2記事に渡ってベストセラー自伝『スティーブ・ジョブズ』の著者、ウォルター・アイザックソン氏の『スティーブ・ジョブズから学んだ教訓』を書き起こしてきた。
これまでの教訓は以下のとおりである。
過去のおさらい
- 細部の美しさまでこだわる
- 徹底的にシンプルにする
- 物事がうまく運んでいても、現状に満足しない
- あきらめずに、情熱を注ぐ
- 利益よりも製品の質が優先
- フォーカスグループの言いなりになってはならない
今回、「理想の上司」であるとともに「厳しい上司」として名高いジョブズ氏の「部下に厳しくした理由」に迫る。加えて、アイザックソン氏は「よいリーダーが持つべき視点」や「他社に負けたときのジョブズ氏の反応」を解説した。
なお、インタビュー映像は革新的なビジネスアイディアを世界に発信する、WOBI社によるものである。
「Aプレイヤー以外は許すな」
アイザックソン氏:スティーブ・ジョブズはとても厳しい上司でした。あるとき彼に「なぜ、一緒に働いてくれている人にそこまで厳しくしなければならないのですか?」と尋ねました。
「厳しくしなければ、人々はA+ランクではなく、B+ランクの仕事でとどまるようになる。しばらくすると、B+ランクのプレイヤーはCランクプレイヤーを雇うようになるぞ。人に優しくするのは簡単。しかし、それは自己中心的な行動に近い。なぜなら人に優しくするというのは、好んで欲しさからすることだから。僕は厳しくしなければならない。“無能の連鎖”を防がねばならないから」とスティーブは言いました。
つまり、A+プレイヤーを求める人間を増やすことを彼は示しています。
「A+プレイヤー以外は許すな」と彼は断言しました。
スティーブは、Apple社で働いている従業員のことを話していたのだと思います。A+プレイヤーでないと、惰性で働いてしまいますからね。
「全体像と細部を知ること」
アイザックソン氏:いい経営者は“神も悪魔も細部に宿る”ことを知っています。スティーブ・ジョブズはネジの美しさまでにさえ、こだわりました。
「PCケースの外側にネジが視認できるとき、どうやって美しくしよう?」や「細部のディテールをどうよくしよう?」などと彼は考えていました。
それだけではなく、彼は先見の明を持って全体像をとらえることができました。例えば、「Apple社のコンピューターやモバイルアイテムはこの先どうなるのか」。iPodやiPhoneをつなげる中枢を担うのはコンピューターになるのか、とね。
よいリーダーは、全体像を見ると同時に“神は細部に宿る”ことを心得ているのです。
「遅れをとっていたら、飛び超える」
アイザックソン氏:他社の音楽プレイヤーやスマートフォンの到来によって、時にApple製品が負けることもあるかもしれません。
しかしスティーブ・ジョブズの頭は競争相手に追いつくことではなく、常に先のことにあって「どう跳び越えよう。競争相手と追いかけっこするのではなく、どうやって次の局面へ進もうか」と考えていました。
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