「サヴィル・ロウ」とは世界に名だたるロンドンの高級紳士服街。小説家のイアン・フレミングは代表作「007シリーズ」の中で、ジェームズ・ボンドが仕事着として愛用する仕立てのいいブリティッシュ・スーツは、すべてサヴィル・ロウ製だと記している。
かつてはウィンストン・チャーチル元英国首相、そして、チャールズ皇太子を始めイギリス王室もこの街のVIPリストに名を連ねている。
高級紳士服街に店を構えるスパイ組織
サヴィル・ロウにてそのサヴィル・ロウがスパイ映画の舞台として登場するのが「キングスマン」(15年)だ。ハリー(コリン・ファース)は、表向きは高級テーラーだが、その実態は世界最強のスパイ組織“キングスマン”に属するベテランスパイ。
彼が恩人の息子エグジー(タロン・エガートン)を新人スパイとしてスカウトし、教育しながら巨大な陰謀に立ち向かっていく。
2人の親子のような関係、スペクタクルでコミカルなアクションシーン、使用されるガジェット類、ファンシーなメンズファッションが受けて、映画は世界中でヒット。批評家たちからは「スパイ映画の復活」と高評価を得た。
舞台はイギリスからアメリカへ
それから2年、続編の「キングスマン : ゴールデン・サークル」では、謎の組織“ゴールデン・サークル”によってサヴィル・ロウの拠点が破壊されてしまう。
そこで、今や一流のエージェントに成長したエグジーが、信頼するメカ担当のマーリン(マーク・ストロング)や、前作で死んだかと思われていた恩師、ハリーと一致協力。ゴールデン・サークルを殲滅する為、ステイツマンに協力を乞いにアメリカに向かう。
怒濤のコスチュームとガジェット類
キングスマンの必需品リスト前作に引き続き、今回もガジェットとコスチュームが話題の的だ。
特に注目されているのは、「スウェプト・アウェイ」(02年)や「W.E.」(11年)など、マドンナ主演作でも衣装デザイナーを担当したアリアン・フィリップスの衣装類。
生地から縫製まで100%イギリス製にこだわった正統派ブリティッシュ・スタイルのワードローブは、映画の枠を超えてビジネスパーソンのリアルクローズになり得る逸品揃いだ。
ダブルスーツにストライプタイ
映画の冒頭で“キングスマン”のショーケースを飾り、その後、エグジーが身に付けるウールとモヘヤをブレンドしたオレンジ色のタキシード、カシミアのオーバーコート。
そして、映画のクライマックスでエグジー、ハリー、マーリンが身に纏うのは、“キングスマン”の正装でもある揃いのダブルスーツとストライプのネクタイ。
それらは、背後で展開する過激なアクションとも相まって、危機に瀕しても微動だにしない英国紳士の美意識を象徴している。
ボンバージャケットにクラシックデニム
ムートンのボンバージャケットまた、続編では舞台がアメリカに変わったことで、アメリカントラッドの代表的アイテムが“キングスマン”風にアレンジされて登場する。
その最たるものが、ハリーがスーツの上に羽織るムートンのボンバージャケットだろう。
テキーラ@チャニング・テイタム“キングスマン”がアメリカで合流する同盟機関“ステイツマン”のメンバーで、チャニング・テイタムが演じる若者、テキーラが穿くオールドスタイルのデニムシーンズ、グレーのデニムシャツ、ハイカットブーツなども注目アイテムだ。
一人前のエージェントになっても、ストリート感覚が抜けきれないエグジーが日常的に愛用する、フレッド・ペリーのポロやTシャツ、スタジアム・ジャケット、アディダスのスニーカーなど、有名ブランドもさりげなく目を楽しませてくれる。
タグ・ホイヤー製“キングスマン・ウォッチ”
また、続編で俄然ボリュームアップしているのがガジェット類だ。
かけた途端に肉眼では見えない様々な情報が映し出されるメガネ(イギリスの老舗ブランド、カトラー&グロス社製)、遠隔操作で毒を噴射する万年筆(コンウェイ・スチュワート社製)。
触るだけで手榴弾に変身するローラガス・ライター、爪先からナイフが飛び出すシューズ“オックスフォード”。そして、タグ・ホイヤー社が映画のために製作した“キングスマン・ウォッチ”は、設定上は電子機器をハッキングできる機能付きとなっている。
英国人スパイのレジェンド、ジェームズ・ボンドの必須アイテムだったコスチュームと諜報ツールを、今風に作り替えて観客の目をとことん楽しませてくれる待望の続編「ゴールデン・サークル」。
最近の映画で、これほどメンズファッションが充実したファッションムービーはないと思うので、来年1月5日の公開を前にいち早く紹介してみた。特にファッションに関心のある人は、乞うご期待である。
【作品情報】
「キングスマン : ゴールデン・サークル」
2018年1月5日(金) TOHOシネマズ日劇他全国ロードショー
配給:20世紀フォックス
公式サイト:https://www.foxmovies-jp.com/kingsman/
©2017 Twentieth Centry Fox Film Corporation
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