格安スマホ市場で、今、圧倒的な存在感を示しているのが、大手キャリアの「サブブランド」だ。調査にもよるが、ワイモバイルだけで、いわゆる格安スマホ市場で4割程度のシェアを取っていると見られ、他のMVNOの追随を許さない。
これを追うのが、auのサブブランドであるUQ mobile。同社は2016年から2017年にかけ、料金プラン、端末ラインナップ、販売拠点などを大幅に強化し、シェアを伸ばしている。調査会社MM総研のデータによると、9月末時点での契約者数は60.2万回線で、MVNOのシェア5位に躍り出た格好だ。ワイモバイルを含めると、6位ということになる。
ワイモバイルのシェアは格安スマホ全体の4割程度
では、なぜサブブランドにユーザーが集中するのか。1つには、大手ならではの安心感がある。ワイモバイルは、ソフトバンクが直接運営する、いわば“第4のキャリア“。
そのため、販売拠点が厚く、ワイモバイルブランドを冠するショップだけで数は1000を超えている。家電量販店などの併売店を含めると、拠点は4000を超え、他の追随を許さない。タッチポイントの点で、すでに他社とは圧倒的な差がついているというわけだ。
端末ラインナップについても、iPhoneを取り扱っているのは、他のMVNOにない強みだ。これはワイモバイルだけでなく、UQ mobileも同じ。
さらにワイモバイルはAndroid Oneを、UQ mobileも国内メーカーを中心にしたAndroidのラインナップをそろえ、買いやすさを演出している。端末によっては割引もきっちりつくため、大手キャリアと同じ感覚で契約することができるのは強みだ。
一方で、コストを最低限まで抑えているMVNOと比べると、テレビコマーシャルの数も多く、店舗の運営費用もかさみがちだ。
そのため、単純に料金プランだけを比較すると、MVNOよりは高い。大手キャリアと比べると安いため、両者の中間程度に収まっているといえるだろう。ワイモバイル、UQ mobileのどちらも、料金は2GB、1980円。MVNOの料金が、3GBで1600円程度であることを考えると、コストのぶん割高になっている。
それでも契約者数が大幅に増えているのは、1000円、2000円の料金競争よりも、「大手キャリアよりも安く」「MVNOよりも分かりやすい」ところにユーザーが魅力を感じているからにほかならない。
特に販売拠点が他を圧倒しているところは、購入のためのタッチポイントが多いだけでなく、対面サポートがそれだけ充実していることにもつながる。実際、ワイモバイルは、Android One導入に合わせ、「アンバサダープログラム」を拡充。Androidの知識が豊富な店員を、増強している。
ただし、ユーザーとして契約する際には、注意も必要となる。1980円という打ち出しにはカラクリがあるからだ。どちらのキャリアも、1年間限定で1000円引きのキャンペーンを展開しており、2年目からは2980円からに、料金は上がってしまう。2GBのデータ容量も、基本的には2年間限定。2年過ぎた時点で、機種変更するなりしてキャンペーンを延長しないと、データ容量は最低1GBからに下がる。
2年目からは、料金が1000円高くなるまた、ワイモバイル、UQ mobileともに、いわゆる2年契約が必要な点にも、注意が必要だ。MVNOで主流なのは、最低利用期間と呼ばれ期間拘束で、たとえば同期間が1年の場合、1年経過後はいつ解約しても、違約金は取られない。
これに対し、ワイモバイルやUQ mobileの2年契約は、大手キャリアと同じで、2年後に自動更新がかかる。MVNOのような、好きなときに入って、いつでも解約できる手軽さはないといえるだろう。この点で、仕組みは大手キャリアに近い。
確かに知名度は高く、安心感もあるが、ユーザー側である程度設定などができれば、他の選択肢も存在する。
サブブランドを選ぶときには、こうしたメリット、デメリットを天秤にかけておくようにしたい。
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