NTTドコモ、KDDI、ソフトバンクの3社は、5月から「+メッセージ」を開始する。3社共同で仕様をすり合わせており、国際標準規格のRCS(リッチ・コミュニケーション・サービス)に準拠しているのが特徴だ。
この+メッセージは、“SMSの進化版”と位置づけられている。LINEなどのサードパーティ製アプリとは異なり、キャリアのコアネットワーク内部にあるIMS(IP Multimedia Subsystem)を利用しているため、友だちになっていなくても、SMSと同様、電話番号のみで相手に送信することが可能だ。そのため、サーバーに電話帳をアップロードするといった必要がなくなる。
通信大手3社が同時にスタートさせる「+メッセージ」
電話番号だけで送受信できる。電話帳を見ると、相手が+メッセージを利用しているかどうかもアイコンで分かる文字だけだったSMSとは異なり、画像や動画などのデータファイルも扱えるようになる。スタンプにも対応。
サービス開始当初は、500点のスタンプがダウンロードできるようになっており、「順次提供していく」(NTTドコモ スマートライフビジネス本部スマートライフ推進部 コミュニケーションサービス担当部長 藤間良樹氏)と数も増やしていく方針だ。
ユーザーインターフェイスはLINEなどのメッセンジャーアプリに近く、時系列に沿って、相手とのやり取りが左右に並ぶスタイルだ。
グループでのメッセージもでき、メッセンジャーアプリとほぼ同等の使い勝手を実現している。
電話番号でやり取りできるため、これまでLINEで連絡するのを躊躇していた仕事関係の相手とチャットするためのツールになりそうだ。SMSと違い、1通ごとの通信料もかからない。データ定額の範囲内で送受信できるため、コストも抑えられる。
夏モデル以降の端末には、3社とも、+メッセージをプリインストールする。過去の端末も、アプリのダウンロードやアップデートで利用可能になる。ドコモは、アプリを新たにダウンロードする必要があるが、auは「SMS」アプリを、ソフトバンクは「S!メール」アプリを置き換える格好になる。
新モデルにはプリインストールされるほか、既存端末もアップデートなどで対応するSMSの発展系として導入するサービスで、端末にも標準搭載されるだけに、普及は速そうだ。ただし、iPhoneは3社共通で、アプリをApp Storeからダウンロードしなければならない。
NTTドコモの場合、Android端末でもアプリのダウンロードが必要になるため、ほか2社と比べてややハードルが上る。サービス開始後は、いかにプロモーションしていくかが、重要になりそうだ。
過去、キャリアのコミュニケーションサービスを見ると、電話やメール、絵文字のように成功した例もある一方で、NTTドコモの「プッシュトーク」や、auの「Hello Messenger」のように、鳴かず飛ばずで終わってしまった例もある。後者の失敗例は、キャリアの囲い込み色が強く、同一キャリア同士でしか使えなかったのが大きな敗因だ。
+メッセージはこうした反省を踏まえ、サービス開始当初から、3キャリアで歩調を合わせたという。LINEが強いユーザー基盤を持つ日本では、利用者が一気に増えることは考えにくいが、電話番号だけでやり取りできる気軽さは武器になる。当初は、SMSの置き換えというところから普及してくことになりそうだ。
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