KDDI傘下になったBIGLOBEが、「SIM替え」を打ち出している。今使っている端末そのままで、SIMカードだけを買え、料金を節約できるというのがBIGLOBEの主張。同社は元々、NTTドコモのMVNOだったが、auからも回線を借り、SIM替えできる端末の幅を広げている。
BIGLOBEが大々的にアピールしているSIM替えだが、MVNOでは一般的なスタイルでもある。むしろ大手キャリアと同じように、端末とセットで回線を契約するようになったのは最近のこと。
ファーウェイやASUSなどのSIMフリースマホが充実してきた結果といえる。一方で、今でもほとんどのMVNOでは、SIMカードだけを契約して、自分の使っている端末にそのまま挿すことが可能だ。
「SIM替え」をアピールするBIGLOBE
手持ちの端末を使う際には、SIMロックを解除するのが基本。SIMロックは、2015年5月以降に発売された端末なら、原則として解除できる。
NTTドコモのAndroid端末は、それ以前のものもSIMロック解除の対象で、ソフトバンクも一部機種が対応している。SIMロックを外した端末は、基本的にどの会社のSIMカードも読み込むことができる。これで、契約だけをMVNOにして、料金を節約することが可能だ。
といっても、SIMロックの解除はあくまで原則。もっと手軽に、SIM替えを行う方法もある。MVNOは大手キャリアから回線を借りているが、その貸出元の端末であれば、SIMロックの解除すら必要がない。
現状、SIMカードは大手キャリアからMVNOに貸与されており、端末側からは、そのSIMカードが大手キャリアなのか、MVNOなのかの区別ができない。そのため、例えばNTTドコモの回線を借りるMVNOのSIMカードは、SIMロックがかかったNTTドコモの端末でも利用することができる。
一部例外もあり、auのVoLTE対応端末は、MVNOのSIMカードで利用する際に、SIMロックの解除が必要だった。一般的、これを「MVNOロック」と呼ぶ。
ただ、これも総務省のガイドラインが改定され、禁止事項になったため、今年8月以降に発売された端末であれば、上記の原則論が適用され、SIMロックの解除なしでMVNOのSIMカードが利用できる。過渡期に発売された端末には注意が必要だが、徐々に気にする必要はなくなってくるはずだ。
MVNOロックが禁止され、回線の大元が同じであれば、そのまま端末を使えるようになったSIM替えをすれば、新たに端末を購入する必要がなくなるため、MVNOに移る初期費用を大幅に抑えることができる。
また、新たに購入した端末の設定をやり直す必要がないため、手間もかからない。MVNOでは、GalaxyやXperiaなど、一部ブランドのが扱われていないため、こうした端末を使えるのもメリットだ。手間を抑えつつ、コストを下げられるのが、SIM替えのメリットといえるだろう。
SIM替えの際に注意したいのは、対応周波数。大手キャリアの端末を、そのキャリアから回線を借りるMVNOで使うぶんには問題ないが、SIMロックを解除してキャリアそのものを変える場合は、端末がどの周波数に対応しているのかをしっかり確認しておきたい。
例えば、auのXperia XZ1にかかったSIMロックを解除し、NTTドコモのMVNOで使おうとすると、一部の周波数が利用できない。
具体的には、au版のXperia XZ1は、いわゆるプラチナバンドと呼ばれる800MHz帯(Band 19)のLTEに非対応。NTTドコモが都市部で使う、1.5GHz帯(Band 21)も搭載されていない。そのため、同じXperia XZ1でも、NTTドコモ版を使うより、エリアが狭くなってしまったり、速度が十分出なかったりするおそれがある。
au版Xperia XZ1の対応周波数また、端末を割賦で買っていた場合、残債の支払いが必要になる。この際に大手キャリアを解約してしまうと、月々サポート、毎月割、月月割と呼ばれる端末購入補助も打ち切られてしまうので、要注意だ。
毎月の支払いがあまり高くないと思って、MVNOにSIM替えしたら、端末の代金が高額になってしまったという失敗をしないよう、今使っている端末の分割払いがいくら残っているのかは、しっかりチェックしておきたい。
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