散歩が楽しい季節になってきた。
イヤホンをつけて、スニーカーでとことこ歩くと、それだけで体にいいことをしている気分になる。ただアホみたいな顔して数百メートル歩いているだけなのに、「体に良さそう」と思ってしまうから、日頃どれだけ筋肉を使わず眠らせているかというところだ。
カレーを食べてちょろっと汗が出ただけで「気持ちいい!」と清々しい気分になり、堅めのポテチを噛んだだけで「顎が喜んでる!」と思う。フルマラソンでもチャレンジしようものなら、途中で愛する人の名を叫んで死ぬ気がする。
こんな私でも、この気候は外に向かわせるからすごい。JUDY AND MARYの『散歩道』を聴きながら、行きたい場所はやっぱり「高円寺」。
ここでは毎度、偏愛する高円寺について書いています。
飲兵衛に優しい街ですが、昼歩きだっておすすめ。つい寄りたくなる店がたくさんあるので、紹介させてください。
甘味 あづま
1969年開業。 駅北口から中通りを歩いて3分のところ。
「あづま」といえば、まずこの店前のショーケース。
三色アイスクリーム、チェリーやオレンジなどのフルーツ、メロンソーダ、コーラ、おしるこにいそべ巻。この豊かな色たちを見てほしい。
注文すべきは「餅入ソバ」です。
つゆはあっさりした王道の中華そば。ネギ、なると、メンマ、海苔、チャーシュー、ゆでたまご、そこに焼いた餅がのっている。
たまごを半熟とろっとしてみせたり、チャーシューをぷるっとしてみせたり、ラーメンって色々やってみたくなるはずなのだけど。あづまはそのどれもやらない。
それでいて、こちらの店主の仕事はいつも丁寧だ。麺はきちっと半分に折りたたみ、細麺の線が波状に綺麗に揃えられているのがスープ越しに分かる。このさじ加減が、映画に出て来そうなルックスの中華そばを作っているのだと思う。
ここは甘味処。こだわりの餅はやわらかい。伸びないうちに麺をずるずるっと食べたあと、餅はゆっくりとスープに浸して食べます。
最近は、都内で古民家を改装したカフェやレストランを見ることが増えた。どれもレトロでお洒落で、趣がある。
でも、あづまの雰囲気はそれとはまた違う。この場所で何十年と甘味処としてやってきた貫禄を感じる。
それも決して狙っているわけではなくて、ただ素直な時の流れを感じさせるものであるからもう好き。
「甘味 あづま」
電話:03-3339-0583
住所:杉並区高円寺北3-2-14
豊島屋
駅北口から庚申通り商店街を歩き、徒歩7分。
「豊島屋」は、食べ歩きにおすすめの焼き鳥屋さん。こちらは精肉店でもあり、店の半分では鶏肉が売られています。
串のほとんどが一本100円という安さはうれしい。なにより奥さんの対応がいつでも気持ちいいので、1、2本からでも気軽に買えてしまう。
ナンコツやつくね、いかだ、トマトがお気に入り(ちなみに、ここの唐揚げは衣がしっとりタイプ。味は濃いめなのでご飯のお供向き)。
すぐに食べることを伝えるとその場で温めててくれるので、この焼き鳥を手に持って商店街を歩きます。
そのまま純情商店街へ抜け、入り口のコンビニで缶ビールを買い、北口のロータリーで休むまでが1コース。いや、庚申通り商店街を歩いて、北公園に入るのもいいかもしれない。どちらもちょうどJPOP一曲分くらい。
昼と夕方にはずらりと焼き鳥が並ぶのに、日が暮れる頃にはほとんどなくなっているから、いったいこの街の人はどれだけ焼き鳥を消費するのかと不思議だ。
と言いつつ、自分も天気が良い日に庚申通り商店街を歩いてしまったら、豊島屋は素通りできない。
「豊島屋」
電話:03-3336-3272
住所:東京都杉並区高円寺北2丁目41-12
一本堂
食パンがすごい。
「一本堂」は、西荻窪、野方、三鷹など、周辺でもいくつか店舗がある食パン専門店。高円寺店は駅北口から徒歩5分、こちらも庚申通り商店街のなかにある。
初めてこの焼きたての食パンを買ったときは、まず手に持って驚いた。
水分量の違いなのか、通常の食パンの倍くらいの重さがある。ちょっと触るだけで手の跡がついてしまうほどにやわらかい。
プレーン、250えん。食べるとずっしりもっちりむちっとしていて甘く、耳はやわらかいのもあれば、種類によって少しサクッとしているものもある。
数時間でまた少し食感が変わってしまう代物なので、これは手土産ではなくて、自分へのご褒美として食べてほしい。
一斤を好きな枚数にカットしてくれるのですが、完全な焼きたてだとやわらかすぎるためカットはNG。焼けて少し馴染んだものを買うといいかも。 お目当ての焼きあがりに合わせて買いに行くもよし、パッと行ってそのときにちょうどいい食パンを買うもよし。
世の中に一本堂の食パンがもっと浸透していたら、「好きなものは食パンです」という人が4人に1人くらい居てもおかしくないと思う。なんとなく食パンであることがもったいないとすら思ってしまう食パン。
「一本堂 高円寺杉並店」
電話:03-5356-6356
住所:東京都杉並区高円寺北3丁目35-24
昼の高円寺には、素晴らしいお店がまだまだまだまだたくさんあります。
フワッフワの焼きたてカステラや、サクッサクのとり天が食べれる定食屋、肉汁に溺れる焼き小籠包、もちもちの大阪風イカ焼き、カリッとした生地のクレープ、スフレのようなオムライス、スプーンで切れるお肉が入ったスープカレー、注文してから揚げてくれるジャリジャリ砂糖の揚げパン……。
カレー好きは「高円寺といえばカレー!」と言うし、ラーメン好きは「高円寺といえばラーメン!」と言う。
天気がいい日にぶらりと外歩きをしたくなったら、ぜひ高円寺駅で降りてみてほしい。
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