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西田宗千佳のトレンドノート:ドンキの「イチキュッパノートPC」をオススメできないシンプルな理由

西田宗千佳

2017/11/28(最終更新日:2017/11/28)


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 株式会社ドン・キホーテは、「MUGA ストイックPC」と名付けたノートPCを、12月1日より、全国のドン・キホーテで発売する。

 14.1インチ・フルHDのディスプレイを採用し、重量は約1.2kg。なかなか魅力的なサイズ感だが、なによりの驚きはその価格。税別で「1万9800円」という激安である。しかも、きちんとWindowsが搭載され、互換ソフトではあるが、オフィスソフトも付属する。

 この格安PCは、買っていいのだろうか?

 先に結論からいえば、オススメしない。

 なぜオススメではないのか、今PCを買うならどのくらいのスペックなら「後悔しない」のかを、改めてこの機会に説明しておきたい。

低価格PCに潜む「アップデートトラブル」の罠

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 「MUGA ストイックPC」を筆者がオススメしない理由はシンプルだ。スペックが足りないからである。

 スペックが足りない、というと、多くの人はCPU性能を思い浮かべるだろう。だが、筆者が指摘したいのはそこではない。

 MUGA ストイックPCはCPUにインテルのAtom x5-Z8350(クロック周波数・最大 1.92GHz)を採用している。これはタブレットなどに使われることの多いもので、けして高速ではない。

 だが、実際に使う上で、これでも「遅くてどうしようもない」わけではない。遅い、という覚悟さえできていれば、まあ、ウェブを見たりYouTubeを見たり、シンプルな文書を作ったりすることは十分できる。

 問題はそこではない。具体的には「ストレージ容量」が問題になる。この製品は32GBしかストレージを搭載していない。これは、PCとしてはギリギリの値である。おそらく日常的に、色々不都合が出るだろう。

 問題なのは「OSのアップデートで苦労する」のが目に見えている、ということだ。

 現在、Windowsは常にアップデートが行われている。セキュリティ対策を目的とした日々のアップデートはもちろんだが、機能追加を伴った大規模アップデートも、年に2回行われるようになっている。10月にも、「Fall Creators Update」と題した大規模アップデートがあったところだ。

 こうしたアップデートには、数GBの容量が必要になることが多い。ダウンロードされるファイルの容量は2〜3GB程度のことが多いが、アップデート作業にはその数倍の空き容量が必要になる場合が多いため、アップデート時には10GB程度、ストレージに空きが必要になる。

 「容量不足でOSのアップデートに失敗した」というメッセージに対処できる人は、どのくらいいるだろうか? こうした製品では、USBメモリーやmicro SDカードなどを使ってストレージ容量を増やせる。

 だが、追加したストレージにアプリやデータを移行する作業が必要で、それなりの知識を必要とする。そもそも、常にストレージの空き容量を気にかけるのは大変なことだ。値段に惹かれてこのようなPCを買う人にとっては負担であるはず。

 だからこそ、PCの知識が豊富で自信がある人ならともかく、そうでない人にこのPCは「勧められない」のである。

 「アップデートしなければいい」と思う人もいそうだ。それこそお勧めできない。Windowsも含め、現在のOSは「常に最新の状態を保つことで安全を保つ」ようになっている。だから、アップデートしないでPCを使うことは非常に危険である。

メモリーとストレージはケチるな!

 もし、この製品のストレージがせめて64GBあれば、こうした問題は起きないだろう。動作速度を考えると、メインメモリーも最低4GBあった方がいい。

 メインメモリーとストレージを増やすと、当然のことながら、価格は上がってしまう。ドン・キホーテは「2万円以下で、画面が見やすい製品」に特化して、メインメモリーやストレージを割り切ったのだろう。市場で確認すると、そういう製品はだいたい3万円くらいで販売されており、「イチキュッパ」のインパクトは失われる。

 PCを買う時、CPUやメモリー、ストレージなどのスペックは高い方がいい。だが、日常生活において「スマホより依存度が低い」PCに、そこまで高い費用を払いたくない……という人がいるだろうことは、よくわかる。

 とはいえ、せっかく買うのだから、よほどPCに詳しいのでない限り、苦労するような機器を選ぶべきではない。

 とりあえず、「メインメモリーは4GB以上、できれば8GB」「ストレージは可能なら128GB以上」が、PCを買う時にとりあえず後悔しないスペックである。もちろんCPUは良いに越したことはないが、そこは予算との兼ね合いである。デルやHP、レノボなどの製品の場合、ギリギリのスペックのもので4万円から5万円、余裕があるもので8万円以上、というのがひとつの目安である。

 一方、MUGA ストイックPCにも良い点は1つある。それは、ディスプレイの解像度が1920×1080ドットであることだ。

 スマホやタブレットの高解像度化が進む一方で、PCはスタンダードな価格のものだと、画面解像度が1366 x 768ドットのものが多い。これではさすがに粗すぎる。スマホの画面に慣れた目には拙く見えるはずだ。

 高解像度のディスプレイを採用したPCは、スマホに勝るとも劣らない、見やすくて美しい表示が実現できている。PCには4Kディスプレイを、といいたいところだが、それはさすがにかなり高くなる。せめて、1920×1080ドットくらいは選んでほしい。

 MUGA ストイックPCは、ひとの目に触れる「画面」のところではスペックにこだわった。そこよりも優先すべきところはあると思うのだが、それでも、どのメーカーも1920×1080ドットを最低水準にして欲しい、と筆者は考えており、その点だけは、MUGA ストイックPCを否定できない。


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