの割には横幅も抑えられている。
切り欠きがある縦長のディスプレイを採用おもしろいのは、最上位モデルとなるZenFone 5Zの位置づけで、外観やカメラ機能、ディスプレイなどはすべてZenFone 5と共通している。
違いがあるのはCPUのみ。ZenFone 5はミドルレンジ上位向けのSnapdragon 636が搭載されているのに対し、ZenFone 5Zはプレミアムモデル向けのSnapdragon 845となる。純粋に、パフォーマンスの違いだけで選べばいいというわけだ。
同時に発表されたZenFone 5Qは、「ZenFone 5 Lite」と名づけられている国があることからも分かるとおり、ZenFone 5の廉価版という位置づけになる。端末名称の最後につく「Q」は4つを意味する「Quad」から取られており、その名のとおり、前後に2つずつ、計4つのカメラが搭載されているのが特徴だ。
インカメラもデュアルなZenFone 5Qどちらのカメラも通常とワイドを切り替えることができ、ZenFone 5や5Zではできなかった、グループでのセルフィを撮れるのがZenFone 5Qのメリットだ。
廉価版のため、価格も他の2機種より安く、3万9800円と、割引のほとんどつかないMVNOのユーザーにも買いやすい。SIMフリースマホの売れ筋は3万円前後だが、性能を考えると、許容範囲といえそうだ。
ちなみに、ZenFone 5は5万2800円、ZenFone 5Zも6万9800円と、フラッグシップモデルにしては“攻めた”価格設定になっている。見た目や性能は初代とは別物だが、コストパフォーマンスのよさに関してはまさに原点回帰だ。
SIMフリースマホ市場ではファーウェイにシェアで押されているASUSだが、ZenFone 5シリーズの投入で、どこまで巻き返せるのかにも注目しておきたい。
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