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【書き起こし】Twitter創業者ジャック・ドーシーQ&A「投資者を得る正しい方法」編

森澤

2017/12/05(最終更新日:2017/12/05)


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【書き起こし】Twitter創業者ジャック・ドーシーQ&A「投資者を得る正しい方法」編 1番目の画像
by Kevin Krejci

 Twitter社とSquare社の創業者であるジャック・ドーシー氏は多くの投資家、企業を魅了し成功を修めた。

 2編にわたって書き起こしたオクスフォード・ユニオンでのQ&Aだが、今回は「投資家の引きつけ方、投資者の管理方法」について問われる。

 質問者によると、スタートアップ企業で多くの投資を得た上で、主導権をいまだに企業側が握っているのは並々ならぬことで、多くの小さなスタートアップ企業はこうはいかない、とのこと。

 このQ&Aで、ドーシー氏は「投資者を魅了するために必要な前提条件」「正しい投資者を得るために必要な思考」を伝授した。

Q:いかにして投資者を魅了し彼らを管理しているのですか?

投資者を誘引する方法

僕はいつも、まず最初に一緒に働きたい人に何かしら見せられるものを持っていく。どんな投資者ともビジネストークをする前に現物――Twitterのときはサービスを利用している一定規模のユーザー、Square社のときは実際に使える試作モデル――を披露することが、僕たちにとってはとても大切だった。

Square社の時は資金調達の際に7名の商売相手がいて、僕たちは実際に使われたサンプルを見せた。現物を見ても触れてもいない、となると製品を販売するのはとても難しい。

口先だけで「これはとんでもなくビッグなことになるぞ」とは言いたくないんだ。彼らに実物を提示し、それを感じて帰ってほしいからね。

大前提として重要なのはそれだ。提示できる実物を持つこと。投資者がそれに触れて、所有者意識を持てるようにね。

正しい投資者の選択方法

第2に「投資者から投資を得るということは、解雇できない人を雇用するようなものだ」という認識を持つこと僕はこれを常に念頭に置いてアプローチすることにしている。

とどのつまり、その人と本当に仕事をしたいかどうか。その投資者は僕たちが必要とするプッシュをしてくれるような人かどうか、だ。

直ぐに見抜けるよ。

第1週目のSquareのピッチ(製品やサービスについての短いプレゼン)では、「わかりました。質問はありません。十中八九前向きな答えで条件概要書を持ち、30分ほどで戻って来ます」と多くの者が言った。対して僕は「条件概要書など必要ありません。なにも質問しない人からは特にね」と答える。

ピッチ中、彼らはまったく質問を発しなかったんだ。それは彼らが投資者になったとき、むずかしい質問で迫ったりなどせず、あまり建設的にはならないことを意味している。

我々が殻にこもらないようにと、外を見るのは投資者。取締役会の役目というのはまさにそれで、我々が企業を導けるように外から得た見識や賢智を我々に伝えることだ。

2週目のピッチでは、多くの難問が投げかけられた。僕が求めているのはそれにつきる。

ピッチにおいて難問が投げかけられるということは、取締役会においても同様であることを保証してくれるんだ。

取締役会のときだけではなく、毎週あれこれについて質問のメールが届くよ。「こういう人物を知っているのだけど、紹介してもいいだろうか?」などと、とても有益なんだ。

一緒に働けて光栄に思えるような投資者を探しているよ。

そのためにはかなり高いハードルを設けなければならない。それは単に金額や企業の話ではなく、最終的には仕事を共にする個人の話だからね。

「どういった企業へのピッチをオススメしますか?」と度々聞かれるけど、僕は「企業内で共に仕事をしたい人を見つけるんだ。君と共感する人がいて、彼と働ける未来がすばらしいものだと想像できるのであれば、そういった人々に注目しよう」と答える。

自らのチームに投資者を招いているような感覚でなければいけない。

Square社の場合、少し違ったけどね。というのも、取締役会の投資者たちや参入しようとしている人それぞれに前もって説明したんだ。

「聞いてください。この企業はあなたにとってストレスフリーな投資にはなりませんよ。商取引や支払いには高い利子がつきますし、将来的には競争率がグンと上がるでしょう。これらを含む様々な要素からストレスは避けられません。

したがって危機が訪れたときに、平静を保てることを約束してください。問題を発見し、それに素早く対応するのは簡単ですが、常にそれをやっていては我々のヴィジョンではなく、他人のための道をつくっていることになってしまいますから。

取締役会、投資者チームとして冷静であり、状況を最も知っているであろう企業内の人間を信頼することを約束していただきたいです」とね。

全員にそれを知っておいてほしかった。それが気に入らないなら投資しないでください、ってね。何人かはその説明を受けて去っていったよ。

それは僕にとって好都合だった。後からそれを対処する必要がなくなったからね。


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